アパラチア帰りの外道の先生生活日記   作:SCOPEWOLF

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どうもおはようございます。
最近、セイジの設定を追加で練りながら「こういった解釈を取り付けたらそれっぽくなるな」という調整を色々と盛り込んでいる今日このごろです。
一応彼の行動や発言にはなんだかんだで意味を持たせてますし、それをどう追加で盛り込んでいくか色々試行錯誤してますね。
そんなことはさておいて、本編をどうぞ


三十話:会議③

……会議はまさに混沌と言うべき状態であった。

 

黒見と小鳥遊の案も大概だったが、その次の砂狼の案に関しては流石の俺も正気を疑った。

 

「ん、ならいい考えがある。」

 

 

 

「銀行を襲う。」

 

 

 

「お前は何を言っている…?」

 

 

 

思わず、俺はそう返していた。

 

これに関しては仕方ない。

 

なにせいくら金がないとはいえ、女学生が銀行強盗を企てるという突拍子の無い状況に対し、流石の俺も面食らったのだ。

 

いやまぁ……似たようなことをした覚えはあるが、それにしたって裏稼業の連中の金庫の中身をパクる仕事だったからである。

 

最も、アパラチアの裏稼業というのは大概がドラッグのバイヤーだとか人身売買をしているクレーターに属していないレイダーといった、そこら辺によく転がっているクズどもの小遣い稼ぎなのだが。

 

「ん、一発当てるならこれしか無い。」

 

「計画や装備もちゃんと準備してる。」

 

そう言った砂狼はどこからともなく紙袋を持ち出し、中からどこかの銀行のものと思われる書き込まれた見取り図と数枚の目出し帽を取り出した。

 

「これなら借金も返せ……」

 

「駄目に決まっているだろう、この阿呆が」ゴンッ

 

「きゃんッ、あだッ!?」ゴッ

 

昨日に引き続き、砂狼の頭へと着弾した俺の拳骨。

 

前回よりも力を込めたその一撃により、砂狼は勢いよく机に突っ伏すような形で沈んだ。

 

「に、二度も殴られた……。ホシノ先輩にも殴られたこと無いのに……」

 

「仮にも秩序側の人間がいる手前で、堂々と犯罪の宣言をする馬鹿がどこにいる。そういうのは俺がいないところでやるか、そもそもするな。」

 

「それに……」と続けつつ、俺は机の上の見取り図を手に取り、そこに書かれた計画の概要を読んだ。

 

「この計画、かなり緻密に組まれてはいるが……逃走時の時間計算とルートそのものの選定が甘い。スムーズに金を盗れはするだろうが、すぐに足がついて豚箱送りだろうな。」

 

「ん………」

 

他にも資金洗浄だとかの手配等が抜けている様子であり、そこまで指摘すると砂狼は分かりやすく落ち込んでいた。

 

「シロコちゃん、流石にそれはダメだね〜。」

 

「ホシノ先輩の案も大概マズイと思うんですが……」

 

全くもってそのとおりである。

 

「お前ら……捕まりたいのか復興させたいのかハッキリとさせてから考えろ。足がついた結果、「復興どころか更に衰退しました」じゃ笑い話にもならん。」

 

「う、うへぇ〜。流石にふざけすぎたかな?」

 

「ん!私はいたってしんけ……」

 

「もう一発……いっとくか?」

 

「……………。」

 

素直に非を認めた小鳥遊に対し、砂狼は懲りずに主張しようとする。

 

が、俺の握りしめた拳を見た途端に萎んだ風船の如く縮こまり、そのまま自分の席におとなしく着席した。

 

いくら頑丈なキヴォトス人でも、素手でスコーチの頭を陥没させる威力の拳骨は流石に堪えたらしい。

 

「はい!なら私にいい考えがあります☆」

 

そう言いながら手を挙げたのは十六夜だった。

 

流石にここまでの酷い流れを見ていて、これ以上酷い内容のものは無いだろうと思われるが……

 

 

 

「みんなでスクールアイドルをやるんです!」

 

 

 

……スクールアイドル?

