透き通るような世界観にいちゃいけないタイプのクリーチャーに成ったけど今日も元気に擬態する 作:食卓の英雄
正直ここまで行くとは思ってなかったりする。というか私が書きたい部分がこれからの章に集中し過ぎてて、それまでが長くなり過ぎたというか……。
尻すぼみにならないように気をつけます
あ、前話の手を合わせて「すり潰せ」はキングダムの呉慶と呉鳳明のものです。このように最近見たものや最近ハマっているものなどがたまに出てきますので、あっ、こいつ最近〇〇見たんだな…。みたいな生暖かい目で見守ってください。
カイザーPMCの別働隊。それは対策委員会がホシノを救出しに離れている間にアビドス校舎を占領、破壊するために編成されたもの。
迎え撃つことは予測していても、負けすら見越してこのような部隊を放っているとは、誰一人として感づくことはなかった。
また、増援はPMCにとっては予想外の戦力だったが、対応したのが配置済みの戦力であったために、ルートから外れ隠密に行軍していたこの部隊に気づくことはなかった。
既にこの別働隊はアビドス校舎付近まで辿り着くことが出来た。距離にして約20km。もう少しばかり進めば、アビドスが視界に入る、といった程度。
隙を狙った作戦であるため、この軍は通常よりも早足で飛ばしており、あちらの戦力が今すぐに引き返したとしても、この歩みを止めることは不可能だろう。
加えて、彼らはそれでいて慎重であった。これは発見されるだけで作戦が瓦解しかねないものであり、戦力らしきものを先制で発見し、少しでも時間がかかると見れば即迂回。
正しく任務に忠実な兵隊だ。その甲斐あって、これまで発見されずにいられたのだろう。
目標地点が近いということで、各々装備の確認と目標を軽く済ませて、最後の観測を行う。
この開けた砂漠。アビドス校舎が視界に入ってからでは身を隠しても何も無い。よって、今が最後の機会なのだが、その時、一人の兵士が視界の端で起こる奇妙な出来事を発見した。
「……あれは?」
兵士が疑問の声を上げたのは当然だ。何せ、自分たちの進行方向から北西に位置する距離に、謎の黒い
最初は訝しげに観察しようとしていた兵士たちだが、それが渦を巻き、地平から天を突く様に渦を巻いてそびえ立つ。
「突発的な砂嵐か?……それにしては色が黒ずんでいる様だが……」
「それはいいから進行方向と規模を予測しろ。こんな所で巻き込まれては敵わん」
そう判断し、自機のレーダーに目を向けると同時、背後を警戒していた車両から叫び声が聞こえた。
「報告!後方にも砂嵐のような現象が!!」
「南南東方角にも一つ……いや、規模は劣りますが二つ発生!」
「なっ、何を言っている…!?」
「ッ右方にも発生の兆候が!!」
「左方三つ!すべてこちらに迫っています!!」
「東北東にもあります!! こちらは近い……距離にして、2、200m!? 即座に直撃します!」
「とにかく近い箇所から離れろ!」
次々に上がる報告にここの指揮官を任されている中隊長は怒号を飛ばし、部隊そのものが異常な事態に混乱する。
その指示に従い、とにかく離脱することを目的とし、今のところ最も見えている距離の中で遠い砂嵐へと向かう。
その異常な気候に不気味さと不安を煽られながら、念の為戦車に籠もって進軍を続けるPMC。いずれ幾つかはルートを外れるだろう。すべて別の箇所に発生した砂嵐なのだから、そう考えるのが自然だ。
そう考えながらの行軍だったが、ハッチから外を覗いていた観測手から声が上がった。
「空が、空が暗くなりました!」
「まさか、砂嵐ではなく…本物の嵐か……!!?」
まさか、日夜雲のない砂漠に発生するとは。予想外の事態に歯噛みをしながら、戦車の装甲に数度、連続して何かが落ちた音がする。
「…雨が降ってきたのか?音からして、激しそうだがどのくらいだ?」
「………」
中隊長が声を投げかけるも、顔を出しているはずの観測手は反応を返すことはなかった。苛ついた中隊長は、さらなる催促をする。
