あおきた区の汚部屋

クソみたいな備忘録

北海道の除雪バイトを関東の人間がやってみた感想

北海道でバイトしながら旅行したいなぁ

そう思って私は昨シーズン、北海道で除雪バイトをしていました。

この記事を開いたあなたは、おそらくJRの除雪バイトに興味・関心を寄せてくれているのだろうと思う。働くつもりはない方も、北海道の除雪の現実がそれなりに分かると思うので是非読んでいってほしい。このバイトがどんなものなのか、自分でもできそうかの判断材料の足しにしてもらえればと思う。以下の内容は2024年度冬期シーズン時、私が実際にシェアハウスに住みながら、石北本線の上川駅エリアで除雪作業に従事した記録である。

2025年度シーズンは豊富駅・幌延駅・白滝駅で募集している。今年は上川駅では募集していません。

上川町で除雪

上川町の某撮影地

上川は石北本線旭川寄りにあるエリアだ。近くには層雲峡温泉など観光地がいくつかある。私の場合は2025年の1月下旬から働くことになった。なお除雪バイト自体は12月1日から働くこともできる。

勤務スケジュール

上川駅

※以下は2024年度当時の勤務内容です。駅・シーズンごとに変わることがあります。

私は、上川駅・中越信号場・上越信号場の3か所を除雪することになった。ちなみにこの信号場は、白滝駅と上川駅の間にある信号場で、この駅間には他に遠軽駅管理の奥白滝信号場がある。この3駅のうち上川駅のみ日勤の場合もあるが、基本的には駅の詰所で寝泊まりすることになる。ここで上川駅泊まり勤務のスケジュールを紹介しよう。(あくまで一例)

 

  • 8:00 上川駅到着 勤務開始 前任者から引継ぎ
  • 8:15 上下線の転轍機点検・除雪
  • ~汽車の来る時間は休憩
  • 12:00 昼飯休憩
  • 13時 降雪状況により再度線路内除雪
  • 15時以降 汽車が来るため休憩またはホーム上・駅前除雪
  • 17:00 日勤の場合はここで退勤/泊勤者も待機時間
  • 19時ごろ 晩飯
  • 21:00 夜の線路見回り・除雪
  • 22時ごろ 終了報告して就寝
  • 4:00 起床 ラッセル車が発車したら朝の線路見回り・除雪
  • 6:00 降雪状況により駅前除雪
  • 8:00 退勤

 

以上が上川駅のおおまかな勤務スケジュールだ。

12時の昼休憩以外ずっと除雪しているのかというとそうではなく、基本的に汽車が来る時間帯は線路で作業できないので詰所にいる。その間はゴロゴロしたりスマホ見たり基本的に自由。ただし積雪状況によっては汽車が来る時間帯でもホーム上や駅前駐車場を除雪することがある。とはいえずーっと除雪するのは疲れるので、適度に休みながら作業していた。24時間拘束とはいえとはいえ7時間ほどの就寝時間は確保されているし、日中も汽車が来る時間帯は詰所でずっと待機なので意外と自由な時間が多い。16時間ぶっ続けで肉体労働しているわけではない。

不定期で走る排雪車、通称ハイモ(モロともいう)

信号場勤務の場合はホームも駅前ロータリーも無いので、基本的に線路の除雪だけとなる。しかし山奥にあるため、積雪が上川駅の2倍から3倍になる。特に上越信号場は標高が634mで東京スカイツリーのてっぺんと同じなのだ。これはJR北海道の中でも最も標高が高い地点となっている。上越信号場に関しては上下の転轍機にシェルターがあるため、比較的除雪が楽なのだが中越信号場にはそれがない。天気が悪い日はかなり大変である。そして信号場周辺は消滅集落ということで自販機すら無い。そのため3食分をあらかじめ出勤前に買い出しする必要がある。さらに、電気は通っているものの水道は無く、定期的に飲料水の入ったポリタンクを上川駅から各信号場に運ぶことになっている。かつては山奥から湧き水を引いてきていたそうだが、エキノコックスの影響でやめたそうだ。

石狩川

ブラックバイトなのか?

中愛別駅

泊まり勤務だと24時間拘束の実質16時間労働なため、肉体労働なのも相まってブラックバイトだと批判されたことがあるらしい。確かに給与的には16時間働いたことになっているが、見ての通り常に除雪しているわけではないし、ちゃんと睡眠時間は確保されている。時給にして1200円弱なので、都会と比べたら低めと感じる人もいるかもしれないが、北海道の最低賃金はしっかり上回っているし、泊まり勤務では夜間手当が支払われる。雪が降らない天気の良い日ははっきり言って線路内を歩いて見回りするだけで終わりなので、それでこんなに貰っていいの?となる。

確かに雪かきは大変で疲れはするが、道具の使い方がうまくなればそこまで負担に感じることも少ないと思う。私のようなヒョロヒョロでガリガリな人間でも一応なんとかできた(最初のほうは役立たずだったかもしれないが(汗)。

※給料は勤務駅や年度により上下します

参考までに昨シーズンの2月の収入は、約15日出勤で約15万円でした

運行終了間際の特急「大雪」

休みについてだが、泊まり勤務の明け、次の日は基本的に休みであった。もちろん本人がもっと働きたいならさらにシフトを入れることも可能だ。上川駅勤務の場合は8時に勤務終了なので、一度働くと実質的には1~3日分の休みが付いてくるということだ。シフト通りの出勤なので、休みなのに出勤しろと言われたり、逆に今日は雪降ってないから来なくていい、なんてことはない。またシフトは1か月ごとになっており、その前なら希望休暇日を申請できる。

世の中には様々なバイトが溢れているので、全員にオススメできるバイトかというと微妙だが、決してブラックではなかったし、冬の北海道を楽しみたいというバイタリティのある人なら適しているだろう。

除雪バイトをした感想は?

休みの日、早起きして見に行った石北ラッセ

結局1月下旬から3月上旬までの約2か月ほどお世話になったが、この間にした体験というのは本当に貴重だったし、忘れられない経験になったと思う。一緒に行動する作業員と待機時間に雑談をして、この地の歴史とか、ためになる話を聴けたこともあった。除雪作業員の多くは夏の間農業を営んでいる人で、比較的高齢の方が多いが、基本的にはみんな優しい。まぁ一部クセのある人や口の悪い人もいたと言えばいたが、そういうのはごく一部だし、どの職場でもありうる話ではある。

上川といえばラーメン日本一のまちを自称している。勤務終わりに上川駅前のラーメンを食べるのが習慣になっていた。仕事終わりのラーメンは格別だ。

冬の北海道を、鉄道の定時運行を影ながら支えることができて、とてもやりがいのある仕事に携わることができたと思う。北海道の鉄道がどのように支えられているのかを知ることができた。

ここまでの内容は、上川愛別で過ごした私が感じたこと、考えたことである。人によって多少感じ方は異なるだろうが、皆この生活は楽しかっただろうと思う。

ウタラに泊まりながら幌延駅で働いていた人と多少環境は異なるが、仕事内容はおおむね同じだと思われる。幌延駅で働いたかたのブログがあるのでそちらも参照されたい。(記事引用失礼します)

note.com

除雪作業員に限らず、北海道はとにかく人手が不足している。このブログを見て、私もチャレンジしてみたい、という方がいれば心から歓迎する。雄大な自然が、北の大地が、あなたを待っています。