透き通るような世界観にいちゃいけないタイプのクリーチャーに成ったけど今日も元気に擬態する 作:食卓の英雄
その間、私が何をしていたのかというと……。えー、匿名でウルトラマンとゲートのクロスオーバーものを執筆していたことをここに懺悔致します。何の報告もなく放置していて申し訳ありませんでした。
「はぁ…はぁ…」「お、終わった…?」「もう無理」「しんどい…」「いや、あたしらよく耐えた方だよ」「おーい、起きろー、帰るぞー」「撤収準備だ。疲れているだろうが、帰ったら温泉と豪勢な食事が待ってるぞ」「おーう……」
あれから数時間後、そこには大量の機械群の残骸と共に、死屍累々となっているハンター小隊の面々がいた。
一般構成員の方はしなしなと疲れ切っており、比較的余裕のある隊長格も全身から滝のような汗を流している。
気絶している者は冷水をかけられて叩き起こされ、互いに肩を貸しあってどうにか撤収している様だ。
その様子を見ながら、リアンは淡々と周囲の親衛隊やタブレット媒体に何かを書き込んでいる。
ついでにスクラップと化したデカグラマトンの尖兵の残骸を資源として回収しつつ、纏う雰囲気はどこか満足げだった。
この演習、そもそもの目的へと立ち返る。
キヴォトスの生徒は銃弾や爆弾、ひいてはミサイルなどでも最悪気絶で済むような頑強な生命体だ。個人差はあるものの、大抵はそうである。
だがしかし、それが故に真剣な戦いというものを経験したものはごく僅か。中にはそんな経験などなくとも真っ当に強かったり、連隊行動が取れるものもいるが、不良生徒達にはそんなものはなかった。精々が、同じ様な境遇で集まって集団行動をする程度。隊と呼べるほどの精度ではなかった。
故に、その差を出来る限り埋めるためにこの演習を行ったのだ。
まず、第一に隊長格の自立と、その練度と隊風の違いを実感させ、協同戦線を強いることで認識と実践の差異をすり合わせることにあった。
上が率いる者の実力や対応力、体力や精度を把握していないと大変なことになる。過小評価しているのならばともかく、上に見ていた場合はどこかで皺寄せが来る。
特に、第3分隊隊長のスミカは元SRT故のエリート集団に身を置いていたために、場当たりと喧嘩殺法の元不良集団とではうまく合わせられないだろうことは分かっていたため、途中で気づいて指揮の分担をしたことは高評価だ。
加えて長時間の終わりの見えない戦闘行為に投じさせることで、疲労時の判断、各々の体力や対処などが図れたと言えよう。
因みに、この二隊にはケセドの軍勢は暴走したAI(間違ってはいない)として伝え、実戦行為であると伝えた。これが更に良かった。
やはり、正式に給料と監視の目があることで意識も高まったのだろう。
加えて、途中の自爆のお陰で敵の処理へ連携での穴埋めと効率を意識しだしたので、いい刺激になった事だろう。
強いて言うのであれば、対象が思考しない機械群であったことから、部隊の目的である妨害及び遅延戦闘の練習にはならなかったが、それを熟すためにも最低限の体力と、それに応じたパフォーマンスは必要とされるため、今回の演習では課題点とそれぞれの活かし方を教えてやれば、少しは改善されていくであろう。
更に、終盤も終盤。弾薬も兵装も尽きた際の行動にも注目していた。
疲弊しながらも、彼女達は複数で取り囲んだオートマタから銃を奪ったり、標準装備のナイフで関節を狙う者や、わざと自爆寸前に追い込んだドローンを銃床で殴り飛ばして敵陣で爆破させたり、敵兵の残骸から作った盾を構えて殴り込んだりと、個性が出ていた。
…正直、ここまで来ると作戦や連携もないのだが、これは最後の底力や、武器を失った際の対応力、いざという時の体の動かし方を見ていただけだったりする。
今回、わざと長引かせるためにケセドへ繋がる扉は敢えて無視。無尽蔵に兵力を使わせてもらった形になる。
リアンの基準での限界に達してそうな生徒が半数を超えた辺りで排気ダクトからケセドのいるエリアに侵入した末に、その強固な外殻を食い破り*1、内部の本体情報を盗んで撤退させた。
こうしてみれば、練兵も出来て、デカグラマトンの戦力の一端を推し量る事が出来て一石二鳥である。
「ああ、そうだ。これからはこの運動量とデータを基準に作戦遂行能力を高メて貰うことになる。各々ノ役割との兼ね合いや、考えられる状況のシミュレーションから、各種個人技能に至るまで鍛えていくので、そのつモリで」
「「「「「えっ」」」」」
今回のだけでも相当にキツかったにも関わらず、これを基準に鍛えようと臆面もなく言い切るリアンへと視線が集まるが、当の本人はどこ吹く風。
