川崎市長選が告示された12日、立候補したレイシストの宮部龍彦氏(46)は街頭演説で、在日コリアンへの差別を煽(あお)るデマを並べ立てた。有志の市民が投票しないよう落選運動に取り組み、道行く人々に「演説しているのは差別主義者です」「差別には一票たりとも入れてはいけません」と注意を喚起した。とりわけ選挙では許されない差別扇動を行う桁外れな卑劣さに対し、ヘイトスピーチ罰則条例を持つ川崎市民の良識を示そうと呼びかけた。
◆おことわり 川崎市長選に立候補している宮部龍彦氏については、経歴や出馬に当たっての主張に著しい差別的言動があり、差別が拡散する恐れがあるため、異なる扱いとしております。
宮部氏は被差別部落出身者への攻撃を繰り返す極めて悪質なレイシスト。部落の地名をさらす出版やインターネットでの掲載が最高裁で差別であり違法と認定され、法務省や大阪府から人権侵害をやめるよう勧告されてもやめない執拗(しつよう)さで知られる。立候補に当たって川崎市に暮らす在日コリアンを標的にヘイトスピーチを始め、デマを指摘する報道も無視して差別を煽り続ける。
市民は演説する宮部氏の周囲で「ヘイトスピーチ監視中」「被差別部落の地名掲載で違法確定 550万円の賠償!」というプラカードを掲示。市民の人権を守ることが責務である市長には最もふさわしくない候補者であると知らせた。デマで差別を煽る演説には「川崎市はヘイトスピーチを条例で禁止している」「市長選に出るのなら歴史を勉強し直す必要がある」と指摘する声を飛ばし、デマを垂れ流させなかった。
兵庫県から駆けつけた市民は「やってはいけない被差別部落出身者への攻撃を続けて差別のハードルを下げてきた人物。市長選に出ること自体が害悪だ」と話す。川崎市川崎区の在日朝鮮人の男性も差別を正当化するため、差別されている側に問題があるかのようにねじ曲げる底なしの悪意に「うそをつくにも程がある。日本人も朝鮮人もフィリピン人も仲良く暮らしており、知らない人がうっかり信じてしまわないよう宮部氏が何者であるかを伝えていく必要がある」と憤った。(石橋 学)