7月参院選1票の格差、大阪高裁は「合憲」 無効請求を棄却
「1票の格差」が最大3.13倍だった7月の参院選は憲法が定める投票価値の平等に反し違憲だとして、弁護士グループが選挙の無効を求めた訴訟の判決が24日、大阪高裁であった。川畑正文裁判長は格差を「合憲」と判断し、選挙の無効請求を退けた。原告側は上告する方針。
升永英俊弁護士ら2つのグループが全国14の高裁・高裁支部で起こした計16件の訴訟で初の判決。11月中に全ての判決が出そろう見込みで上告されれば、最高裁が統一判断を示す。
川畑裁判長は判決理由で、2022年の参院選から格差が0.1ポイント広がった点について「有意な格差の拡大が生じたとまではいえない」と判断した。
その上で、隣接県で選挙区を統合する「合区」を導入した県で投票率が低下していることなどを踏まえ、不均衡解消の方策には国民の広い理解が必要だと指摘。7月の参院選までに是正が進まなかったのはやむを得ないとした。
一方、国会に対しては格差是正の課題が「さらに切迫したものになった」とも言及し、具体的な措置をとるよう求めた。
22年の参院選(最大格差3.03倍)は一審の高裁レベルで「違憲」1件、「違憲状態」8件、「合憲」7件と判断が分かれた。最高裁は「合憲」とした上で、国会での制度改革に向けた具体的な検討が進展しておらず「格差のさらなる是正は喫緊の課題」と述べた。
25年7月20日投開票の参院選は、議員1人当たりの有権者数が最少の福井選挙区と最多の神奈川選挙区との格差は3.13倍だった。前回の22年参院選(同3.03倍)からわずかに拡大した。
参院選の1票の格差を巡っては、最高裁が10年(同5.00倍)と13年(同4.77倍)に実施された選挙を「違憲状態」と判断。国は15年に公職選挙法を改正し、合区を導入した。
16年の参院選は「鳥取・島根」「徳島・高知」を合区とするなどした結果、最大格差が3.08倍に縮まり、最高裁は「合憲」と結論付けた。19年(同3.00倍)も「合憲」との判断を維持していた。
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