「グエー」、臨終のユーモアがネット揺さぶる◆死の間際に投稿予約?がん研究機関に「香典」続々
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◇葬儀で知ったX投稿
奏琉さんがXに投稿していたことを知らなかった和彦さん。葬儀の後に奏琉さんの友人から教えられ、亡き息子の投稿を読み返した。「つらい」「苦しい」とは決して漏らさなかった奏琉さん。友人の見舞いを受けたことを喜んでいる様子が分かり、「こう思ってたんだな。良かったな」と感じたという。 「グエー死んだンゴ」という投稿がネット上で注目を浴びていたこともこの時に知った。なぜこんな投稿をしたかについては、「仲のいい友達とツイッターをやっていたので、たぶん仲間内での最後の冗談とか、そういうことだったのでは」と推し量った。 ◇「少しでも患者の力になれたら」 研究機関に「香典」代わりの寄付が集まっていることについて、和彦さんは「すごいことだなと思うと同時に、良いことだなと思う」と驚いた様子。「奏琉は亡くなってしまったが、闘病中の人も、これからがんになる人もいる。そういう人たちのため、少しでも力になれたら」。入院中は医師や看護師らから良くしてもらったとも明かし、彼らのためにも寄付はありがたいと述べた。 「短い人生だったと思うが、何かしら本人の足跡が残せたなら嬉しく思う」と話した和彦さん。「故人も天国で笑っていると思います」と述べ、寄付をした人たちに「感謝の言葉しかない」と語った。また、「お金が集まったからすぐに解決するものではないとは分かっているが、日々研究は進んでいると思うので、ちょっとずつがんの治療が進めばいい」とがん研究の進展に期待を込めた。 ◇「香典代わり」、がん研究の「支援の輪」 奏琉さんの投稿に心を打たれたネットユーザーは続々と、がんの研究機関に寄付を行ったと報告した。X上には、「敬意を表してお香典包んだ 」「やらない善よりやる偽善」「若い人が亡くなるのは本当に悲しい」といった文面と共に、振り込み画面を張り付けた投稿があふれた。寄付先には、公益財団法人がん研究会や国立研究開発法人国立がん研究センターの名前が挙がった。 がん研究会によると、10月18、19日の土日を中心に寄付が多く集まったという。1000件ほどで、総額で数百万円程度に上った。担当者は「一度にこれだけの件数はかなり珍しいことだ」と驚いていた。 寄付金は主に、病院や研究所で使う医療機器や患者の利便性改善に使われるという。担当者は「ご寄付はありがたく活用したい。がん克服に向けてまい進したい」と感謝を述べた。 一方のがん研究センター。寄付をした人たちのX上への投稿からは、1万件を優に超える寄付があったとみられる。担当者は具体的な金額などは明かさなかったものの、「件数は増加している」と述べた。寄付には「Xのポストを見てがん医療・がん研究の支援のために寄付をしたい」「医療従事者への応援やがん克服への願いを込めたメッセージ」などのコメントが添えられていたという。 担当者は「SNSを通じて多くの方々が寄付という形で支援の輪を広げて下さったことに、心より感謝しております」と謝意を示した。寄付はがん研究センターの基金を通じ、がんの調査研究や技術開発、診療体制の整備、患者支援などに活用するといい、ホームページ上でも「寄付金の活用報告」を公表しているとした。
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