21日に召集される臨時国会では冒頭で首相指名が行われる予定だ。首相指名は衆議院の優越があるので、衆議院の議席配分が重要となる。
自民196、公明24、立憲148、維新35、国民27、れ・新9、共産8、有志7、参政3、こども2、無所属6の計465。自公であれば220で過半数233に届かないが、自公以外がまとまる可能性が少ない中、比較優位で首相指名は自民党総裁の高市早苗氏が選ばれる公算が大きかった。
しかし、公明離脱で、自民196だと、立憲・維新・国民で210になるので、野党は色めきだった。特に、立憲は、国民代表の玉木雄一郎氏の指名を言い出し、国民と維新にアプローチした。
一方、自民も国民と維新にアプローチした。政策に責任も持つという言い方で首相指名は高市氏だが、責任を持つためには閣僚ポストを出すというメッセージだった。政策をみると、自民と似ているのは国民と維新だ。立憲と国民には安全保障とエネルギーで大きな溝があり、維新との間はさらに大きい。このため、筆者は国民が立憲を説き伏せても、維新は立憲と協力するのは無理だろうと思っていた。
そうした中、維新は高市首相指名と言い出した。玉木氏からみれば、立憲から首相ポスト、自民から財務大臣ポストを出されているときに、維新が大臣ポストもいわずに高市氏指名と言い出した。玉木氏から「維新は二枚舌。早く言って」との恨み節が出た。
だが、維新代表の吉村洋文氏は冷静だった。自民からのアプローチは国民が先で、政策実現優先ならポストうんぬんでなく、自分が国民の立場なら高市氏指名と言った。立憲は玉木氏指名を取り下げ、野田氏指名でいくという。玉木氏は立憲にいいようにもてあそばれた。
これで、首相指名はほぼゲームセットだ。自民と維新で231。過半数に届かないが、圧倒的数字だ。多数派工作が行われて過半数に達する可能性もある。
吉村氏は大阪・関西万博成功に続き今回で2打席連続ホームランとなり、大谷翔平ばりの活躍だ。日本初の女性首相誕生でホワイトナイト(白馬の騎士)の役割もした。今年の予算成立で、自公に協力して国民の減税案をつぶしたという汚名返上でもあった。
立憲の玉木氏指名はとんだ案だった。もし成功すれば高市氏つぶしになるが、失敗しても玉木氏つぶしになるという、世にも恐ろしい毒まんじゅうだった。
臨時国会では首相指名の後、反対のほぼいないガソリン税減税が審議されるのではないか。
(たかはし・よういち=嘉悦大教授)