「…目標は各校の最高戦力を除いた武力組織に対し、1分隊である程度抑えるこトが可能と判断出来ルマで。怠け防止と向上心のある者の更なるステップアップのたメノものだ。キツい分、他よりは給金とその後のフォローは保証する。やれるか?」
「や、やりまぁす…」
「おー…」
その返事は力なく、けれど前向きに。他の分野で働かなかった分、専門部隊なのだから、恩を返すためにもより一層の実力をつけなければいけないと思ってのことだ。
「……そうカ。次の予定は明々後日。圧倒的な個へ如何に直接対応せずに時間を稼ぎ、意識の分散と妨害を続けて戦線を維持できるかだ。試験官はこのベクターにやらせる。組織内では俺の次に強イから全力でやれるべきことをやるように」
「明々後日…」「やるよ、やるけどよ…」「下手に連日じゃないだけに文句も言えない」「明日明後日で回復しなきゃな…」「強く、なりたいなぁ…」
どこか遠い目をする彼女達は棒の様な足で輸送車へとバタバタと乗り込んでいくのであった。
その中で一人。第3分隊隊長の高原スミカと、彼女の古巣からの付き合いである副隊長が側に寄ってきた。
運転手として付近にいた子会社の配達員(更生済)へと話をつけ、地表まで持ってきた残骸を回収させ終わると、その技術を調べ尽くそうと意欲を出して身を翻す。
と、次の瞬間。遠く離れた地で起こった異変を知覚する。
「……成程。ソコか」
途中まで繋がりのあったバッタの一部が、トリニティの地下通路を総当たりで攻略した直後に消失した。
元々はトリニティにある空洞をエコーロケーションで不思議に思ったリアンが数の力で見つけ出した大聖堂下の通路なのだが、これが不思議なことに一定時間が経過すると構造が変化するという場所だったので、超常現象や特異技術に連なる何かと判断して調査していたのは正しかった。
幾度となく挑戦したバッタの一部が外気の流れを掴み、ようやく反対側の出口を通過したと思えば、これだ。
恐らく、バッタはその領域に住まう何者かによって殺された。それも、物理的な干渉を受けたわけではなく、まるで精神か魂を直接攻撃されたかのようにパッタリと即死したのだ。
更に言えば、そのバッタとの繋がりから逆探知を受けそうになったものの、この観測自体はトリニティの下水道に潜ませた個体から中継しているのでこちらまでは手が届いていない様だ。
そして、その空間に入った瞬間に消息を絶ったということは、その何者かはその土地で行われていること、或いはその場所自体を探られるのを避けたいと言っているようなものだろう。
それに、あの道を発見してからトリニティでの地理と歴史を調べた結果、あの先に何があるかは特定されていなかった。
最後の瞬間に捉えていた感覚から、かなり広い空間であることは疑いようもない。
付け加えるのであれば、今まで起こった、出くわした特異な存在はその存在をひた隠しにしているものではなかった。
デカグラマトンも、スランピアの人形も、その土地や目標から観測されることが少なかっただけで、人目を忍んでいるわけではないらしい。でなければ、カイザーの保有しているビナーの証拠は真っ先に改竄されて然るべきもののはず。
そして感覚を繋げているだけの存在にまで逆探知を行おうとする能力。
ゲヘナの校舎にいたような何かや、百鬼夜行の廃社に奉られているものや古書店に置いてある何かとは方向性が違う。無名の神と呼ばれているものには詳しくはないが、それよりももっと俗人的な意図が見える。
「ふむ、となると……………。俺の知ラない勢力か……
そう考えるのが自然だろう。
黒服と自称する存在しか把握できていないが、その口調から組織であることは間違いない筈。そして、黒服は神秘の探求と称して生徒を使って実験か何かをしたがっていた。
とすると、同じく生徒や学園を使った何かを企むものがいてもおかしくはない。か。
いや、トリニティ内の自治区とつながっているとなれば、所在不明だった白洲アズサについての説明がつく。
聖園ミカを利用、或いは協力関係にあるあちらの勢力が何らかの理由で白洲アズサを転校させる。
その姿勢から人材交流にしては不自然だし、今の時期ならば恐らく……エデン条約が狙いか。とすると、やっぱ白洲アズサはあちらの勢力の尖兵、あるいは斥候とも言うべき存在か。
いや、でも行動を見る限りそこまでの悪意を持った人間には見えなかったし、信用を得るための行動にしては不自然過ぎるし。………これは、創作でよくあるあれじゃないか?
