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Conversation

仮処分で発狂してしまった人がいるようなので、ガチ話の経験から話せる内容でも書いていきますかね。 仮処分の一番のネックは「タイムスタンプ・IPアドレス」しか提供されないこと、法令改正によって、申立時に債務者が保有する、権利侵害のあった投稿に最も近接するログインIPアドレス1つしか提供されないことなんです。 複数の投稿があっても、それが近接していたら、X側が恣意的に「これが各投稿に最も近接するIPアドレスです」といって、同一アカウントの10件の権利侵害の蓋然性が認められたとしても、それが数日間で行われていれば、1つしか出してこない場合はそれなりにありました。 仮処分で請求目録をいろいろ追加して申し立てをしてみたけれども、仮処分では、いくらXが電話番号やメールアドレスを持っていても、裁判所がそれら情報の提供も求める目録を債権者が出しても訂正を求められます。 で、最近激増する開示請求に対してのキャパシティに対応できず、X側のログの保有確認がめちゃくちゃ時間がかかる時期がありました。(最近はやっていないのでわからないですが) そうすると、X側がログの保有確認をできない限りは、いくら権利侵害があると一応認められるとの裁判所が心証を得ていても、仮処分が命令されないのです。 それで、そのまま待っていると仮処分の途中でAPのログがロストしてしまうので、状況によって「但し書き発令」を債権者側から求めることになります。 第1回の双方審尋の日から1か月経過しても、債務者がログの保有確認ができない状態であった場合には、債権者から「但し書きでの発令をお願いします」と申し入れる必要があります。 これをやらなければ、ログのロストはほぼ確定です。 ところで、仮処分申し立ての双方審尋は、申立の日から1週間から2週間経過後に設定されることが多いのですが、Xが争ってきて、裁判官からも主張の補強の主張を求められた場合には最悪です。双方審尋が1週間から2週間後に再度設定されるので、それまでに主張の補強をしなければならなくなりますし、それが終わらないと発令の流れにならないからです。 そうこうしているうちに、権利侵害の投稿があってから、1か月から1か月半はあっという間に過ぎてしまうのです。 余談として、Xは過去に60日間のログの保有をしていたことを確認しています。 今も同様の期間のログを保有しているものと思われますが、権利侵害の投稿が申立て日から1か月も経過しているものであったなら、発令されるのは、早くてその一か月後ぐらいになりますから、ログ提供時点で、おおよそ2か月前のログを提供されることになるのです。 アクセスプロバイダ【AP】(通信会社・携帯会社等)のログ保有期間は3か月しか保存していないところが多く、Xから提供されるタイムスタンプが、どのタイミングのものを出してくるのかはわからないので、申立から命令までに2か月かかってしまったらもう絶望的です。 Xが速やかにログを提供してきても、APが保有していく期間内に、開示請求訴訟か前提事件なしAPの発信者情報提供命令申立・(発チ)を行わなければならないからです。 APに対する発チの場合には提供命令と合わせてログ情報削除禁止命令申立もできますが、申立書を提出してから、裁判所から申立人に対して申立書一式の直送するよう連絡が入るのは、申立から早くて一週間くらいかかりますし、通常訴訟経由の場合には、訴状の送達までに、訴状の訂正がない場合でもおおよそ二週間かかります。 ですから、通常訴訟経由の場合には、Xからのログ提供と同時にAPに対して当該ログに対して任意でログ情報を削除しないよう申し入れをしつつ、同時進行で、発信者情報削除禁止の仮処分を申し立てしなければ、APのログが消失してしまいます。 Xから提供されたIPアドレスだけをもって、APに開示請求をかけるだけではなく接続ポートも必要になり、これらは非公開なので、公表されている、可能性のある接続ポートをすべて記載して申し立てしなければならないのです。 申立書を作成しながら、IPアドレスからAPを調べ、資格証明書(法人登記)を準備したりしなければならず、早くても、ログの提供から申立までは数日かかります。 先に述べたように、仮処分申し立て時点で権利侵害の投稿が1か月ほど前で、「但し書き発令」だった場合で、かつ、ログの提供がされず間接強制なんて話になれば、AP申し立ての準備中にログがロストすることになってしまう場合があります。 つまり、この時点で、APは「保有情報なし」と回答してくることになります。 さらに、提供されたログ【IPアドレス】が一つしかない場合には最悪です。 APのIPアドレスは各人が単独で使っているわけではなく、同時に複数人が使っていますので、同一IPから秒数まで同時刻で、かつXに2人以上ログインしていた場合には・・・ 発信者特定できず で取下げを求められます。 私は過去にビッグローブに対してかけた際には、秒数まで同時刻で7人がログインしていたことがわかり、発信者特定できずで取下げをしたこともあります。 法令改正で、IPアドレスの提供が、多くて「1権利侵害投稿に対して1件」となり、1つの権利侵害投稿から相手方を特定するのはかなり難しくなりました。 複数件の権利侵害があっても、提供されるログが権利侵害された件数と比例しないことは前に述べた通りです。 つまり、最終的に情報提供を受けるような結果になるにはかなりハードルが高いです。 これが現状です。 発狂する必要ないよ。 そんなに簡単じゃないから。
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