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Conversation

通信の秘密に関わる懸念などから反対の声も出ましたが、野党の多くも賛成して成立してしまいました。今日は、自衛隊と公安警察の動向に詳しいお二人から、こうした動きをめぐってお話をうかがいたいと思います。 石井 能動的サイバー防御法、横文字で〈アクティブ・サイバー・ディフェンス法〉、その頭文字でACD法と呼ばれていますが、この法律をめぐっては、外国からのサイバー攻撃に対して、まずは警察が、そこで手に負えなければ自衛隊も加わって積極的に防御する、と説明されてきましたし、多くのメディアもそう報じています。警察は平時からサイバー空間をパトロールし、おかしな兆候を見つけたら先手を打ってその攻撃元に侵入して「無害化措置」をとる。そして武力攻撃事態ということになれば、自衛隊が前面に出て無害化するということで、サイバー空間ではあるけれども、基本的には安全保障分野の法律だと理解されていることが多いと思います。 しかし、実態はかなり異なるようです。この対談に先立って複数の関係者に取材したところ、たとえばある防衛省幹部は、これは警察の権限を強くするために警察主導でつくられた法律だと言い切っていました。自衛隊は、平時は自分たち(防衛省・自衛隊)を守る。グレーゾーンになったら警察のお手伝いに入る。自衛隊にはその程度の計画しかなく、実態としては警察による警察のための法律だ、と。 青木 今回の能動的サイバー防御法の作成過程や国会審議などで僕が注目していたのは、防衛省・自衛隊と警察のどちらが主導権を握るか、という点でした。結局のところ警察が主導権を握る形になったわけですね。 石井 そのようです。しかも、かなり警察は周到に準備していたといえます。2022年4月には警察庁にサイバー警察局を新設して、その実動部隊として警察庁の関東管区警察局にサイバー特別捜査隊を設置しました。ACD法の成立前の2024年4月にはサイバー特別捜査部に格上げしています。警察庁が皇宮警察本部以外で直接、捜査権とそれを行使する部隊を持つことに道を開いたわけです。すなわち、FBI(米連邦調査局)のような捜査を警察庁ができるようになった。このことの意味は決して小さくありません。