透き通るような世界観にいちゃいけないタイプのクリーチャーに成ったけど今日も元気に擬態する 作:食卓の英雄
あと、前話で登場したベクターの装備ですが、顔周りはMCUのヴァルチャー的な感じのフォルムで、上部のシールド部分から、バイオ6の精鋭ジュアヴォのマスクの様なものが見える感じです。伝われ(説明下手)
「はい!私たちのゲーム開発部に、商人……お客様が訪れるということでしたので、お迎えに来ました!」
輝かしい笑みを浮かべた少女、アリスは自信満々にそう告げると、ぺこりと頭を下げて来賓玄関へと向かおうとして、その肩をリアンが押さえる。
「何ですか…?申し訳ありませんがアリスには大事なクエストが…」
「……多分だが、君の探している人物は俺だ。……本日、俺以外に、ゲーム開発部に用のある部外者がいなければ、の話だが」
「なんと、既にエンカウントしていたのですね!ではここからはアリスが案内を―――」
「おいチビ」
アリスが驚いたといった様子で喜色をあらわにしていると、ネルがその言葉を遮った。
その声が届くや、アリスは肩をすくませて声の主を視界に収めた。
「こ、この声は…チビメイド様!?」
「オイ待て誰がチビメイドだ!?」
飛び退きながら、怯えているのか舐めているのかよくわからない態度で顔を歪ませるアリス。リアンとしては、初対面時チビメイドと称していただけに、的確だな等と思っていたりするが、流石に本人を目の前にして言う気は持てなかった*1。
尚、横に並び案内している為、ネルの姿自体は隠れていなかったが、アリスからすると大きすぎるリアンへ注目を奪われたため、その胸ほどにもいかない身長のネルのことは欠片も目に入っていなかったのである。
して、折角ゲーム開発部の一人が迎えに来てくれたのだ。話を進めるためにも一度二人の諍いを治めることにする。
「……戯れも程々にしてくれ。急ぎ、という程でもないガ、早いに越したものではない」
「………チッ、わかってるよ」
渋々と引き下がったネル。解放されたアリスは、未だにリアンを挟んで警戒しつつも、気を取り直して続ける。
「ふぅ、チビメイド様のせいでクエストを失敗しそうになりました…」
「あ?」
「ひいっ…。あっ…。でも今はメイド服ではありませんね。……ではどうお呼びすれば………?メイドを抜いて……チビ様?」
「ただの悪口じゃねえか!先輩って呼べよ普通に」
「では、チビ先輩?」
「なんでそうなんだよ!名前でいいだろ名前で!」
心底不思議そうに答えたアリスに、ネルが再び怒りを露わにする。
(ノンデリというかなんというか…。いや、単純に情緒が幼いだけか)
そう軽く分析しながらも、リアンは堂々巡りになりそうなそれに再び終止符を打つ。
「……いいから、案内して貰えナいか?」
「……おう」
「え、ええっ!?ネル先輩と一緒にですか……?」
そういった感情を隠せないアリスの言葉に、ネルが一睨み。けれど手を出さないことが分かったのか、アリスもその程度では怯まなくなってきていた。
「あたしにだって色々とあんだよ。少なくともチビよりは詳しいしな。仮にも部外者なら、案内役と監視の目がなきゃいけねぇんだよ。それなら知ってるやつのほうが良いだろ。なあ?」
「いや、別に」
「そこは嘘でもそう答えろよ!!」
相変わらず誂われることへの沸点が低いな、とリアンは思いながらも、二人に連れられてミレニアム内を歩いていく。
因みに、アリスを先頭に、間にリアンとベクター。最後に背後から挟める位置にネルが来ていたりする。これはアリスの「4人で一列に並ぶなら、ドラゴンテスト*2の隊列だと決まっています!」という提案によるもの。
程なくして、アリスが一室の前で立ち止まると勢いよくドアを開ける。中は、約4m四方程度のワンルームだ。
白黒チェック柄の床に、三人掛けのソファーが一つと、クッションなどがいくつか隅に纏められ、何より目立つのが、最奥に位置する旧型テレビの左右の棚に並ぶレトロゲーム機たち。
そのこぢんまりとした部屋の中央に、三人の少女が座っていた。こちらは急に用意したのか、異なる種類のイスが並び、テーブルの前に置いている。
それにしても、何というか、ゲーム開発というよりはゲーム部屋と言ったほうが近い内装に、本当にここであっているのかと一瞬だけ疑ってしまう。