情に絆されて裏切るとか、元々組織に嫌気がさしていたとか。
創作脳だけどそんな気がする。多分。俺の白色の脳細胞*2がそう言ってる気がする。
まあ、流石に色々と関わってくる規模から断定するのも危ういけども。
そう心中で情報の断片を組み上げていくと、ふと、何か言いたそうにスミカが立っていることに気づく。
「……どウした?何か問題か?」
「いえ、そうではないのですが…。…………やはり、私もまだまだ力不足なのでしょうか」
「……何故そう思ったんだ?」
「私の小隊時代との差を考慮せず、無難な戦法だけで利点を潰してしまったからです。擦り合わせる時間はあったにもかかわらず、指向と部隊間での連携がおざなりでした」
「しかし、途中からは役割を分担して連中をうまく動かしていた様だが」
そう言うと、少し表情を曇らせる。
「……それは、私ではなく第1分隊の彼女の功績です。私がしたのは何時も通りの少数での指揮と、全体指揮を放り投げての特攻。……私がせずとも、状況を見れば彼女は自ずと指揮を執っていた筈です。……あの時は時間がなく、取りうる手の中では最善だったと思っていますが、合同して対処に当たっていた他分隊、部下たちにはそんなものは関係ないでしょう」
「そんなことはない。長く戦線を保つための陣形とローテーションを編んだのはオ前だ。第1分隊のやり方では無駄な消耗が多く、もっと早くにダウンしていた。それにまだ初回だ。これから学んでいけばいい」
「っそれでは駄目なんだ!!」
スミカの大声に、驚いた部隊員達が顔を向けると、バツが悪そうに顔を背けた。リアンは軽く手で大丈夫だと示すと、少し屈んで目を合わせる。
「…私は、私たちは腐ってもSRTの生徒だった。真っ当な教育を受け、豊富な設備と教範、特殊部隊として3年間の訓練を積んだ私達は、スタートダッシュが
「落ち着け」
「…すみません。少し、熱くなりました」
「構わない。……いい機会だから言っておくが、そう気負う必要なんかナいぞ?」
「しかし……」
「それを踏まえた上で、組まセたのは俺ダ。そもそも低い側に合わせた考えはどうしても本人の最善からはズレたものになる。オマエの戦法は、状況判断からそうしなければ陣形が崩壊していたが故。……むしろ指揮を出来るモのに任せて自ら動いたのは立派な部隊間での連携だ。…お前は、この土地の味方の戦い方や練度を身を以て感じ、あいつらはより上の連携があることと、適切な連携での戦いやすさを知った。……今回キツイ思いをし、これが続くと知ったからこそ、それから逃げるために上の技術を取り入れようとするだろうな」
くつくつと喉を鳴らすリアンに、そういう意図があったのかと目を見開くと、顎に当てていた手をスミカの顎先へと這わせる。
「……それに、俺はお前が元SRT生だというコとを勘定に入れてこそいルが、それを原因に責めるようなことはない。焦ルナよ。異なる生い立ちと戦法を学んできた人間同士が完璧に動けるダなんて思ってはいない。それとも、あれか?SRTで2年間を費やした訓練は経験者に少し教えてもらえば熟せる程度のモノだったと?」
「…いえっ、そんなことは」
「ダロ?あまり説明しなカッタ俺も悪かった。まさか本職故の責任感を感じていたトハ……。意気込みを甘く見過ぎていた」
これは本音だ。練度の低さと、我流の動きに違和感を覚えるなり、憤るなりは想定していたものの、まさかそれを経験者として扱えなかったことに不甲斐なさを感じているとは思っていなかったのだ。
特に、彼女達は元々ブラックマーケットで生活していた、所謂不良であったり、暮らしを保証されたホームレスなどのように恩義を感じるような出来事もなかったために、より意外に感じたのだ。
そのような性格を踏まえれば、アビドスでの一件も後を引いていたのかもしれない。
我儘を通してまで協力した末にカイザーに一杯食わされ、肝心の戦力の問題も先生の根回しによって援軍が来ていた。
