透き通るような世界観にいちゃいけないタイプのクリーチャーに成ったけど今日も元気に擬態する 作:食卓の英雄
ケセドを演習目的でしばいたその翌日。ゲーム開発部と共同開発のゲームのプログラムとグラフィックを徹夜で6割程度まで完成させてユズにまで送ると、リアンは地下工廠の方へと顔を出していた。
この地下工廠は、RE:flectorの規模拡大と、様々な特異な存在を把握した時点で新たに増設した大型兵器用の専用工廠だ。
基本的に、裏側のやつらに渡す装備は研究室で少数量産したもので、銃器や構成員の装備は工廠の方で試作、量産しているものになる。
例を挙げるなら、U.B.C.Sの着けているタクティカルベストやプロテクター、ナイフの生産や、補修などはこちらだ。
対して、大型工廠の方はブラックマーケットや放棄された自治区内で鹵獲した兵器群の改修や分解、そして開発が進められている。
工廠は現時点で第三工廠までが作られており、こちらでは機械いじりが得意な元不良や、ジャンク品の改造などで生計を立てていた者たちが在籍している。
基本的に稼働しているのは第一工廠で、主に車両や大型火器、他にもヘリやパワーローダー、ゴリアテの改造機体が作られている。
だが、リアンが訪れたのは第二工廠。
そこは無骨な機能美を追求した生産工廠となっており、工作用ドローンやオートマタが忙しなく動いている。
その工廠は全体に仄かな緑色の鱗光が灯されている。これは生物発光を再現したもので、仮に停電したとしても完全に闇に包まれることはないだろう。
因みにこれも当然節電のためである。基本的な地下に大規模な施設や設備を増設している関係上、自然の光を取り入れることが出来ず、常に電気をつけていなければ活動もままならないため、節約出来る箇所で節約しているのである。後は単純に危険物を扱っている工廠で周囲が見えないというのは危険極まりないからだ。
コストと手間の問題で工廠にしかこれはないが、それが中々サイバーチックな雰囲気を醸し出しており、社員からの評価は概ね好印象だ。
「……まあ、誰もいないか」
工廠内に人の気配はない。それも当然だ。業務は基本的に午前9時00開始で、今は6時20分。場合によっては人がいたりするが、通常ならばこれが普通だ。
第二工廠の大きさは140m×80mの面積11200㎡。高さは10mと少し。地下にこんなものを勝手に増設していいのかと思われるが、そこは心配いらない。
調べてみたが、ここキヴォトスにおいても、土地の所有権が及ぶ範囲は地表から40mまで。
会社自体が地下100mまで降りなければ着かないので、それと同等の深さにある工廠自体も同様で、所有権で揉めることはない。
だとしても勝手に横に広げるのはどうなのかという問いにはブラックマーケットは学園自治区数個分にも及ぶ土地を誇り、たかだか数百メートル、それどころか考えなしに数キロ広げた所で他所の自治区にはみ出すことはないのである。
尚ブラックマーケットについては「どのみちろくな場所じゃねーんだ。見つけ次第
因みに製品は地上にある格納庫へと昇降機で送っている。距離が距離なだけに手間がかかるが、ここキヴォトスでは兵器工場や大規模工場地帯でも平然と爆弾や銃器が飛び交う土地。
興味本位の不良やこちらの戦力低下を望む企業など、狙われる理由はごまんとあるので、そのような難から逃れるためには必要経費なのである。
照明をつけると、そこには建造途中の機械群や兵器、武装などが顕になる。
そこにはキヴォトスでよく知られている兵器は存在せず、複数の節を持つ機械や、ゲブラから取られたデータを使った冷凍ビームにレールガンの試作型、用途不明の何らかのパーツなどが区別されて置かれている。
リアンが目を向けたのは以前廃墟にて出くわしたデカグラマトンの預言者、ケテルの整備基地から略奪…もとい回収したパーツなどの安置所と、それにほど近い場所に鎮座している機械だ。
側面にRE:flectorの社章*1が刻まれており、艶の薄い黒鉄の輝きが渋く光る。
機体上部に3砲身の機関砲が2基と、後部にミサイルポッドを備え付けた、