「……おい、何を黙っている。すぐに報告しろ」
「……バッタだ。…空から、バッタが降っている……」
「……バッタ、だと?」
呆然と報告をする観測手を押しのけ、自ら確認することにした中隊長。ハッチから身を乗り出す間際、顔の前を何かが通過する。
一瞬視界を遮られ、直ぐに気を取り直すと、そこには大量の羽を広げたバッタが周囲を飛び回り、中には個体同士で激突したのかもつれながら落ちてくるバッタがいた。
それだ。その落ちてきたバッタこそが、雨音だと勘違いした要因。
ありえない。そんな感情を抱きながら天を見上げる中隊長。辺りはまるで夜のように闇の帳が降り、空から降り注ぐ日光は遮られている。唯一、遠方の砂が明るいことから、未だ夜ではないと認識出来る程度だ。
「……まさか、頭上を覆うあの雲、全てがバッタだというのか……!!」
驚愕の声を上げるのも束の間、遠方から黒い波がうねる。濁流のように押し寄せるソレは、とてつもない勢いで押し寄せる飛蝗の群れだ。
何度も波打ち、他の波と衝突し、新たな激流となって高く高く押し寄せる。
「何だ、これは……」
まるで、津波。
あらゆる方向から雪崩込むその群れは、形を変えながらその奔流のままに甲板に激突し、個体数を減らしながら巻き込んでいく。
その発生源は四方八方。先程まで観測していた砂嵐と同じ方向からだと推測出来る。
「馬鹿な……!あり得ん!これほど大規模の蝗害、見逃すなど……!!」
複数個所からの群れが何度となく合流し、視界自体が飛蝗の群れで覆い尽くされる。その密度、見通し、最早並の砂嵐の比ではない。
「っ、理事に報告をしろ!」
「しています!ですが繋がりません!他の機器もです!恐らくあのバッタのせいで通信が乱れているのかと!!」
流石に焦りを携えた指示に、通信を任されている兵士から悲鳴のような叫びが返される。
「クソ…、一体何なんだ…!」
周囲を取り巻く不気味な飛蝗の群れに対して悪態をこぼす。達成目前だった任務に、突如として現れた障害。それも、ちっぽけな虫けらの群れ。
しかし、その声もそこまでだった。
数を揃えた飛蝗達は、戦車中隊を取り囲みながら、その距離を縮めてきたのだ。
それも、ただ収縮させるのではなく、内側に向かって絞るように。サイクロンや嵐のそれとは真反対の方向へと。
「中隊長!指示を!」
「……このまま突破しろ。幸い、こちらは戦車だ。視界が塞がれるのは痛手だが、最早どこにも道はない。ならば、突破するまでだ」
「はっ!」
中隊長の指示に腹を決めた隊員達は、そのまま前進を続けた。渦を小さくしていく群れと、戦車隊が衝突する。
直後、豪雨の様な衝突音が響き渡る。
無数の飛蝗がぶつかり、ひしゃげ、力尽きてその屍を踏み潰して進む。
視界の晴れない飛蝗の嵐の中を、それまでの目測のみで連れ立って動く。
幸いにも、外側と比べると内部は密度も低い様で全車両が逸れる事態にまではなっていないが、少しでも速度を間違えればそうなってしまうことは疑いようもない。
「………ックソ!一発ぶち込んで風穴を空けてやれ!」
痺れを切らした中隊長は、その群れの中へと砲弾を撃ち込むことにした。平時ならいざ知らず、今は速度を要求される作戦中だ。遅延による焦りがそうさせたのだろう。
部下たちからも反対の声はなく、即座に正面の群れへとおみまいする。
―――が、砲弾が通過した箇所に一瞬穴が空いたと思ったのも束の間、余りにも多すぎる群れの渦に呑まれ、終着点を見る暇もなく再び渦に覆われる。
「おのれっ、こうなったら、数を減らすまで蹴散らして―――」
中隊長が新たに指示を出そうとしたその瞬間、悲鳴が轟く。
「ほ、砲塔の内部に侵入して来ています!」
「その程度支障にはならん!そのまま撃ってしまえ!」
「それがっ、既に埋まって…!ああっ!!?中に、中に侵入してきました!痛っ、待っ! まずいです!尋常ではっ…!!」
