政府観光局の15日発表によれば、9月の訪日外客数は326万6800人で、前年同月比では13・7%増となり、9月として過去最高を更新した。9月に300万人を超えたのは初めてだ。また、9月までの今年の累計は3165万500人。過去最速で3千万人を突破した。
今年1~9月の累計で訪日外客数の多い国は、中国748万7200人(前年同期間比42・7%増)、韓国679万3600人(同5・0%増)、台湾503万6700人(同9・8%増)、米国239万7700人(同22・3%増)、香港182万2700人(同7・6%減)などとなった。
観光局の影響要因の説明は、例えば9月は、夏のスクールホリデー後の需要が落ち着く時期であるが、航空便の増加や新規就航が訪日外客数を押し上げたとしている。これでは事象を説明しているだけで、分析的なものとはいえない。
観光局が提供している2003年1月からの訪日外客数をみると、為替に関係しているのが、直感的にも分かる。
調べてみると、コロナ期の入国制限があった期間(20年3月~22年9月)を除いて、訪日外客数とドル/円の為替には0・7程度の相関係数がある。10円の円安により年間ベースで360万人程度訪日外客数は増える。もちろん、月ごとの傾向には季節要因があるが、それを無視しても、こんな高い相関があるのは驚きだ。
こういってしまうと、身も蓋(ふた)もないが、各種の施策を行うより、円安が訪日外客数増加に寄与する。
一方、訪日客数の増加はいわゆるオーバーツーリズム問題をもたらす。渋滞や公共交通の混雑、ごみのポイ捨てなどによる景観の悪化、観光客による騒音、観光客と地域住民とのトラブル、治安の悪化などだ。
その対策としては、観光施設への訪日外国人を対象とした入場料の値上げ、観光客の受け入れ制限、米国、英国、フランスなどでよく行われる特定エリアでの自撮り制限などがある。罰則を伴う観光客への行動制限もあるだろう。
いずれも、観光客に対し自発的協力を求めるものにとどまらない。金銭的な誘因でオーバーツーリズムに対処しようとしている。しかし、こうした対策をとるにも一定の手続きや時間が必要なので、日本ではほとんど導入されていない。
なお、本コラムでかつて記した通り、中国人観光客向けビザの緩和は論外であると、私は改めて指摘したい。
(たかはし・よういち=嘉悦大教授)