アパラチア帰りの外道の先生生活日記   作:SCOPEWOLF

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どうもこんばんわ。
そういえば、前回の話でセイジには当番がつかないということを出しましたね。
それなりに重要な要素ではあるのですが……
作中で説明する機会がないので、あとがきで軽く彼等の立場とか権限について少し解説を入れます。
別に必要そうではなさそうならそこだけ読み飛ばしてくださいな。
それでは、本編をどうぞ。


二十九話:会議②

――会議はそれからいくつかの議題を挟み、遂に最後の議題へとたどり着いた。

 

「それでは、最後にですが……」

 

「私たちアビドス廃校対策委員会にとって非常に重要な問題……「学校の負債をどう返済するか」について、その具体的な方法を議論します。」

 

「ご意見がある方は挙手を……」

 

「はい!はい!」

 

早速、黒見が勢いよく手を挙げた。

 

「はい、1年の黒見さん。お願いします。」

 

「……あのさ、名字呼びはやめない?ぎこちないんだけど……」

 

「え、えぇ……。でも、今はせっかくの真面目な会議だし……。」

 

「そのほうがいいんじゃないかなぁ〜?今回はセイジ先生も見てるしさ〜。」チラリ

 

「………。」

 

……なぜ、そこで俺を見る。

 

別に子供の会議に対して、そんな文句をつけるわけでもないのだが……。

 

「……まぁ、それはいいわ。」

 

「とにかく!対策委員会会計担当として、今のアビドス高校の財政状況は破産寸前としか表現できないわ!」

 

「ん、それは確か。」

 

「……このままだと、廃校も危うい状態ですからね〜☆」

 

……これに関しては、借金の暴利が原因だろう。

 

事前に調べた情報だと、アビドスが借金をしている相手は黒寄りのグレーゾーンで後ろ暗い事をやっている「カイザーグループ」……

 

その系列の闇金融業者「カイザーローン」とのことだった。

 

「……毎月の利息だけで788万!」

 

「今月は報奨金のおかげで余裕もって返せるけど、それでもこのままじゃ原本の返済まで追いつかない。」

 

「シャーレの当番でお金が貰えるとしても、それでも追いつけるかは怪しいわ。」

 

……利息が予想外に高い。

 

ずいぶんと暴利を貪り食われているようだ。

 

確かに、それだと追いつくかは微妙なところだ。

 

「このままじゃらちが明かないの!だから、なにかこう……でっかく一発狙っていかないと!」

 

「でっかく……って?」

 

「"……例えばどんなの?"」

 

「それは……これよ!!」

 

奥空と〇〇の問いに対し、黒見はカバンの中から一枚のチラシを出した。

 

「……なんだ、コレは?」

 

「街で配ってたチラシよ!」

 

「ん、これって……」

 

「あ、あらあら……」

 

「どれどれ〜……あー……」

 

黒見が突き出したそのチラシに書かれた内容……。

 

【ゲルマニウム麦飯石ブレスレットであなたも一攫千金】

 

これは……

 

「これでガッポガッポと……」

 

「……黒見。お前まさかこれを本気で信じたのか?」

 

「……え?それってどういう……」

 

チラシをよく見てみれば、いわゆるマルチ商法で売ることで運勢が上がるとかいう内容であった。

 

もはや、怪しい通り越してこれは真っ黒である。

 

「うん、却下だねぇ〜。」

 

「えーっ!?ど、どうしてぇっ……!?」

 

小鳥遊のサッパリ切り捨てるような却下発言に対し、黒見はわけがわからないと言わんばかりに叫ぶ。

 

よくよく彼女の腕を見てみれば、チラシに書かれているものと同じブレスレットがはめられていた。

 

「……マルチ商法を使った詐欺だな。そんな物を持っていたところで儲からんぞ?」

 

「は?え……はぁぁぁぁっ!?!?」

 

驚愕した様子で叫ぶ黒見に対し、他の対策委員達は苦笑いを……

 

〇〇に至っては苦笑しつつ頭を抱えていた。

 

かく言う俺も、思わず頭に手を置いていたが。

 

「……ゲルマニウムは医薬品として使われたり健康目的で使われたりしたことはあるが、実際のところ一部を除いて大して効果はない。」

 

「ましてや、運勢云々には全く関係がない。更に言えば、その手の商品だとゲルマニウムそのものを含まずに売られていた事例もあったはずだ。」

 