「あ、おかえりアリス。クエストは達成できた?」
「おかえりアリスちゃん。えっと、例の社長さんは…」
「あ、ありがとう…。うう、こういうのは本当は部長の私がやるべきなんだけど……」
「はい!クエストは達成しました!お客様、こちらへどうぞ!」
先に入っていったアリスへ、ねぎらいの言葉をかける三人。内二人は外見的特徴が酷似していることから、恐らくは姉妹なのだろう。
「…失礼する」
「「「!??」」」
一言告げて、リアンが窮屈そうにドアをくぐる*3。ベクターも装備で傷つけないように頭を下げ、最後にネルが(かなり余裕を持って)素通りする。
「……初めまして。ゲーム開発部の皆さま。RE:flector現社長の遊星リアンだ。こっちは副社長兼補佐のベクター。本日は宜しく頼む」
ポカンと呆気にとられる彼女たちを他所に、恭しく頭を下げ挨拶を告げる。
そのことにハッと気を取り直したのか、彼女たちも立ち上がって名乗っていく。
「ゲ、ゲーム開発部部長の花岡ユズです。ほ、本日はよろしくお願いします……」
「わ、私は才羽ミドリです。ゲーム開発部ではイラスト・ビジュアルを担当しています。……ほら、お姉ちゃんも」
「分かってるって!……コホン、私はシナリオ担当のモモイだよ……です!ほっ、本日はお日柄もよく足元の悪い中………。えーと、えーと…」
「ちょっとお姉ちゃん!?それじゃおかしいって!しっかり覚えるって言ってたよね!?」
「うう…、でもイベントが今日の午前中で終わりだったし、まだアイテム交換してなかったから………」
「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!?」
「……ふむ」
わちゃわちゃと言い合う彼女達を見て、その遠慮のない関係性というものが垣間見える。
しかしその反応に不興を買ったと思ったのか、モモイとミドリが更に慌てふためく。
「(ひそひそ)お、怒ってる…!?あれ絶対怒ってるって…!」
「(ひそひそ)もう、お姉ちゃんのお馬鹿!ブラックマーケットのお偉いさんだから、怒らせたら不味いことになるってユウカが言ってたのにぃ!?」
どうやら、治外法権として悪名高いブラックマーケット出身企業ということで、怖がらせてしまっているらしい。さて、何か安心させられないかと思案する。
「…早瀬会計に何を吹き込まれたのかは知らないが、その程度では怒らヌさ。それに、あくまで俺はブラックマーケットに拠点を置く一企業の主でしかない。……へりくだらなくてもいいし、敬語も不要だ。俺自身の立場へ向けられる感情も分かるが、自然体でいて欲しい」
「そ、そうですか?」
「……おう、安心しろチビ共。一応あたしらはこいつと何度か会ってるし、(主にアスナが)個人的な交流もしてる」
恐る恐る確認するミドリに対して頷く。冷静になってみれば、本当にゲーム開発部をどうにかしよう、という意図や思惑は感じられない。
それに、ネルによる後押しも続く。決して無二の親友などと言える様な仲でこそないものの、一度戦い、交友を持った間柄としては信頼はできる。
「…あ、ネル先輩いたんだ。……って、メイド服じゃないし何でここに!?」
「はっ!?最初っから一緒に入ってきてただろうが!!」
モモイが今初めて気づいたかのように…。というか初めてネルの存在に気づいて驚愕の声をあげる。冷静でなかったこともそうだが、このあまり広いとは言えない部室に立て続けにリアンとベクターという長身が入ってきたため、最後に入室したネルの姿が見えなかったのだ。
「いや、だって小さ――――」
「ストーップ!!!……え、えっと、それで、なんでいるんですか?ミレニアムの中で制服ってことは、C&Cの任務じゃなさそうですし…」
思わず火に油を注ぎかねない姉の口をふさぐミドリ。慌てながらも疑問を尋ねると、幸いにもネルの耳には入らなかった様であった。
「普通に外部の奴が何もなしに彷徨くのは駄目だからに決まってんだろ。ウチが扱う技術なんてどこも狙ってるからな。互いにやらかした時用の監視も言われてるが、変なことしなきゃいいだけだ」
「……あれ。で、でもそれならネル先輩じゃなくてもセミナーの保安部員とかでいいんじゃ…」
