蜂蜜の歴史 ー 人とミツバチの古いつながり
今日は雨で養蜂の作業がなかったので、
前から気になっていた「はちみつの歴史」について、ゆっくりまとめてみることにしました。
調べれば調べるほど、はちみつが“ただの甘味料”ではなく、
長い年月をかけて人々の暮らしとともに歩んできたものであることが分かりました。
世界のはちみつのはじまり
はちみつの利用は、人類史のとても早い時期に始まっています。
スペインのアラーニャ洞窟の壁画(約8,000年前)には、
人が蜂の巣からはちみつを採取する様子が描かれています。
古代エジプトでは、はちみつは食用だけでなく、薬や神への捧げ物としても使われていました。
ミイラの防腐にも使われていたそうで、保存力の高さが知られていたことがわかります。
また、古代ギリシャでは医師ヒポクラテスがはちみつを薬として処方しており、
ローマ時代には兵士の栄養源としても重宝されていました。
当時すでに、粘土製や木製の巣箱を使った「養蜂」が行われており、
人とミツバチの関係は、今のように“飼う”という形に進化していきました。
日本のはちみつと養蜂の歴史
飛鳥・奈良時代
日本で「蜜蜂」の記録が最初に現れるのは『日本書紀』です。
皇極2年(643年)に、百済の王子がミツバチを三輪山に放したという記録があり、
日本での養蜂の最初の試みだったといわれています。
また、奈良時代の天平11年(739年)には、渤海国から「蜜三斤」が聖武天皇に献上された記録があり、
当時の蜂蜜が高価で貴重な品だったことがうかがえます。
平安〜江戸時代
平安時代には「延喜式」に蜂房や蜜の記録が見られ、
貴族たちの間でも蜂蜜が珍重されていました。
その後、江戸時代には貝原益軒の『大和本草』などに蜂蜜の記述が登場し、
薬として、また栄養源としての価値が知られるようになりました。
近代(明治以降)
明治時代には、西洋の養蜂技術とセイヨウミツバチが日本に導入されました。
それにより、採蜜量が飛躍的に増え、
はちみつは一般の家庭でも使われる身近なものになりました。
自分で文献を読んでみると、
はちみつが「人の歴史と共に歩んできた食べ物」であることを強く感じました。
昔の人も、今の自分と同じように、
花の香りやミツバチの働きに魅せられていたのだと思うと、
養蜂の時間がもっと特別に感じられます。
祖父が続けてきた養蜂も、この長い歴史の延長線上にあります。
私も採蜜を手伝いながら、少しずつその知恵を受け継いでいきたいと思います。
参考文献
日本養蜂協会『日本の養蜂史』(beekeeping.or.jp)
Japanese Honeybee Society『日本のミツバチの歴史』(japanese-honeybee.info)
The Honey Association “History of Honey” (honeyassociation.com)
Queen Bee Farms “The History of Beekeeping” (queenbeefarms.ca)
秋田屋本店『蜂蜜の歴史と文化』(akitayahonten.co.jp)
『大和本草』(貝原益軒, 1709年)
Wikipedia英語版 “Honey” (en.wikipedia.org/wiki/Honey)


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