前衛美術集団「九州派」作品燃えたか 収蔵画家宅が全焼、1人の遺体
福岡市中央区の住宅が全焼する火事が18日あり、1人の遺体が見つかった。1950~60年代に活躍した前衛美術集団「九州派」に所属した画家・美術家の谷口利夫さん(93)宅で、谷口さんは九州派の作品を自宅に収蔵していたという。
福岡県警中央署によると、全焼したのは、斜面に立つ4階建ての住宅(地下2階、地上2階)。谷口さんと70代の妻が住んでおり、妻はやけどを負ったが、軽傷。署は21日、遺体は谷口さんだったと発表した。
元福岡市美術館学芸員でインディペンデント・キュレーターの山口洋三さん(55)によると、九州派は、展覧会に出品して入賞しないと画家として認められない時代に、自分たちで作品を東京まで持って行って展覧会を開き、「地方に前衛あり」をアピールしていたという。
山口さんは、九州派についての展覧会を開く際、作品を借りに谷口さん宅に行ったことがあった。「谷口さんは展覧会の写真をたくさん撮っており、それが特に貴重でした。自宅にあったと聞いているので、燃えてしまったのでしょうか」と残念がった。
署によると、火事は18日午後1時ごろに発生。約6時間後に消し止められた。
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