 

「なんだ、それは…?」

 

「あれ、セイジ先生はご存じないのでしょうか?」

 

「"あー……うん。えっとね、セイジさん。スクールアイドルっていうのは………"」

 

 

 

 

 

 

 

………〇〇先生説明中………

 

 

 

 

 

 

 

……なるほどな。

 

学生特有の若々しさを売りにしたアイドル興行か。

 

「……悪くはないな。少なくとも、それなら真っ当に資金を稼げるだろう。」

 

色々と営業面で苦労することになるだろうが、そのへんは俺からも多少の融通は利かせられる。

 

少なくとも、ここまでの中で最もいい線を行っているだろう。

 

「ですよね!!では、この案を……」

 

「却下で。」

 

目を輝かせて喜び勇む十六夜に対し、突然インターセプトがかかる。

 

声を挙げたのは、いつものふにゃりとした口調が取れている小鳥遊。

 

心底嫌そうな顔で拒否の発言をぶち込んできた。

 

「えっ、ホシノ先輩……!?な、なんでですか……!?」

 

「え〜、だってさぁ〜。みんなってことは私もやるんでしょ〜?」

 

「ホシノ先輩なら一部のマニアに大ウケしそうだけど……」

 

「こんな貧相な身体が好きとか、人としてダメでしょ〜。流石にそれはないなぁ〜。」

 

……いや、それは建前だな。

 

恐らく、本心から性に合わないのだろう。

 

「……まぁ、そういう物は無理に全員でやる必要はない。やりたい奴やソイツら同士で組ませて売っていくんなら行けなくもないだろう。」

 

「そんなぁ……せっかくみんなでできる決めポーズとかまで決めてたのに……」

 

俺からのアドバイスに対し、十六夜も落胆した様子を見せる。

 

どうやらコイツ的には全員でやることに意味があったらしい。

 

とはいえ、こういった興行は必然的に演者への負担が大きくなる。

 

それなりのやる気やモチベーションが無い限り、黒字の売り上げを出せるまで続けることができるかも怪しいのは確かだ。

 

「えぇっと……議論が進みませんし皆さんもっと真面目に……」

 

奥空がそう発言したところで唐突に小鳥遊が起き上がり、奥空の肩に手を添えた。

 

「じゃあさぁ、アヤネちゃんは何かないの〜?」

 

「えっ!?いや、私は……」

 

「司会進行だからって言い訳は無しだよ〜。ほら〜、何か一発で稼げる案とかないの〜?」

 

「あ……うぅ……」

 

小鳥遊からの押しに対し、奥空は何も言うことができずに縮こまっていた。

 

……まったく、何をやっているのか。

 

「その辺にしておけ、小鳥遊。」

 

「えぇー……。なんでさぁ〜。」

 

「どの道、一発逆転を狙ったところでうまくはいかん。もっと堅実な案を考えることだ。」

 

「"……そうだね。どんなこともコツコツと……「塵も積もれば山となる」とも言うからね。"」

 

俺の言葉に、〇〇も同調して発言する。

 

……懐かしい言葉だ。

 

「……うへ〜。じゃあ、一旦また考え直してこようか。」

 

「んじゃ、今日の会議はここまでってことでいいかな?」

 

一瞬、何か様子の変わった目を小鳥遊は戻しつつ……

 

未だ縮こまって機能不全に陥っている奥空の代わりに、小鳥遊の締めくくりによって会議は終了した。




いかがでしたか?
はい、この世界線ではちゃぶ台返し(多分机だろうけど)はキャンセルとなりました。
この世界もある程度は正史には沿ってますが、Falloutの歴史のごとく何かしら分岐しています。
その結末は………どうなるんでしょうかね?
それでは、また次の話をお楽しみに
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