西九州新幹線を巡る佐賀県の負担軽減策、国土交通省の事務次官「必要があれば法令改正も検討」
西九州新幹線(武雄温泉―長崎、約66キロ)の武雄温泉駅(佐賀県武雄市)から九州新幹線までの「未整備区間」を巡り、国土交通省の水嶋智事務次官は23日、報道陣に対し、佐賀県などが求める同県の財政負担軽減策について、「必要があれば法令改正も検討していく」との考えを示した。事務方トップとして整備新幹線の国と地方の負担割合を定めた制度改正に言及したもので、整備実現に向けて前進する可能性が出てきた。 【写真】JR武雄温泉駅から佐賀市方面へ向かう新幹線の高架は途切れたままになっている
水嶋次官は同日、国交省でJR九州の古宮洋二社長と会談。古宮氏から佐賀県の負担軽減策を国が示すよう要望を受けた後、報道陣の取材に応じた。
水嶋次官は、未整備区間を山陽新幹線などと同じ「フル規格」で整備することについて、「最大の課題である財政問題を克服する必要があるとの考えで一致した」と述べたうえで、「解決のために法令改正が必要だということになってくれば検討していく」と踏み込んだ。
新幹線は全国新幹線鉄道整備法と施行令に基づき、1997年以降の開業区間は、運行するJR東日本、西日本、九州などが線路などの使用料として30年間、定額を支払う「貸付料」を整備費に充て、残りの不足分を「国が3分の2」、「地元が3分の1」を負担してきた。佐賀県はフル規格は整備費が1兆円超、同県の財政負担が1400億円以上と試算。負担が大きすぎ、在来線の利便性低下も懸念されるとして、国との協議は進まなかった。
水嶋次官は、同省鉄道局の次長や局長などを歴任し、国の整備新幹線の事業に長く携わっており、「整備を実現したいという強い思いを持っている」と強調。法令改正をする場合は、佐賀県と財源スキーム(枠組み)について方向性を共有した後になるとの認識を示した。また、主要財源となる貸付料の見直しを進めるとも説明し、「大きなテーマを議論しなければならない」と話した。
要望した古宮氏は報道陣に対し、「並行在来線などの課題もある。真摯に議論していく」と語った。
一方、佐賀県の引馬誠也副知事は水嶋次官と古宮社長の会談後、佐賀県庁で報道陣の取材に応じた。引馬副知事は、会談で佐賀県の財政負担軽減が焦点になったことについて、「この問題は財政負担だけで解決できるものではない。ルート、在来線など様々な課題がある」との見解を示した。そのうえで、「仮にフル規格でということであれば、全く新しい話。まずは地元でしっかりとした合意が必要だ」と述べた。