「……ようやく、実用段階に達しタか」
そう、これはケテルの設計図と記録から作り出した新たなるケテル*2。
それも、デカグラマトンの預言者としてワンオフの性能を持っているオリジナルとは異なり、今の技術と素材で量産性を高めたものだ。
本来のケテル同様に換装機能とワイヤー射出による3次元的な移動が可能で、量産と技術力の兼ね合いからスペックは落ち、総合的な戦闘力自体は削られた*3ものの、そこは量産性と多岐に渡る兵装でそこまでのデメリットではない。
ただ、量産可能な技術は確立していても、機能の再現に費用はかかっており、実際はそこまで安価という訳ではない。高級量産機といった所だろう。
実はこれよりも以前に試作機が存在し、こちらで同サイズ内でのワイヤー移動や換装機能などの技術が確立されたことで、こうして素材と機能を抑えて量産体制を整えることが出来たのだ。
試作機自体は試行錯誤と度重なる試験でキズや補修跡があるため、量産型に再改造も難しいが、このやや不格好で鉄の色そのままのこの機体はシンボルとして保管しておくらしい。
量産型ケテルは現時点で5機が直ぐにでも配備でき、その操縦士の適性試験と、育成に期間を要するであろうが、確かな進歩だ。
量産の成功、機体のスペックなどの確認は既にしており、今日中に操縦士の募集をかける予定である。
さて、その告知の旨をメッセージに流したリアンは、邪魔をしないように工廠を後にするのであった。
●●●
アビドスに放っているバッタの群れ、その一団に土地の詳しい調査と確認をさせていると、何やら妙な場所を発見した。
どうも人里から離れた位置にあることと、他の建物のように砂漠化に巻き込まれた形ではないようだった。
にも関わらず、谷の中にあるそれは軍事基地の様に手が加えられた形跡があり、中にはアビドスやゲヘナの校章まで存在している。
作ろうとして頓挫した…という風にも見えなかったので、空き時間にちょっくら行ってみることにした。
アビドスの奥地までは結構距離があるが、足の拘束具を外して駆ければ1時間と掛からない。
立地や高低差もこの肉体スペックにはなんてことない。なんなら普通に空飛べるし。
そして、砂漠などの開けた土地で最も警戒しなければならない景色の代わり映えのなさも、ここら一帯に監視網兼ガイド役として張っていれば、音速を超えたスピードでも迷うことなく目的地へと到着できる。
あ、当然この姿をみられたら色々と面倒なので透明化している。仮に微細な違和感に気づけたとしても、砂漠の熱気によるシュリーレン現象だと勘違いすることだろう。
唯一、乾燥が苦手なこのボディだが、そこは普通に水筒を持っていった。このボディならそれこそ溶けた鉄すら飲めるので、温度関連もバッチリだ。
「ここか…」
そして、辿り着いたその地は谷の隙間に横穴を掘るように施設が作られており、その外見は兵器が置かれているという点を除けば古代エジプトを彷彿とさせた。
っていうか谷底にあることといい、その様式といい、まるで王家の谷みたいだ。懐かしいな…。学生時代に一度行ったきりか…。
いや、かなり王家の谷だなこれ。なんか既視感ある構造してるもん。前々から色々と元ネタ的なサムシングを見かけるが、アビドスがエジプトライクだからあるのだろうか。それともどっかの世界にたまたま似たような文化が根付いたりするのだろうか。
とはいえ、そんな建築の目の前に砲弾が掲げられているのはどうにもミスマッチというか、地球の視点で見ると中々冒涜しているように見える。
キヴォトスだからと言われてしまえば何も言い返せないんだけども。
「……いや、違うな。これは後から手を加えられたのか?」
よく見れば、元の遺跡じみた建造物は数百年は経った様な形跡があるが、それに比べれば新しい施設や線路があった。この感じだと、長くても5年かそこら程度しか経っていないだろう。
ゲヘナの校章とアビドスの校章が見えるあたり、おそらくはアビドス側に許可を取ったゲヘナの何者かが武器庫、あるいは補給基地か何かに使ったのか?
