映画『キリン』(2012)の中で
チョースケがキリンに2度も
ぶん殴られたのは、チョース
ケが箱根でスッ転んでバイク
を廃車にしておきながら新し
いバイクを手に入れてキリン
を挑発したからだ。
その挑発の仕方が、最新型の
車頼りの車自慢に基づくマウ
ント後に勝負しろ、だったか
らだ。
くそダサい。
そういうのでちょろちょろと
挑発して来るから、舐めた口
きいてんじゃねえ、バイクの
事など何も解ってないクソガ
キが、てなとこで無言でキリ
ンに2度チョースケは殴られ
た。
顔面1発ぶっ飛びの後に腹に
1発でさらにぶっ飛びで。
その時、「やめてよ!あなた
とは帰らない」と言ってたこ
れまたくそダサお花畑の不細
工女とその後またねんごろに
なる映画のキリンもすんげく
そダサではあったが。
まあ、キリンがブス女と手を
繋いで最後に走るトンチキを
除けば、キリン以外はトンチ
キが何人も出て来る作品が映
画の「キリン」だった。
本物の乗り屋は老人(日本人で
唯一のマン島TT優勝者)のみ、
という。最後にはキリンを指
して「(あれが)ただのバイク
乗り(=本物のバイク乗り)」と
言う老人のみがスピードの向
こう側を知っていた。
原作では哲学者のようなモヒ
カンでさえただの街のチンピ
ラみたいに映画ではされてい
たし。大鶴義丹、だめじゃん(笑
だが、キリンがチョースケを
ぶん殴るのはあれはあれで正
解だっただろう。
言っても解りゃしないのだか
ら。うぜえから俺に絡んでく
んじゃねえ、とばっさりとね。
あえてスペシャルチューンを
施したカタナではなく、ドノ
ーマルに戻したカタナでデカ
尻ポルシェに挑むキリンの魂
は他の者たちにはほぼ理解で
きない。すべてを悟ったマン
島優勝者の過去を持つ老人以
外は。
要は、排気量マウントや車両
マウントをする連中にキリン
は立ち向かった、という映画
だ。そこは原作に沿っている。
原作者がたびたび新左翼全学
連の権力との闘いのシーンを
サブリミナルのように物語に
挟むのは何故か、という所で。
映画では「このマシンには大
金をかけた」とこれまた勘違
いして「二輪乗り」になった
つもりのモヒカンも走行中
になるべくして自滅した。
キリンの刀も壊れてしまって
最後には高速道路高架線から
壁に激突して海に飛ぶのだが。
二輪対四輪、というのではな
く、車両自慢のマウント野郎
にキリンはそれを拒否する性
根を見せた、という物語だっ
た。
キリンにとってはポルシェ持
ち自慢で優越感を持つ橋本の
ような存在は度し難く赦せな
かったのだ。