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はるな愛の映画。全裸監督、極悪女王、地面師たちに続く、Netflixだからこそ「実録」の勝算 #エキスパートトピ

斉藤博昭映画ジャーナリスト
写真:つのだよしお/アフロ

はるな愛の半生と、彼女に性別適合手術を行った和田耕治医師との関係を描いた実録物語が、Netflixで映画化。『This is I』(ディス・イズ・アイ)のタイトルで、2026年2月配信の発表がなされた。

このニュースに対するコメントも、おおむね期待感を高めるものが目立っている。実在の人物や事件で、映像化に高いハードルもある作品は、今やNetflixに任せるしかない……。過去の成功例の流れから、そんな安心感が観る側にも生まれているようだ。

ココがポイント

はるな愛こと大西賢示と、その運命を変えた医師・和田耕治(略)タブーとされていた性別適合手術の扉を開く2人の物語を映画化
出典:映画ナタリー 2025/10/24(金)

Netflixの人が拾ってくれた(略)「やれるだけやってください。文句をいわれたら対処します。うちは弁護団もいるんで」
出典:文春オンライン 2021/2/4(木)

増量にあたって月に一度の健康診断を行い、トレーニングのために自前のジムを作った(略)現状ではNetflixにしかできない
出典:シネマトゥデイ 2024/10/9(水)

日本航空351便ハイジャック、通称“よど号事件”(略)ナンセンスやブラックなネタがたっぷり注ぎ込まれ(略)楽しませる
出典:Safari Online 2025/10/24(金)

エキスパートの補足・見解

このような「実録モノ」は、たとえば大手の映画会社や地上波テレビの製作となると、センシティブな面、実際に関わった人たちへの“忖度”によって、表現の制限が余儀なくされ、きれいにまとまってしまう可能性も高い。逆にインディペンデントの会社の製作の場合、忖度ナシで挑んでも、製作費がかけられないジレンマに陥ったりも。

そこで大きな受け皿となっているのがNetflixで、「全裸監督」以来、「極悪女王」「地面師たち」など比較的、恵まれた予算で実在の人物/事件をリアルに、鋭く映像化した成功例が相次いだ。『This Is I』は「極悪女王」に続き、鈴木おさむが関わっている点も期待値を上げる。

これは韓国作品だが日本人キャストも多く活躍する、この10月配信の『グッドニュース』は、1970年の日航機ハイジャック事件を描きつつ、ブラックな笑いや、とぼけたユーモアも満載。実在の事件に対し“不謹慎”と捉えらえそうなこのアプローチも、日本の大手会社では不可能だっただろう。

『This Is I』はドラマシリーズではなく1本の映画。誠実かつリアルな再現に、エンタメとして楽しませる果敢なチャレンジ精神も予感。実録モノの新たなエポックになるか。

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ありがとうございます。
映画ジャーナリスト

1997年にフリーとなり、映画専門のライター、インタビュアーとして活躍。おもな執筆媒体は、シネマトゥデイ、Safari、スクリーン、キネマ旬報、VOGUE、シネコンウォーカー、MOVIE WALKER PRESS、スカパー!、GQ JAPAN、 CINEMORE、BANGER!!!、劇場用パンフレットなど。日本映画ペンクラブ会員。全米の映画賞、クリティックス・チョイス・アワード(CCA)に投票する同会員。コロンビアのカルタヘナ国際映画祭、釜山国際映画祭では審査員も経験。「リリーのすべて」(早川書房刊)など翻訳も手がける。連絡先 irishgreenday@gmail.com

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