「……謎だ。そもそも今のゲヘナとアビドスはこれを把握しているのか?」
仮にもアビドスの歴史のありそうな土地にゲヘナの旗が立っているのだから、話を通した者や記録が残っているはずだけど。
まあ、それは置いといて、厄ネタであったり、一方に伝えて隠蔽されたりするのも望んではいない。
念の為、先にあらかた見て回ってからどうするか判断しよう。
砲弾と兵器の安置された砂漠の谷。線路が引かれていることや古代エジプトチックな建築様式から、どうにも映画の中のような印象を感じられる。
「テーマパークに来たみたいだぜ。テンション上がるなぁ〜」
………スランピアに行った時の方があってるかな。いや、あれは本当にテーマパークだからいっか。
流石に建造物を壊したり、備品に傷をつけたりして何かあっても困るので、ここからは普通に歩いて探索する。
こういうちまちました作業、実はそこまで嫌いじゃない。
そうしていくつか内部を見て回った結果、元のこの建造物は展示館のようなものだったらしい。雨にも風にも晒されなかったからか劣化はそこまでなく、何かしらの価値はありそうだ。
バレないように複数個あるものの一部を回収し、個包装してバッタの群れに運搬させる。いや、俺の速度だと破壊しかねないからね…。
そうして一通り満喫して、最後の目玉、超巨大な列車砲へと赴いた。
……一際存在感を放ち、また、ここには主力兵器と呼べるものがこれしか見えないため、恐らくはここの改造自体がこの馬鹿みたいな列車砲を設置するためのものだと思う。
しかし、内部を拝見したが、ある意味厄ネタだぞこれは…。
推定だけど、これは弾頭をプラズマ化させて放出する様な仕組みになっていて、戦車としては超射程…それこそ下手したら500km以上行くんじゃないか?
そんなこんなで長射程を誇り、自走も出来るこの列車砲。多分カタログスペックなら相当なものなんだろうが、問題点がパッと見で分かるほど多い。
まず、第一にエンジンがかからない。これだけの大きさと超技術的な攻撃方法を備えているのだが、これではまずろくに戦えもしない。
はっきり言って、ベビーサタンの唱えるイオナズンの様なものである。技の威力自体は高いが、撃つための基準に達していない。つまり置物。
しかもこれ、何が酷いって、なまじプラズマ砲自体の技術は出来てるせいでこれ壊れたら周辺一帯吹き飛ばされるんだよね。
陸戦なら結構強いだろうけど、そもそもドイツの列車砲はこれよりも小型で、使われている弾頭も常識的な技術のものだけど動かすのに相当なマンパワーがいるロマン砲で、限られた環境でしか役に立たないようなものだ。
そして、いくらカタログスペックだけとはいえ、万が一を考えると放置するのもいけないので、恐らく早々に集中砲火されて破壊されるだろう。
っていうか、普通に全方位からミサイル飛んでくるよこれ。しかも本体は列車なので線路ある部分しか動けないから直ぐに詰む。
……正直、もっとスペックが低くて、強力だが扱いが困難程度だったらここまで酷評しなかった。でも、うん。これは持ってるだけで警戒される割にはロマンに極振りしてるから洒落にならない。
うん。最初に言った通り(持ってるだけで周囲から一斉砲火を受け兼ねないという意味で)厄ネタだった。
どうしよこれ…。何か危なそうだし、取り敢えず使われてる技術も気にはなるので肝心のプラズマ周りの技術や装置辺りを取り外して回収しておく。
どうせ厄ネタなのだから、せっかくだから有効活用しておこう。最悪宇宙に放棄すればいいでしょ。
※この後4日かけて精巧なレプリカを作って組み込み直した。仮に起動しようと企てる人間がいた場合は細工に気付かれると困るので、動力を組み直し、移動とシーケンスが途中までは出来るようにしておいた。
きっと傍からは技術的に負荷がかかって停止したようにしか見えないだろう。
とうとう正式登場、量産型ケテル…!
量産型故にスペックそのものはケテルに及ばないが、ケテルに出来る行動は概ね出来、多数のケテルと多彩な上部パーツによって多岐に渡る戦術、支援行動を行うことが出来る。
銃撃特化、爆撃特化、一撃特化、支援特化、救助特化、盾役、前線への補給兼撤退などがこれだけで賄える。
量産費用は決して安くはないが、ある程度の資金があれば最低限のスペックを持った強力な機動戦車が複数作れるとなれば安いものだろう。
列車砲シェマタ―――ナレ死。尚プラズマは相性がいいので仮に万全のスペックと実用可能な技術を持てて、リアンに直撃したとしても殺せない。どころか多分シン・ゴジラ式に進化する。
『カニ道楽ちゃん』
リハビリ中。餌付けと日々戯れてるお陰かモササウルスが懐いてきたような気がする(頭をむしゃられながら)
何気に地道に強くなってきているので、いくら幼体で弱っているとはいえ、将来的にはデカグラマトン級に育つであろうモササウルスの子供と真面目にはしゃげるくらいの強さ。
『モササウルスくん』
完全に気を許した訳では無いが、ペットくらいには思ってる。名前はまだないが、モーさんやモサなど好きに呼ばれている。
先生の台詞にゲーム本編のように「“”」はいる?
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先生と一目で分かるからあった方がいい
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別にゲームテキストでもないのでなくていい