たかまつなな「高齢の高所得者はもっと負担を」。若手社会起業家の年金部会委員が提言

2025/03/31 6:30
社会起業家、笑下村塾代表 たかまつなな氏
たかまつなな/社会起業家、笑下村塾代表。1993年生まれ。2012年に慶応大学へ進学、在学中に「お嬢様芸人」としてデビュー。18~20年NHK職員。株式会社笑下村塾を立ち上げ、若者の声を政治に反映するためYouTubeなどでさまざまな社会課題を発信(撮影:梅谷秀司)
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目次

社会起業家で、若者の声を政治に届ける活動をしている、たかまつなな氏。厚生労働省・社会保障審議会の年金部会委員として昨年末までの約2年間、年金改正を議論してきた。31歳の最年少委員が感じた年金制度の課題とは。

 

──年金部会の委員になったのはなぜですか。

「審議会は若者の割合を3割以上にすべきだ」ということを、さまざまなメディアで言ってきた。それで厚労省からお声がかかったので、やらなくてはと思った。

──委員になって感じたことは。

年金の受給額は世代間格差が大きいと思っていたが、実はそれほどではないとわかったことが衝撃だった。若者の間では「年金制度は破綻する」と考えている人が多いが、破綻する可能性は低い。

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今の年金制度がうまく伝わっていない

──X(旧ツイッター)で年金保険料の引き上げに理解を示す発信をしたところ、炎上し、誹謗中傷や殺害予告までされました。

すべての現役世代が負担増になる、という印象を持たれてしまったようだ。実際は、賞与を除いた年収が800万円くらい以上の人は月1万〜3万円ほど保険料が増えるという内容だった。ただ、それくらいの年収でも、確かに子育てで余裕のない人もいる。

年金は100年単位で考えているが、タイミングも悪かった。キャベツの値段が急騰するなど、たいへんなときに負担増の話をされて不満が爆発したのかもしれない。

私は、今の若者が将来もらえる年金が減らないようにと考えて発信したが、それよりも今の負担を減らしてほしいとの声が強かった。

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──年金改正の課題は。

今の年金制度がうまく伝わっていない。5年に1度の財政検証でさまざまなケースを想定し、将来の給付が大きく減らないよういろいろ考えられている。障害者になったらもらえる年金、遺族になったらもらえる年金もある。

ただ、年金制度は複雑だ。納得感や理解を得るのは難しい。厚労省には年金の広報をする部署がある。学生との対話集会を開催しているが、改正が必要な有事の今は、もっと多様な広報をするべきだと思う。将来の年金が不安だという人に正しい情報を届ける努力は、メディアにも求められている。

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在職老齢年金制度の見直し議論

──上の世代に理解してほしいと思うことは。

今回の年金部会では、(65歳以上で賃金と年金の合計が月50万円を超える人の年金はカットするという)在職老齢年金制度の見直しが議論された。カットされる人を少なくしようという方向の議論だ。しかし私は現行制度のままでいいという意見を述べた。自分で働き生活に余裕のある高齢者への給付は抑え、その分を将来世代に回し、世代間格差をなくしていくべきだ。

さらに言えば、より高額な収入を得ている人やより多くの金融資産を持っている人には、もっと負担していただき、将来世代の給付に回すことを検討すべきだと思う。

いろいろな人生経験をしてそれだけの収入や資産を築かれた方なら、今の若者がどれほどの生きにくさを抱え、子育てがどれだけ大変かを理解できると思う。その分、もう少し考慮していただけませんかと言えば、全員とは言わないが、わかってくださる方が結構いらっしゃるのではないかと思う。

(聞き手:福田 淳)

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福田 淳 東洋経済 記者

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ふくだ じゅん / Jun Fukuda

『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などを経て編集局記者。

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