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それはそうとして本編をどうぞ
また、アビドスに日が昇り始める。
昨日と違って片付ける書類が減った俺は、早朝のアビドス自治区を散歩がてら情報を収集していた。
地形、砂の状態、人が隠れやすい障害物……
仕事柄こういう部分へと目を向けて把握しておくのが癖になっている。
「……この辺は住宅街か。生徒たちの居住区画の一つだろうが……にしては砂が酷いな。」
やはり、というべきか。
居住地であろうとも環境整備が行き届いていない。
D.Uの方では自動化されたシステムによって、道路の清掃から破壊されたアスファルトの補修まで全て賄われていた。
アビドスも市街地にはその手のロボットはいたが……
旧式なのか、そもそも数が少ないのか。
大体は現地の住民たちが自力で賄っていた。
……だが、それだけではやはり行き渡らない部分も多いのだろう。
頻繁に小規模ながらも発生する砂嵐。
雨が中々降らない乾ききった気候。
もはやそういう呪いと言われたほうが納得するほどの劣悪な環境。
不自然なこの自然現象に対し、俺は来たばかりの頃のアパラチアを連想していた。
あの場所は人為的にばら撒かれた放射能や強制進化ウイルス「FEV」によって土壌から植物、果てには生物までもを汚染して生態系を大きく歪めていた。
それは正に、過ちを繰り返して核兵器を戦争に使用してしまった人類に対する呪いのようなものであった。
……"奴"がこの光景をみたらどう思うだろうか…?
まぁ間違いなくこの大地へと怒り、原因の究明と根絶を掲げてラボに籠もるのだろう。
アイツが荒れ果てた土地を再生することを命題としていた以上、ありえないことはない。
そうしてもう既に喪ったものへと思いをはせていると、遠くに人影を見た。
あれは……黒見だろうか?
「……うん?げッ、アンタなんでこんなところに…!!」
どうやら相手方もこちらに気づいたらしい。
「散歩だ。手持ち部沙汰になったんでな。」
「ふん、どうなんだか……。」
やはりというべきか、こちらに対して攻撃的なのは相も変わらなかった。
「今のところは未定だが、今後直接支援をやるなら現地の様子もあらかじめ把握して損はない。」
「……お生憎さま、アンタ達に頼る気なんてないから。」
「それはあくまでお前だけの意見だろう。立場的にお前だけの意見に左右されるわけにはいかないぞ?」
「……うるさい!!さっさとどっか行って!!」
まったく……朝から元気なことだ。
俺は一つ会釈だけしてその場から立ち去りだす。
「……あぁ、一つだけ言っておく。」
「……何よ?」
俺は一旦足を止めて彼女の方に振り返る。
「いくら信用していないとは言え、そう攻撃的に接し続けてたら誰にも助けを求められなくなるぞ?」
「余計なお世話よ!!」
そう怒鳴り返し、黒見は学校とは別の方向へと足早に去っていった。
……数時間後
「ショルイヤダショルイヤダショルイヤダ……」ブツブツ
「ええっと……〇〇先生は大丈夫なのでしょうか?」
「心配することはない。もともとあれはアイツがやるはずの書類だったからな。」
心配そうに〇〇の方を見る奥空にそう返し、俺は彼女から手渡されたアビドス砂漠に関する文献を読み漁っていく。
……やはりというべきか、これといってめぼしい情報はない。
急激な砂漠化の原因である砂嵐は数十年程前から発生しているが、それ以前には一切発生したという情報はなかった。
あっても大体は未開拓の砂漠地帯ぐらいだったらしいが、いくら大規模なものでもアビドスを丸々荒廃させる程のものは起きたという記録はない。
それに、枯れたオアシスに関しても少々妙だ。
砂嵐で埋もれた、とはあるがそれだけでは地下水の湧き水であるオアシスが枯れる直接の原因にはならない。
恐らく、水源である水脈そのものがまるっきりやられていると考えるべきだろうが……完全にその水脈も埋もれたのかその原因を探る術はない。
ここで疑問なのは、その水の行き場だ。
記録だと、大元の水源となる場所……アビドスの場合は周辺地域の地下水が流れる水脈は未だ健在。
降雨量も問題はなく、寧ろ最近のデータでは少し多くなってきたらしい。
だが、直通の地下水脈が通っていた筈のアビドスには一切流れていない。
それ以外の場所で地下水脈が流れているという記録もなく、言ってしまえばアビドスに到達する前にどこかでその水が消えている状態になっている。
考えられるのは地殻変動か、もしくは……
「……人為的、あるいはそれ以外の別の要因で変わったのか?」
それこそありえないが、可能性がないことはない。
もっとも、それだと誰……もしくは何がこれを引き起こしたのか……
この手の専門家ではない俺ではさっぱり分からない。
そうこう頭を捻りつつ情報を纏めていると、唐突に十六夜が声を挙げた。
「……みんなでお昼を食べに行きましょう♪」
「うへ―、もうそんな時間かぁ。」
快活な様子で提案されたそれに膝枕されていた小鳥遊をはじめとして、〇〇の書類仕事を手伝っていた他2人も快諾。
なんとか砂狼と奥空の二人と共に書類を片付けきりつつも目が死んでいた〇〇も誘われ、途端に目に生気を取り戻していた。
生徒たちがわいわいと話し合い、その結果決まった場所は……柴関ラーメン。
どうやらこの辺では名店らしいが、どうにもそのチョイスに疑問符が浮かぶ。
……やはり、アパラチアもそうだがその前世である日本での常識も当てはまらないと考えたほうがよさそうだ。
「"ラーメン……!!"」
もう既に〇〇は目を輝かせている。
まぁ、このところ忙しい故にエナジーバーやゼリーばかりの食生活だったと早瀬から聞いてはいる。
どうにか改善できないかとも相談されたが……俺にそれを言われても困る。
「あっ、セイジ先生もいかがですか♪」
突然、十六夜は俺の方を向いてそう聞いてきた。
ラーメンか……
もう何年も食べていないが……
「俺はいい。お前たちで食べてこい。」
生憎と、まだやることが山積みだ。
飯を食べている暇はない。
「そうですか……残念です。」
十六夜はかなり残念そうな……本当に残念そうな面持ちで引き下がる。
あくまで俺は仕事をしに来た。
生徒との交流や彼女たちへの精神ケアは手慣れた様子の〇〇に一任して、俺は俺で自分の仕事を進めなければならない。
とはいえ、小腹は空く為にPip-Boyから食料を……
「せ、セイジ先生!?いったい何食べようとしてるんですか!?」
「……ん?」
取り出したそれに手を付けようとした途端、奥空が信じられないものを見たかのような声を上げる。
「何って……ただのドッグフードだが………」
気づけば、俺は全身を縛り上げられて砂狼の自転車に乗せられていた。
「……何の真似だ。早く降ろせ。」
「シロコ先輩、お願いします!!」
「ん、分かった。柴関でまた会おう。」
「おい、話を……」
俺の抗議の声はそこで打ち切られ……
ジェットコースターも真っ青な速度で走る自転車に括り付けられた俺は、何もすることも出来ずにどこかに運ばれていくのであった。
いかがでしたか?
因みに、ドッグフードは私の76がよく食べているご飯なのだとか。
ある程度数が手に入って、それでかつ優秀な回復手段にもなるからね仕方ないね()
尚、リアルのドッグフードも食べられなくはないらしいです(あんま美味しくないらしいけど)
それでは、次の話をお楽しみに