生活保護費を再び減額 「ゆがみ調整」可能と認識 判決受け厚労省
国による2013~15年の生活保護費の大幅な引き下げを違法とし、処分を取り消した最高裁判決を受け、厚生労働省は23日の専門委員会で、引き下げ措置のうち違法とされなかった方法で改めて保護費を減額しても、判決の拘束力に抵触しないとの考えを示した。原告側は減額された全額の支給を求めている。
国は食費や光熱水費などの生活費にあてられる生活扶助について、13年からの3年間で平均6・5%、最大で10%引き下げた。その最も大きな要因は、物価変動率を指標にして物価下落を反映させる「デフレ調整」だった。しかし、デフレ調整は審議会で審議されず、最高裁判決では、判断の過程と手続きに「過誤、欠落があったというべき」とし、生活保護法違反と認めた。一方、一般の低所得世帯と生活保護世帯の均衡を図るために実施された「ゆがみ調整」は違法と認められなかった。
厚労省は委員会で、ゆがみ調整については「最高裁判決において、処分の違法性を直接基礎付けるものとはされていない」などと指摘。今回のような行政処分の取り消し訴訟で行政側が敗訴すると、同じ理由で同じ処分を繰り返してはいけない「反復禁止効」が生じるが、「反復禁止効に抵触しないと言えるのではないか」と資料で示した。
一方、デフレ調整に代わり、当時の消費の実態に基づいて保護費を引き下げる水準調整の考え方も示した。これについては反復禁止の考え方などとの整理が必要とし、「引き続き検討することが適当」とした。水準調整をやり直すのかどうかについては、次回の委員会で引き続き議論する見通しだ。
原告側は13~15年のゆがみ調整、デフレ調整による減額処分が取り消された状態にあり、減額された全額の支給を求めている。
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