●24年、全国トップの伸び率「上げ底」可能性
2024年に石川県内で宿泊した外国人は何人か。その数字を巡り、それぞれ推計を公表している国と県で約2倍の開きが出ている。県が110万人だったとするのに対し、観光庁の推計は220万人で、かつてない「乖離(かいり)」に。要因は調査数の違いで、より全数に近い県の結果が実態を反映しているとみられる。国推計で都道府県別全国トップとされた石川の伸び率は「上げ底」の可能性が大きくなっている。
24年の外国人延べ宿泊者数について、観光庁が今年6月に発表した数字(確定値)は、石川が219万9860人。コロナ禍前の19年(98万4720人)と比較すると、2・23倍で全国最高の増加率だった。
一方、石川県が4月にまとめた外国人延べ宿泊者数は、110万5619人。円安や北陸新幹線の延伸を背景に、19年(76万7270人)から伸びてはいるものの、1・44倍にとどまっている。
県文化観光スポーツ部次長の北口義一国際観光課長は「観光庁の発表で、全国的に石川県が『MVP』だと思われ、他の自治体からなぜ増えたのかと問い合わせがたくさんあった」と話す。県としては、それほど大きな増加と感じていないという。
●調査数の違い原因か
数字の差はどこから来るのか。国と県によると、調査サンプル数の違いが原因とみられる。
観光庁によると、規模が大きな宿泊事業者は全数調査の対象としているが、従業員数が10人未満の施設は抽出。この値を基準として施設の数から推計を出している。
対する県は市町に依頼して、規模を問わず全宿泊施設に調査票を送り、人数や国籍を調べている。回答がない施設に関しては、より近い数字として周辺の宿泊施設の人数をカウントしているという。
さらに、24年の観光庁調査では、能登半島地震の影響が大きいとして宝達志水以北の9市町を対象から除外。比較的、外国人観光客が多く訪れる金沢周辺のサンプルがいつもより多くなる形となった結果、それが基準値となって全体の推計を押し上げ、県の調査と2倍という開きが生まれたとみられる。24年の日本人の延べ宿泊者数は、県のデータが年内にまとまる予定で、同様の乖離が出る可能性がある。
観光庁観光統計調査室の担当者は「正しい形で調査し、問題ないと認識している」と強調する。県は、観光庁の数字を他県との比較など参考データとして活用しているとし、北口課長は「傾向の分析などには必要な数字」と話した。
●「数字すり合わせを」金大・長尾特任教授
公的統計や統計調査を専門とする金大人間社会研究域経済学経営学系の長尾伸一特任教授は「基本的に公的な統計は正しい数字であると認識されている」と指摘。施策の立案などにも利用されることから「どちらが正しいか判断できずに困るような数字を出すのではなく、国と県ですり合わせて公表してほしい」と述べた。