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【理系最高峰の大学】東京科学大学 理工学系に受かるには?②物理編

(2025.9.10最終更新)

はじめに


この記事では、科学大に受かるためのメソッドを書いていきます。得点戦略などは①数学編に書いてあるので、ぜひそちらを読んでからこちらに来ていただけると幸いです。
東工大理学院に合格し、その後塾講師をしていく中で得た経験から、科学大に受かるためにどのような勉強が必要か、そしてどんな参考書を解いたらいいのか、などなどを書いていけたらなと思います。

科学大物理の特徴


科学大の物理は、よく京大の物理と似ているともいわれています。物理を解くうえで重要な「本質を見抜く力」を問う面が強いからでしょうか。どちらの大学も大問3つが出題されるのですが、京大は物理化学合わせて180分の試験(すなわち単純計算で90分で物理を解く)に対し、科学大は物理と化学別々でそれぞれ2時間の試験となっています。特筆すべきは物理と化学が別々の試験となっていることであり、物理をさっさと解いて化学にも時間を残さねば、といった心配をすることなく解くことが出来ます。

科学大の物理は、大問1が力学、大問2が電磁気学、大問3が熱力学・波動・原子のいずれかという形をとっています。もちろん、問題によっては力学に電磁気学的要素が含まれたり、大問3で複合的な問題が出たりとイレギュラーはありますが、確実に力学と電磁気学が出てくる、という事は押さえておきましょう。

加えて、科学大の入試科目のうち、理科二科目は近年平易な傾向にあるので、重点的に対策して、周りの受験生と差をつけましょう。

対策1 本質を見抜く力を養う


入試対策の演習では、複雑な条件下の問題が多くなるため、結局これは何をすればいいのか分からなくなるときが多くあると思います。そのようなときには、物事の本質を見抜く力が重要になってきます。簡単な例で言うと、振り子がすごく小さい振幅で振動しているとき、その動き方の本質は単振動と同じである、とか。すなわち、物体の挙動を自分が知っている知識で記述することが求められるのです。

また、学校の授業ではやらないと思うのですが、「束縛条件」という考え方も重要になってきます。見聞きしたことない方が多いかと思いますが、この「束縛条件」、普段は当たり前のこととして使っています。例えば、糸がぴんと張っているという条件は、糸でつながれた2つの物体の加速度の大きさが等しいことを示しています。斜面をすべるときに斜面に沿った方向にしか加速度が生じていない、として計算すると思いますが、これも束縛条件の一つです。このように、意識せずとも皆さんは「束縛条件」という運動に制限を課す条件を考慮しているのです。

では、なぜこんな話をする必要があったのかというと、ぱっと見ではわかりづらい束縛条件があるからです。科学大の物理では、きちんと束縛条件を理解していないと正答にたどり着けない問題が出題されることがあります。例を挙げると、2016年の大問1などでしょうか。近年の科学大物理の中で飛びぬけて難しいといわれている問題です。これが初見で解けるならば何も心配はいらないでしょう。この問題のヒントになってしまうので深い言及は避けますが、糸による束縛条件が働くのです。(糸が常にぴんと張っているという条件があることで、小球の運動の仕方は立方体に依存することになります。)

結局、本質を見抜く力は、問題を丁寧に解けば身に付けることが出来ます。どうしてその等式・不等式が成り立つのか、どうして円運動/単振動/単振り子と見なせるのか、などと自分の思考過程を言語化するとよいでしょう。本番の記述式試験でも、思考過程を丁寧に書けば、採点官に自分の記述の意図が伝わりやすくなります。結果として部分点を多くもらえることがあるので、決して損はないでしょう。

対策2 とにかく沢山の問題を解く


科学大は、よく「新作の労を惜しむ東工大」と言われていたほど、真新しい問題は出さない傾向にあります。私自身が受験した年も、20年前の東工大の入試問題を改良したような問題が出てきていました。ちょうど20年前の過去問を解いていたので、結果としてその問題は確実に得点することが出来ました。というように、量を積めば本番の問題が今まで解いた問題の類題である可能性が大きく上がると考えれば、やらなければ損であるといえますね。逆に東大などは、特殊な状況の出題をしやすいので、その場での思考力がものをいう、難しい試験であるといえます。

結果として、たくさんの問題を解くことが対策につながります。オススメは京大・北大などの難関大学の過去問と、良問の風/名問の森です。後者に関してはかなり有名な参考書なので知っている方も多いと思います。適切な難易度で、思考力が身に付きやすい問題がそろっているという印象を受けますね。筆者は学校で配られたセミナー物理重要問題集名問の森という順番で問題集を解きましたが、どう考えても重要問題集が地雷でした。問題数は160問程度で、名問の森二冊分より多いのですが、解説がひどい。重要問題集は五週くらいして初めてすべての問題が理解できるようになりました。そのおかげか、名問の森はかなり簡単に感じました。
以上のことから、重要問題集はお勧めしません。良問の風を代わりにやるとよいでしょう。その場合は、物理のエッセンスという参考書をやってもいいかもしれませんね。(良問の風・名問の森と作者が一緒のため)

また、この世には「微積物理」という忌々しい単語が存在します。もしそれをやりたいという方は、「新物理入門」という参考書をやるとよいでしょう。高校物理で公式と呼ばれる式たちを、微分積分を用いて導出してくれるので、理屈を知りたい人におすすめです。これについてはさらに下で書いていきます。

対策3 「微積物理」を上手く利用する


上の対策2の最後でも書きましたが、物理はそもそも微分積分によって発展してきたので、高校で習う公式は微分積分を用いて導出できることが多いです。そのため、物理を微分積分を用いて理解しようというのが、微積物理と呼ばれるものです。
はっきり言って、すべての単元で微分積分を使って理解する必要はありません。むしろ、複雑になって理解しづらくなってしまう側面もあるからです。筆者も「新物理入門」を買って読んでいましたが、正直「束縛条件」のところしか役に立っていないです。

しかし、例えば力学では、微積の力が大いに役立つことがあります。速度というのは、おおざっぱに言えば単位時間当たりにどのくらい位置が移動したかを表すものなので、物体の位置xを時間微分すれば物体の速度vを知ることが出来ます。また、加速度も同様に速さの変化度合いを示すので、速度の時間微分で求めることが出来ます。(厳密には少し違うかもしれませんが、大まかに説明しているだけなのでご容赦ください)
このことを意識すると、等加速度直線運動単振動の位置・速度・加速度の公式を覚える必要がなくなります。(実際に微分して確かめてみましょう)

また、難関大模試などの解答には当たり前に微積分が使われていたりします。ここで大事なのは、微積分を用いてその解答を再現できるようにすることではなく、あくまで微積分を使って考えることが出来るようになることです。実際の解答欄に微積分を使った式などを書く必要は一切ないです。

微積物理の考え方とは、例えば普段何気なく(仕事)=(距離)×(力)と書いているところを、(仕事)=∫(力)dx であるということを意識する、といったものです。高校で公式としてみることの多い前者の式は、あくまで特別な条件の時にしか成立しないことが多いことをきちんと理解することが重要なのです。高校物理の立場としては、「微分積分を用いずとも解ける」ことが前提とされているので、知らずとも解けるのですが、知っている方が難問にアプローチする上で有利である、という事です。

最後に


科学大の物理は、近年段々と易化してきているので、化学と合わせて得点源にできると非常に強いでしょう。対策を三つ紹介しましたが、結局は対策1の「本質を見抜く力」が最も重要であるので、そこを重点的に意識して勉強していきましょう。そうすれば、確実に安定して点を取れるようになるでしょう。



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