あの時点では分からなかったこととはいえ、スミカは自分たちがいなくともアビドスの作戦が成功していたであろうことを何となく察していた。
ともなれば、カイザーの目的を知り、余裕と自由度の高い戦法を取れる第3分隊こそが、最も警戒しなければいけないものだったとそう感じているのだ。
結局、砂漠に潜むデカグラマトンのセフィラによって妨害されたと事の顛末は聞いていたが、そんな偶然が有り得るのかと調べた結果、該当地点付近では導線のように一定間隔で並べられた地雷や、本来の予測経路から誘導されたかの様に逸れている。
いかなる手段かは分からないが、スミカはそれがリアンの仕業であることに気がついた。
甘い見通しで度々リアンに迷惑をかけたこと。本来自分が警戒しなければいけない点を疎かにし、出し抜かれたこと。そして、特殊部隊出身というキャリアを持ちながらにうまく部隊を扱えなかったことの三点がスミカを焦らせていた。
リアン本人としては然程気にしていない程度のことであったが、本人はそうではなかったのだろう。勤務への意識の差がここに現れていた。
「……まア、何にせよ、今は帰って身体を休めてくレ。頭と体を酷使した状態で考えても仕方がない。休息を取った後に、今回の作戦の振り返りをするからそこで意図と目的を共有するンだな」
「……はい。ありがとうございます」
礼を告げるスミカは、しかしてしばし逡巡するように視線を彷徨わせると、意を決したように言葉を発した。
「…オーナー、厚かましいとは思いますが、私を鍛えてはくれないでしょうか」
「いいヨ」
「無理にとはいいませ……いいんですか?」
「ああ、部隊運用とは違うかもシれないが、自らの肉体を鍛え技を磨くことで見えてくるものもあるだロウからな。…ソうだな、明後日以降の午前5時からなら支障をきたさないだろう。どうだ?他の連中を連れてきてもいいぞ?」
「あ、ありがとうございます。では、また…」
踵を返そうとするスミカへとジップロックに入ったメモリを投げ渡す。
「それと、これをやろう」
「…これは?」
「U.B.C.S構成員の実働記録だ。全ての活動があるワけではないが、それぞれの隊や組み合わせの癖くらいは読み取れるだろう?」
「そんなものを、私に?」
当然、これが外部に漏れてしまえばこちらの戦力や戦法が割れてしまう。それを一分隊長に渡してもいいものかと手の中のメモリとリアンを交互に見つめるが、当の本人はまるで気にしていないかのように無表情だ。
「元々癖と連携の把握用の記録だからナ。見る場所くらいは気をつけて欲シイが、存分に有効活用してくれ」
「はっ…はっ!」
その信頼は、軽く、けれどとても重い。だが、その分だけ期待されていることの表れでもある。
約2gのメモリに込められた重い信頼。それをしかと受け止めたスミカは益々この会社の、リアンの期待に応えられる様になりたいと、そう改めて思うのであった。
『スランピアの人形』
超常現象を追い求める間に掴んだ情報から張っていた監視網で見かけた存在。遊園地やアミューズメントパークならではの付喪神や残留思念のようなものだとリアンは考えている
『ゲヘナの校舎にいた何か』
リアンが知覚した霊的存在と思われるもの。敵意や害はなさそうなのでリアンからも特にちょっかいをかける理由はない。
『百鬼夜行の廃社』
謎の古びた刀が社の中に祀られていた。よくみれば柄や鍔に乾いた血液が付着している。恐らく元の持ち主はこれで自刃したと思われる。
『百鬼夜行の古書店にある何か』
古い区画の中でもかなり年季の入った古書店の、人目につかない棚に紛れていた一冊の本。何か怪しげな不思議な力を感じる。
先生の台詞にゲーム本編のように「“”」はいる?
-
先生と一目で分かるからあった方がいい
-
別にゲームテキストでもないのでなくていい