証券会社の源泉徴収は「過大」 外資株めぐる税務処理で判決
証券会社が数十年以上にわたり顧客から徴収してきた税金の計算方法は正しいのか。この点が争点になった民事裁判の判決で、東京地裁が7月に「誤り」と判断し、原告である1人の顧客から過大に徴収した分を返還するよう命じていたことがわかった。 【図】「みなし配当」の源泉徴収をめぐる判決の認定のイメージ 被告の岩井コスモ証券(大阪市)は他の顧客からも同じ方法で徴収しており、取材に対して「今後の対応方針について慎重に検討を重ねる」とコメントした。 識者はこうした誤徴収が発覚するのは珍しく、「氷山の一角」である可能性を指摘する。 判決によると、原告はコスモ社の口座で米通信大手AT&Tの株を保有。2022年4月ごろにAT&Tが事業の一部を切り離す会社分割を実施したのに伴い、新設された会社の株をコスモ社を通じて受け取った。 この取引は株の配当には当たらないものの、税法上は「利益の分配」とみなされて課税対象となる。この「みなし配当」と呼ばれるルールにもとづき、コスモ社は原告に交付された新会社の全株の評価額(約7万8千円)に税率約20%を乗じた約1万5900円を所得税分などとして原告から源泉徴収した。 一方、原告は徴収額に誤りがあると反発。本来の算出方法にもとづけば税額は565円だとして、差額の約1万5300円の返還を求め、裁判を起こした。 裁判でコスモ社は数十年にわたって全額をみなし配当の課税対象として取り扱ってきたが、税務当局から「違法を指摘されたことはない」などとして税額の算出方法に問題はない、と主張した。しかし判決は「適法な源泉徴収であったとは認められない」と判断。原告の請求を認めて約1万5300円を返すよう命じた。 原告、被告ともに控訴せず、判決は確定した。(中野浩至)
朝日新聞社