26年産米は一転減産「2%減」 農水省が目安、供給不足に懸念も
農林水産省は24日の自民党の部会で、2026年産主食米の生産目安を前年比2%減の711万トンと示した。目安は農家が生産調整する際の指標となる。米農家やJAグループ、自民党農林族の間で供給過剰による米価の下落を不安視する声が強い。事実上、石破茂前首相の増産方針の見直しとなる。
「令和のコメ騒動」では店頭の在庫が足りなくなり、消費者の不満が高まった。全国農業協同組合連合会(JA全農)などの事業者による保管分があるものの、26年に減産して十分な供給を確保できるか不透明な面もある。
農水省は近く食料・農業・農村政策審議会の食糧部会を開き、正式に決定する。26年産の需要量を25年産と同水準の694万〜711万トンと想定し、需要の最大値から26年産の生産目安を示した。24年産の679万2000トンは上回る。
政府備蓄米の買い入れも26年産から再開する。店頭からコメがなくなり当面の買い入れを中止していた。農水省は農家と事前に契約し、26年産21万トンを確保する予定だ。集荷業者など民間による備蓄制度の導入も検討している。
政府はコメ余りによる米価下落を防ぐため、主食米の需給を均衡させようとしてきた。18年に都道府県ごとの生産数量目標を行政が配分するのをやめ、農家が自由にコメをつくれるようになった。だが、それ以降も農水省が需要予測に基づく生産目安を示しており、飼料米などへの転作を促す補助金を通じて事実上の生産調整が残る。
石破前首相はコメ不足が米価高騰につながったとして、生産量を抑えて米価を維持する農政の見直しを打ち出した。増産を主導した石破氏や小泉進次郎前農相の退任によって、農家の経営安定を最優先し生産抑制を主張する自民党内の声が勢いを取り戻した。
鈴木憲和農相は22日の就任記者会見で、コメは「需要に応じた生産」が原則とした。「現状で不足感は解消された」とし、「マーケットありきで考えるべきだ。無責任にずっと増産し続けるのは難しい」との見解を示した。
25年産主食米の生産量は備蓄米の買い取り中止分を含め前年比10.1%増の747万7000トンを見込む。米価高騰で飼料米や大豆などへの転作を減らし、主食米をつくる農家が増えた。しかし、国内は人口減が進む。食文化の異なる海外市場への輸出拡大など新規需要を開拓できなければコメ余りを招く可能性がある。
足元の価格水準は一段と不透明になった。鈴木氏は備蓄米放出の判断基準について、備蓄米の店頭価格を「5キロ2000円」としていた小泉氏の路線は踏襲しない方向だ。22日の就任記者会見で「量が足りない時はしっかりと出す」と表明する一方、価格の引き下げを目的とした放出は控えるとした。
今の価格水準が続けば民間企業のコメ輸入がさらに拡大する可能性がある。日本は無関税のミニマムアクセス米として毎年77万トンほどを海外から輸入し、この枠を超えると1キロあたり341円の高関税がかかる。国内の米価高騰で関税分を上乗せしても割安感が生じた。日本の食卓に輸入米が定着すれば、生産基盤の将来の弱体化につながりかねない。
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(更新)- 大泉一貫宮城大学 名誉教授分析・考察
令和のコメ騒動以降の動きを的確にまとめているよい記事です。コメ政策が猫の目のように変わっているのが分かります。関係者は混乱するだけでしょう。 10月24日現在、米価は史上最高値で推移しています。ただこの相場は、過剰下の最高値という不均衡の上に成り立っています。それだけに下落どころか暴落の可能性すらあります。 JA全農が前年より50万㌧多く集荷しろと号令をかけたのがそもそもです。農協がノルマ達成に必死になり集荷競争を激化させ高値を呼び込みました。もちろん夏場の気象条件による不作情報も影響しています。コメバブルに浮かれてるコメ業界ですが、今後米価暴落という怖い話が待ってるかもしれません。
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