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成田事変④

我々アメリカ合襲国にとっての最高のシナリオは、あくまでも撃ち合いのリスクを冒さずに4カ国連合を空振りさせてしまうことです。

空港のゲートを出る前の、チケットを持たない一般人は侵入出来ない無敵の領域に相手が諦めるまでBOが留まってくれることが何よりの理想です。

帰国翌日の12/20にはマスイベが予定されていたので、どれだけ打倒アメリカの執念が強かったとしても20日の朝には相手は引き返すはずです。BOの帰国が19日の16:00なので、半日少し空港で粘ることが出来ればこちらの勝ちです。

その日アリエンと遭遇した後に私が一緒に飲んだ非カクレンジャーの知人は海外渡航経験が豊富だったので、外部から侵入出来ない無敵の聖域内に翌朝まで過ごせる仮眠場所のような施設がないか尋ねてみました。

するとその友人が言うには、

『そういう場所はあるが、法律の関係上、日本に帰国した日本人が利用出来るかは非常に微妙。本来、例えばアメリカに行くオーストラリア人が日本で乗り継ぎをする時に、成田発の飛行機が出るまで休む、というような使い方をするためにあるところだから』

とのことでした。流石に法律も絡んでくる可能性がある危ない橋を渡らせる訳にはいけません。BO個人にとってマズいのはもちろんですが、アメリカにとっても、最悪の場合はマスターから大きなペナルティを課されてしまう危険があります。

そうしてアメリカLINEで襲撃回避のためのアイディアを出し合っていた時、大佐から衝撃のメッセージが届きました。 

『やっべブラアウ100%今確定した マスターに質問の件「どうなってる?急ぎではあるんだけど」って電話したら「ブラアウ何時に帰ってくるの?」って聞かれた もう300%ブラアウだ』

アメリカの天才軍師大佐が、成田で泥沼の撃ち合いになった場合のあらゆるケースを脳内でシミュレーションして、その中で生まれたルール運用上の疑問点をいくつかマスターに問い合わせていたのですが、いつまで経っても返事が来ないので電話で確認したところ、なぜか今日帰国することをマスターが知っていたというのです。

BOから帰国予定日を教えてもらっているのはアメリカ国民だけなので、マスターが知っているはずがありません。

アメリカを目の敵にしている4カ国連合の誰かが何らかの手段でその情報を掴み、マスターにこの日の成田襲撃計画を伝えたと考えるのが妥当です。

その証拠に、大佐がどこかの国がこの19日に発動させた「x倍期間(この日限定で3倍期間となる)」についてもマスターに尋ねたところ、『いやー俺らも点数調整しなきゃいけないと思ってるからさー』との返事がかえってきたと言うのです。

「点数調整」とは、現時点でアメリカやその友好国エリュシオンが独走状態となっているため、もっと各国のポイントを拮抗させるということでしょう。

つまり、『点数調整しなきゃいけないと思ってるから』という発言は、マスターが連合国側のどこかの国に「x倍期間」を発動させるための条件を教えたか、その国が条件を満たせるように密かに発動条件を変更していたとマスター自ら認めたも同然なのです。少なくとも、何らかのヒントは与えたと見るのが自然です。

このマスターと連合国側の癒着を疑わざるを得ない事態にアメリカ一同は沸き立ち、温厚な武士の誉までが怒りをぶちまけ、国王セシルに至っては『第三者視点で見たらゴミカスクソゲー』とまで言い放ち、かくれんぼ同窓会自体から脱会しかねないほどの勢いでした。

確かにアメリカの 

『爆弾FUCK!!〜抜かずの50連発中出し〜作戦』(パイパンによる命名)

は、ルールの穴をついた面はありました。

しかし、決してイカサマなどではなく、あくまでも徹頭徹尾マスターの作ったルールに則った作戦であり、何より失敗した場合は莫大なマイナスポイントを抱えて終わるという大きなリスクの伴うものでした。

連合国側は、あたかも狡猾にノーリスクでポイントの荒稼ぎをしたかのような印象を抱いていたようですが、断じてそのような事実はなく、ダントツ最下位転落の危険と隣り合わせのハイリスクハイリターンな作戦だったのです。ポイント強盗のような非難を受ける謂れは全くありません。