ユズの遠慮がちな疑念にも「ああ?」と頭を掻きながら答えた。
「…あー、そりゃお前、おでこ。そんな肩書きのやつと話すんなら、共通の知人がいた方がいいだろ。他の奴らは任務中だし、あたしが丁度空いてたんだよ」
「そ、それはそうかも……」
ユズはそれに納得し、他の部員も概ね似たような反応である。常日頃から遊ぶ友人……という程の仲でこそないものの、とある騒動以降は関わりのある人物からの証言に、ようやく3人の緊張も解れてきていた。
なお、述べた理由は確かに事実であり、重要な要素であることは間違いないのだが、その内の一つにリアンがミレニアム内部で事を及ぼした場合の対抗戦力という理由も含まれていた。
無いとは思えど、それでもやはり裏社会にてのし上がった者。これまでの交流が信用させて油断させるものであるという考えを完全に捨てるのは危うい。
勿論ユウカ本人はその様に思っているわけではないものの、生徒達に万が一があってはいけないと厳しく律しているのだった。
無論、ネルはその憶測を鼻で笑ったが、その役割ならば自分以上の適任はいないな、と引き受けたのだった。
「……んで、結局何の用事なんだよ」
何故か客側に座ったネルが、用意されたお菓子を勝手に摘みながらリアンに問う。結局、気になるというのが一番の理由だったりはするらしい。
やっと本題に入れたからか、内心でほっとしていたリアンは、そのままにこちらで持ち込んでいたPCを開いてゲーム開発部へと見せるのであった。
「……機械の3Dデータ?」
「主砲とはちょっと違うけど、砲塔と機銃があるから、多脚戦車ってやつ?」
「…他にも、色々ある。脚部パーツもいくつか共通で、色んなバージョンに変えられるみたいだね」
「こっちには光の剣に似ているパーツもあります!」
そこには、複数の3Dモデルがフォルダやまとめごとに作られており、その出来栄えはどれも精巧で、バージョン違いの建物や装飾は勿論だが、4脚戦車すらもまるでその場にあるかのようなリアリティである*4。
「もしかしてこれって、ゲーム用のモデル……ですか?」
真っ先に思い至ったのは、デザインを監修しているミドリだった。
「……正解だ。厳密に言えばまだソウなるかは未定なのだが、順調に進めばな。……こちらが、一応の代物になるな。システム面はともかく、当たり判定とグラフィックが甘いが、基本的な動作程度なら可能だ」
「おお〜、グラフィックなら最新のゲームと比べても見劣りしないよ!」
「た、確かにこういうのが好きそうな人は結構いそうだし、私も、ちょっとやってみたい、かも…」
映し出された映像では、先程の戦車などがテスト用モデルの空間内で実際に動いているものだった。
基本的な動作や攻撃モーションはかなり精巧で、機関部の収縮や反動の具合まで拘って設計されていることが伺えた。
「……さて、単刀直入に言わせて貰ウ。…君たちゲーム開発部には、現在我が社で開発中のゲーム制作に協力して欲しい。無論、報酬は弾むし、必要なものがあれば可能な限り揃えよう」
そう行って差し出したのは、必要事項と各要件などを綴った契約書。既にRE:flector側の欄には朱印と名義が書かれており、後はゲーム開発部側の承認だけだ。
さらっと置かれた契約書に、思わず目を丸くする3人。余りに唐突かつ予想外の事態にフリーズした彼女達は、幾度も目を瞬かせては書類とリアンを交互に見て、状況を理解すると同時に、驚愕の悲鳴を上げる。
「「「ええええぇぇぇぇぇぇ!!!???」」」
叫ぶ3人とは対照的に、アリスは「協力プレイということですね!分かりました!」と顔を綻ばせていたことが印象的だった。
というわけで、訪れた理由はゲーム開発が目的でした。
機械の3Dデータ、上部換装型の4脚戦車。一体何グラマトンがモデルなんだ……?
先生の台詞にゲーム本編のように「“”」はいる?
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先生と一目で分かるからあった方がいい
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別にゲームテキストでもないのでなくていい