アパラチア帰りの外道の先生生活日記   作:SCOPEWOLF

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どうもこんばんわ。
結構この話は書くのが難しかったですね……。
主に、キャラのセリフ面が……
それと、前話のドッグフードが結構人気なようで嬉しい限りです。
これを見てる76はモスマンの代わりにドッグフードを信仰しましょう(錯乱)
それはそうと、本編をどうぞ



二十一話:柴関ラーメン②

「ありがとうございましたー!」

 

ラーメン屋の制服に身を通し、そう声を張るのはアビドス高等学校一年の黒見セリカ。

 

彼女は今、アビドスに残る数少ない名店であるラーメン屋「柴関ラーメン」でアルバイトをしていた。

 

今日は自由登校の日。

 

朝に嫌な顔と突き合わせてしまったが、今日はもう見ることはないはずだ。

 

……彼女は、自分のそれが何なのかよく分からない。

 

カタカタヘルメット団の時には、捕まえたヘルメット団を引き渡すだけでお金を貰えると知ってすごく喜んでいた。

 

でも………急にアビドスの復興に手を貸すと言われたとき、何故かそう反発をしてしまう気持ちが浮かび上がってきた。

 

……今まで自分達が必死になんとかしてきたのに、それが容易いことであるかのように解決しようとしたことが気に入らないから?

 

それとも、自分達を……アビドスを散々に苦しめた奴らと同じ大人だから…?

 

いくら考えても答えにはたどり着けない。

 

だが、今は……

 

「いらっしゃいませ!柴関ラーメンで……」

 

自分に与えられた仕事をこなすこと。

 

たったそれだけ……

 

「ん、セリカ?」

 

「……えっ!?し、シロコ先輩!?」

 

いつも通りの挨拶とともにお客さんを案内しようと振り向くと、そこには自分の先輩がいた。

 

先程まで運動でもしていたのか、その顔はほんのりと汗をかいている。

 

「……ここでバイトしてたんだ。」

 

「あっ、えーっと、そのぉ……」

 

思わずセリカは口ごもる。

 

実は、ここでバイトをしていることは秘密にしていたのだ。

 

これは予想外……いや、ここがアビドスでも特に人気な店舗だと考えればさほどおかしくはない。

 

時間の問題ではあったのだろう。

 

「……ん、後4人来るから6人席で。」

 

「わ、分かり……って、6人?」

 

セリカはそこで疑問を覚える。

 

目の前の先輩は後4人来ると言ったが、席は六人。

 

ならば、もう一人は一緒に来ているはずなのだが姿が……

 

と、そこで彼女はシロコの背中に縄でぐるぐる巻きにされた何かが背負われているのに気がつく。

 

「あ、あの……シロコ先輩?その後ろのって……」

 

「ん、そうだった。」

 

彼女は思い出したように懐からナイフを取り出して縄を切り出す。

 

ブチリブチリと縄が切られ、その中から姿を現したのは……

 

「ぬ………うぅ………」

 

青褪めた顔でうめき声をあげる、今日の朝会ったばかりの大人であった。

 

「えっ、ちょッ……!?シロコ先輩!?何してるんですか!?」

 

「ん、先生を連れてきた。」

 

「やり方が誘拐じみてるじゃないですか!!」

 

そう言いつつ、お冷の水をもってきて彼の方へと持っていく。

 

さすがに気に入らない奴とはいえ こんな有様の人間を放っておけるほど彼女は薄情ではなかった。

 

「……す…まん。恩に、着る………」

 

声も朝の様子と変わってどこか弱々しく、少し震え気味な掠れ声で礼を言いながら水を受け取っていた。

 

ゆっくりと水を口に含んで顔色が安定しだしたところで、彼女は自身の先輩へと視線を向ける。

 

「先輩……なんでコイツをここに?」

 

「アヤネから連れて行くよう言われた。ホシノ先輩も許可してたから、縛って自転車に括り付けてきた。」

 

「いや、みんな何やってるのよっ…!」

 

セリカは頭を抱える。

 

自分の知らないところで、何か皆がおかしなことをやらかしているという事実に色々とついていけていない。

 

「……大体、アンタもアンタよ!!なんでおとなしく縛られてるの!!」

 

「……わからん。俺も気づけば縛られていたからな…。」

 

セイジは語る。

 

いくら仕事の方に意識を割いていたとはいえ気づけば腕と胴体を縛られ、抜け出そうともがけばあっという間にミノムシのごとく縛られて脱出不能。

 

挙げ句這って逃げようとしたところで持ち上げられて自転車に括り付けられたという。

 

これに対しセイジは怒る……どころか、寧ろその手際の良さを褒めていた。

 

「あれほどの拘束技術は見たことがない。銃弾が効きづらいキヴォトス人に対してかなり有効だろうな。」

 

「……アンタ、ほとんど攫われてきたようなもんなのにえらく冷静ね。」

 

「「状況分析はどんな時でも冷静に。」生き残る為に俺が学んだことだ。」

 

そんな言葉を返し、セイジは残っていた水を飲み干した。

 

そうこうしていると、店の奥から柴犬のような獣人が顔を出してきた。

 

「おや、アビドスの生徒さんかい?」

 

「あっ、柴大将。」

 

どうやら彼はこの柴関ラーメンの店主のようだ。

 

「っと、あんた大丈夫なのか?」

 

「……あぁ、大丈夫だ。」

 

未だに青さの残る顔を見て心配されるも、セイジはそう返して立ち上がった。

 

「ん、意外と軟弱?」

 

「とんでもない速度が出てる自転車に無理やり固定された上に、身動きがとれずに荒い運転に振り回された俺に言うことがそれか?」

 

「先輩……それ普通に酔っちゃうから。私とかホシノ先輩でも普通に酔ってダウンするやつだから。」

 

思わずというべきか、セリカは己の先輩が行った所業に対して引いた。

 

「ん……。私は酔ってないのに。」

 

「それはお前が操縦しているからだ。」

 

ため息を吐きつつ、彼は「ゴチンッ」と軽い拳骨をシロコへと落とした。

 

「痛っ…!?」

 

ちょっとだけ痛かったのか、シロコは拳骨を落とされた場所を手で押さえながらふくれっ面になっている。

 

だが、そんな非難の視線を向けても彼は謝る素振りすらなかったのだった。

 

「セリカちゃん、おしゃべりはそれぐらいにして注文をうけてくれな。」

 

「あっ……はい、大将。それではこちらへどうぞ……」

 

大将にたしなめられ、セリカは自分の職務に戻って二人を奥の広い席の方へと案内するのだった。




いかがでしたか?
実はこの話の一部は私の体験談?が元ネタになってまして……
いやぁ……いくら夢の中とはいえあんな高速で走る自転車にしがみつくのは恐怖でしかありませんわな。
もうかれこれ十数年前のものなのに未だ覚えてるってどんだけ怖かったのか……
尚、セイジが酔った理由は平衡感覚を失うほどにシロコの自転車に振り回されたからですね。
良い子の皆さんはこんなことしちゃいけませんからね(普通はしないんですが)
それでは、また次の話をお楽しみに
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