ふと気になってお気に入り登録欄を確認したら、本作を書く……そして原作ブルーアーカイブをやり始めるきっかけとなった方が登録なさってて目玉が飛び出そうになった今日このごろです。
いや、本当に……ありがとうございます…!!
そんなわけで本編をどうぞ
日が昇り始め、薄暗い空が白く染まるアビドスの住宅街。
〇〇先生は心ここにあらずといった表情で気分転換の散歩をしていた。
原因はやはり、つい数時間前に聞いた彼の話なのだろう。
ここに来るまでのその過程……それを全て聞く頃には〇〇の中での常識や良識にはヒビが入るかのようであった。
彼の話の中には温かい心を持った人たちも少なからずいた。
だが……それ以上に理不尽や絶望といったものがありふれている、生きながらの地獄のような世界の話だった。
……そして、その一部は恐らくこの世界に……いや、キヴォトスの外の世界の方でも溢れんばかりに存在している話でもあるのだろう。
自分がどれだけ恵まれた環境に産まれ、育ったのか。
何故、それほどに恵まれない最悪な環境で生きることを強いられる人々がいるのか。
〇〇の頭の中では様々な想いがグチャグチャに入り混じり、報いなどほんの僅かにしかない虚しい世界たちへと心の中で絶望し、嘆くことしかできなかった。
どうしてそんな環境が生まれたのかは〇〇でも理解はできる。
大人……それも何かしら大きな力を持ち、その力に酔いしれた挙句人を平気で蹴り落とす……。
そんなどうしようもない人間のせいで不幸な人が……子供たちが生まれてしまう。
〇〇は段々と明けていく空を見上げて一つ決意を固める。
「"生徒達を……子供達を絶対に守ってみせる…!!"」
誰が聞くでもないその言葉は、白から群青へと変わりつつある空の彼方へと消えていった。
……
「それでは、アビドス対策委員会の定例会議を始めます。」
「本日は〇〇先生ともう一人、連邦生徒会の方からセイジ先生にもお越しいただいたので、いつもより真面目な議論ができると思いますが……」
「……それって、いつも不真面目みたいじゃない……。」
「まぁまぁ、良いんじゃなぁい〜?よろしくね〜、先生。」
「"うん、よろしくねみんな。"」
「……よろしく頼む。」
生徒たちが登校して一時間も経たず。
校舎の一室へとアビドス生と俺たち先生一同は集まり、会議と言う名のホームルームを始めていた。
「まずはセイジ先生からのお話となります。セイジ先生、よろしくお願いします。」
早速、俺に出番が回された。
俺は着いていた席から立ち上がり、ボードの前へと移動した。
「……改めて、連邦生徒会から派遣されたセイジだ。」
「今回はアビドス高等学校への支援要請の受理に際して、これまでの要請への対応を怠った件についての謝罪と、その補填について話に来た。」
「まずは貴校からの救援要請に対し、こちらの不手際で受理されていなかったことについて謝罪させててもらいたい。……申し訳なかった。」
腰を曲げ、少女たちへと頭を下げる。
多少面食らった様子の生徒たちもいるが、事前に聞かされていた小鳥遊はこちらに顔を上げるように言った。
「……アビドス生徒会副会長として、謝罪を受け取るよ。こちらこそ、支援してくれてありがとうね。」
「……感謝する。では、具体的に連邦生徒会から行う支援について説明する。」
そう言いながら、俺は持ってきていた幾つかの資料を配布していく。
「詳細についてはこの資料に記載している為、俺からは大まかな説明をさせてもらう。」
俺は一つ一つ、読み上げると同時にボードへとザックリとした文で概要を書いていく。
「まず、貴校の学園としての機能が一定の水準……より具体的にはミレニアムやゲヘナ、トリニティといった巨大校程ではないにしても一般的な学園とほぼ同じぐらいの生活水準や生徒数になるまでの物資の支給や一部行政の補助。」
「次に、急ごしらえではあるが一時的な戦力兼人手として「リコンストラクション•ウェイストランド」から提供された新型兵器「アサルトロン」と「Mr.ガッツィー」、及び新型の航空機「ベルチバード」と「ベルチボット」の譲渡。」
「そして最後に……そこにいる〇〇先生主導のもと、連邦捜査部シャーレによる直接的な復興支援を受けることができる手配が行われる。」
「何か質問等はあるか?」
一通り説明し生徒たちを見渡しながら問いかけると、一人……猫の耳のようなものを生やした生徒が手を挙げる。
「……ちょっと聞きたいんだけど、最後の奴ってあんた達が直接助けないと学校は立て直せないって言うの?」
「せ、セリカちゃん!?」
セリカ、と呼ばれた少女はこちらを睨みながらまくしたてていく。
「支援をしてくれるのは助かるし、確かにありがたいわ。……でも、今まで誰も手を差し伸べなかったのに今更助ける!?そんなの信用できないわよ!!」
「それに、学校がこんなことになったのはあんた達大人が……!!」
「は〜い、セリカちゃんストップだよ〜。」
こちらへと罵詈雑言……と言うには可愛らしい方な為にただの文句と表現できるそれを浴びせてくる彼女に対し、小鳥遊が静止をかける。
「先輩!!まさかこの大人の好きにさせるつもり……」
「まぁまぁ、とりあえず話ぐらいは聞こう?聞くだけならただなんだしさ〜。」
小鳥遊に宥められ、彼女は渋々ながらもその矛を納めた。
未だ憮然とした態度を取り続ける彼女を尻目に、多少言葉を選びつつ答えを考える。
信用……確かにまぁ、突然助けると言われてハイそうですかとならないのはそうではある。
だがまぁ……
「あくまで、その復興支援を受けるか否かはそちらの判断だ。そちらの力だけで復興したいなら、こちらとしては物資の融通だけを行う。」
「だが、そうだな……」
「その選択に、後悔だけはするな」
「……俺からは以上だ。後は〇〇と話し合うかお前たちで話し合って決めろ。」
「少なくとも……俺は選択肢は与えた。お前たちの選択がお前たちの望むように進むことを祈る。」
俺はそれだけを生徒たちへと告げ、部屋の隅へと下がった。
いかがでしたでしょうか?
実際、後悔先に立たずという言葉のように一度選択してしまえばどんなことも基本的には取り返しはつかないものです。
また次の話をお楽しみに。