もし本当にマスターが4カ国連合に懐柔されてアメリカに高得点で撃ち込めるように陰で力添えしているのであれば言語道断です。

そのような公平性を欠いた態度はマスターが厳に慎むべきものであり、ゲームを面白くするためという名目でゲームをぶち壊してしまうようでは本末転倒です。

アメリカ合襲国内にはマスターに対する憤りと不信感が募りましたが、懐柔されている傍証はいくつもあるものの真相は藪の中ですし、苦情を言ったところで何も始まりません。帰国時間も迫っており怒ってる時間も勿体ない。何より、この苦境を乗り越えれば最高にカッコいい。

アメリカ一同は怒りの炎を逆境打破への情熱に変え、再び合同襲撃回避のための様々な案を出し合っていきました。  

我々への憎悪を募らせこの日のために国家間で連携して作戦を立て、さらにはマスターの懐柔という禁じ手まで使ってきた相手を空振りさせられたら超痛快です。想像するだけで楽しくなってきます。

確実に撃たれないで済むのは到着空港を変えてしまう方法であり、それで余分に発生したお金についてはアメリカ国民で出し合うことで国民の意見は統一されていましたが、アメリカLINEでこの案について検討している間ブラアウはwifiの繋がらない環境にいたらしく、BOが再度議論に加わることが出来た時には既にチェックインを済ませて荷物を預けてしまっていました。

それでもダメ元で今から飛行機を変更できないか聞いてみてくれたのですが、航空券に早割を効かせてある都合上不可とのこと。

16:00成田空港着の飛行機に乗ることが不可避となった以上、成田で4カ国連合のBO包囲網を突破するしかありません。

ここで青山アラモード(ぷりんちゃん)が『ブラアウが搭乗機をハイジャックして日本の別の空港に着陸させるかNYに引き返させる』というぶっ飛んだ提案(『飛行機が着陸するぞ!ただし着陸地はNY』作戦)をしましたが、荒唐無稽すぎて全員スルー笑

予定通り成田に着いた上で空振りさせる最善策は、チケットを持たない人は入れないゲート内部に留まって翌朝まで粘ることであり、標的とされているBO本人も『無限うんこ OK』と出来ることは何でもやる覚悟でしたが、調べたところ22:00には一旦締め出されてしまうという事実が判明。その時間であれば十分に終電にも間に合うため、相手方が諦めて引き返してくれるはずがありません。

無限うんこと並ぶ最強の策として、仮病で体調不良を訴えて空港内の医務室に留まるか最悪救急車に乗せてもらうという案も出ましたが、非参加者に迷惑をかけ過ぎる上にそもそも人として絶対に越えてはいけないラインを越えてしまっているので即却下。では仮病がダメなら知人に頼んでゲート越しにBOにリアル毒キノコを渡してもらってガチの体調不良になるという策(ブラアウ捨て身の毒キノコテロ作戦。BO本人がどこまで乗り気だったかは不明)も検討されましたが、その知人が捕まりでもしたら「非参加者への迷惑」なんて次元を超越した大問題になるためこれも断念。

こうなると、何とか相手に勘付かれずに空港から脱出するしかないのですが、無敵の聖域の外に出る以上、どんな手段を取るにしても失敗のリスクをゼロにすることは出来ません。

失敗した時にBOしかアメリカ国民がその場にいなければ、1人で撃ち返したところで圧倒的な火力差により甚大なダメージを受けて終わりです。

この日は3倍期間で、現場は交通費の高い成田。連合国側が持っている爆弾は、仮爆弾含めて4つ。大佐の試算では、最悪の場合15万ポイントくらう可能性があるとのこと。それだけのダメージを受けてまともに反撃できないようでは、1日で首位から最下位転落という最悪のシナリオも十分にあり得ます。

そうならないためには、アメリカもそれなりの火力で撃ち返さなければいけません。こちらが一方的にやられることを意味する『成田4カ国合同襲撃』ではなく、壮絶な撃ち合いを指す『成田事変』にしなければいけません。そのために必要なのは、何よりも現地に行けるアメリカ国民の頭数です。

相手をクソ寒い成田で空振りさせることが最優先ですが、失敗して撃たれてしまった場合に備えてアメリカ国民もこっそりと現地に集まっておく必要があります。  

つまりこの時、結果として襲撃を回避出来るか撃ち合いになるかは別として、アメリカ国民一同が成田に出撃することが、正式に決定したのでした。
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