「現場任せにしないで」「綱渡り状態」 放課後に小学生預かる「子どもプラザ」施設職員の悲鳴
利用希望が増加
放課後や長期休暇中の小学生を預かる長野市の「放課後子ども総合プラン」。共働き家庭の増加などに伴い、利用を希望する家庭が増加する中、人員やスペースなど受け入れ態勢の確保に苦慮する施設もある。受け入れ施設からは「現場任せにしないでほしい」との声も漏れる。 【写真】児童センターの実際の様子
「1人でも休めばままならない」
「そうめんパーティーだ」 8月上旬、同市津野の長沼小学校に隣接する長沼児童センター。児童約30人が流しそうめんを楽しんでいた。夏休みも同センターで過ごす子どもたちに、夏の風物詩を味わってもらおうと企画した。
この日は県立大(長野市)こども学科の学生らがボランティアとして参加。こうした地域の協力もあり、定期的にイベントを開いているが、館長の男性(72)は「日頃の運営は、職員が1人でも休めばままならなくなるほどの綱渡り状態」と話す。利用児童は多い日で50人を超える。補助スタッフも加えた5人で何とか対応しているが、「規模の大きいところはもっと大変だろう」とおもんぱかる。
施設による格差が拡大
学生を引率していた同科の中山智哉教授(48)=臨床心理=は放課後子ども総合プランの実情について「本来は体験格差の是正という役割もあるが、それ以前に施設によって子どもの過ごす環境の差が大きい」とする。全国的にも放課後の過ごし方は地域任せになりがちだとし「まずは施設面での課題や保護者らのニーズを把握することが重要」と指摘する。
「子どもにつらい思いさせてしまった」
古牧小学校内の古牧子どもプラザの登録児童は3~6年計約180人。1日の利用人数は平均70人ほどで、週の半分は定員を上回る。
夏休み中は100人を超える日もあり、一部の子には、冷房の効かない廊下に机を並べて過ごしてもらうよりほかなかった。古川富三館長(77)は「子どもにつらい思いをさせてしまった」と嘆く。
「どの施設も苦労している」
普段使っているのは冷房設備などの条件がそろった広さ約60平方メートルの2教室のみで、児童が体調不良になっても職員の椅子などをどかして部屋の端に寝かせるしかない。「どの施設も苦労している」と古川館長。学校との協議も含め「市は現場任せなところがあるのではないか」と感じる。施設利用の改善に、市の積極的な関わりを求める。
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