「そん……なぁ……」

 

がっくりと肩を落とし、黒見は机に突っ伏すように項垂れた。

 

その時に少し引っかかったのか、ブレスレットの金具が取れて床に落ちた

 

「……私、お昼抜いて貯めたお金で2個も買ったのに……こんな……こんなの……」

 

「セリカちゃんは世間知らずだねぇ……。こういうのに気をつけないと、悪い大人に騙されて取り返しがつかなくなっちゃうよ〜?」

 

「セリカちゃん。私がごちそうするので、お昼を一緒に食べましょう?」

 

「うぅぅ……ノノミせんぱぁい……。」

 

十六夜に抱きつく黒見を傍目に、俺は先ほど黒見が取り落としていたブレスレットをチラシとともに回収してPip-Boyに収納した。

 

後でこれに関してはヴァルキューレとともに調べることとしよう。

 

「えぇっと……ほ、他にご意見がある方は……」

 

そんな絶妙な空気の中、奥空は改めて進行を進める。

 

「ん〜、じゃあ次は私〜。」

 

「えっと……はい、小鳥遊委員長。」

 

なにやら嫌な予感でもしているかの様子で、奥空は手を挙げていた小鳥遊へと指名を送る。

 

「うちの一番の問題は、全校生徒数が一桁なぐらいに人がいないことだと思うんだよねぇ〜。」

 

……なるほど。

 

確かに、それはそうだ。 

 

借金云々もそうだが、ここの一番の問題はマンパワー……つまる所は人手が足りていない事が特に挙げられる。

 

なんなら、生徒数が多ければ多いほどに学校に入る運営費も上がる。

 

実力もそうだが、数量というものもまた正義のようなものなのである。

 

「だからさ〜。まずは生徒の数を増やさないとぉ。そしたら借金も返しやすくなるよ〜。」

 

「な、なるほど。……ちなみにですが、具体的にどう増やすのでしょうか?」

 

「簡単なことだよ〜。」

 

そう言いつつ、小鳥遊はニヤリとした笑みを浮かべる。

 

「他校のスクールバスを拉致って、うちへの転入書類にハンコを押さないとバスから降りられないようにすればいいんだよ〜。」

 

「は、はいっ!?」

 

「…………。」

 

……まともな事を言ったかと思えばこれである。

 

どこもかしこも、こんな生徒ばかりなのだろうか…?

 

「ん、それは興味深いね。ターゲットはどこにする?」

 

「ん〜、そうだなぁ……ゲヘナとか?」

 

しかも、砂狼に至ってはこの案に対してノリノリである。

 

「ちょ、ちょっと待ってください!!そんな方法で転校なんてありなんですか!?」

 

「アウトに決まっているだろう……。連邦生徒会もそうだが、他校の治安維持組織や生徒会も動くことになるぞ。」

 

「う〜ん、やっぱりそうなっちゃう?」

 

「「そうなっちゃう?」じゃ、ありませんよホシノ先輩っ!?」

 

……こいつらは真面目に会議をするつもりがあるのだろうか?

 

先の思いやられるこの惨状に対し、俺は溜め息を一つ吐くのであった。




いかがでしたか?
では、ここから解説です。


まず、セイジと〇〇先生は二人とも「シャーレの先生」としての権限を持っています。
ですが、その権限の優先度的には〇〇先生のほうが権限が高いです。
そして、セイジに関しては比較的低いシャーレの権限とは別に「連邦生徒会顧問」としての権限……具体的には連邦生徒会長代行と同等の物が与えられています。
これによって何がおきているのかといいますと、このキヴォトスにおいて公的に「シャーレの先生」として扱われているのは〇〇先生のみであり、セイジは「連邦生徒会顧問教師」として扱われています。
確かにセイジもシャーレの権限は持っていますが、あくまでそれは権限だけです。
そして、この世界でのシャーレ当番というのは「シャーレの先生を補佐をする」というルールの下で先生をサポートしています。
つまり、公的に「シャーレの先生」として扱われていないセイジにはそのルールの都合で当番をつけることができないシステムとなっているのです。
ちなみにこれは作中設定での話であり、メタ的には「セイジには当番付けないほうが都合が良い」というのが実態です。

軽い説明ではありますが、現時点でお話できる範囲でだとこの程度でしょうかね?
それでは、また次の話をお楽しみに
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