それと同時、戦車の中に多量の飛蝗が雪崩込む。
無数の昆虫がギチギチと互いを打ち鳴らしながら現れる光景は、パニック映画すら予期させるそれだ。
狭い車内を飛び回る飛蝗を、手や服で纏めて薙ぎ払い、何度も踏み殺すが、それよりも侵入する個体のほうが遥かに多い。
やがて、足の踏み場全てが飛蝗と言えるほど充満し、その高さは上がっていく。
「降りろっ、降りろぉ!!」
「この車両はもう駄目だ!内部に留まったら窒息で死ぬぞ!!」
溢れかえる群れに、各々出口から転げるように脱出する。
同時に多くの飛蝗が飛び出し、再び群れに加わる。
他を見れば、どこも似たような状況らしく、皆が戦車の中から逃げるように飛び出してくる。
「何なのだ一体っ!!?」
生身で放り出された彼らは、何とか立ち上がり固まる。肌に飛蝗が当たるストレス。腕を振れば飛蝗が落ち、足を踏み出せば数匹を蹴ってしまう。
黒い天が蠢き、嵐の壁は悍ましくこちらを攻めたてる。
飛蝗が身体に触れる不快感。手で潰す不快感。多すぎる追突への怒りと萎え。加えて、死んだ飛蝗に複数匹が群がっては、ほぼ時間を経たずして足の一本すら残さず消え失せる。
それは、己達の末路を否が応でも思い起こさせるもので、士気は無いも同然だ。
「駄目だ…!俺達はこのまま取り込まれて、少しずつ食われて死ぬんだぁっ……!!」
「止めろ!弱気になることは許さんぞ!」
嘆く兵士に吠えるが、その実中隊長も限界に近い。
今も何とか進みながら、携帯する銃で飛蝗を撃っているが、この数相手には焼け石に水。効果の程すら実感できていない。
包囲が戦車のときよりも小さく、更に激しくなっていく。
耐えられはするが、先の見えない中をこの群れにぶつかりながら進むのは不可能だ。
より密度が濃い群れは色で判別でき、何とかそれが迫ることを伝えて位置取りを変えることしか、今の彼等には不可能な事だった。
「ぬうぅぅぅぅっ……!!」
「ど、どれだけ進んだんだ……?どれだけこの包囲は続いているんだっ…!!?」
彼等一団は隊列を組み、決して逸れないように行動して僅かな包囲の綻びを見つけては全霊で駆け込むが、既にそれを何度も繰り返しており、進んだ距離は既に100mを超える。
それほどまでに、己達を囲んでいる群れは周囲に充満しているのかと言えば、それほどでもない。
実は、この包囲網の厚さ自体は十数m程度であり、PMC達の歩みに合わせて、別方向から新たな飛蝗の渦へと継ぎ足すことで進んでも抜けない飛蝗の嵐は構成されている。
「……ン、そろそろか。……さて、終わりにしよウ」
それを遠方から手繰るリアンが、とある合図に気づいて言葉を発した。
これで、戦局も大詰めだ。
「はあ…っ、クソ……!どうにか、どうにか抜け出さなければ……!!」
焦る中隊長。弾薬、精神、肉体の全てを消耗し、息も絶え絶えに兵士たちを率いる。
あまりの光景に目眩すら起こしたタイミングで、飛蝗のガサガサバタバタという音が続けて遠方から爆発音が微かに響いてくる。
「ば、爆発音です!近くに我らの仲間がいるのでは!?」
「落ち着け!敵のアビドスが様子を嗅ぎつけて来たのかもしれんぞ!!」
「ですがしかし、このままでは確認も出来ません!」
それはその通りだ。中隊長も常に考えているが、どうしようもない。続けられるのは、このまま端を目指して、方向があっていることを祈るのみだ。
再び弾幕を張って飛蝗を剥がし落とし、ロケットランチャーが渦の半ばまでいって爆発。一時的にその壁の一部を吹き飛ばす。
―――そして、微かに見えた。飛蝗が渦巻いていながら、微かに外の景色が隙間に見える外周が。
「!!!」
「中隊長!!」
「判っている!!こちらだ!!脱出可能だぞ!!」
「や、やった!!」
そうして、何とか光明を見出した彼等は、身体を丸めて飛蝗の群れが為す列に飛び込んでいく。
「ぐうっ…!?」
「痛っ」
幾度となく繰り返された痛みよりも、目の前に現れた確かなチャンス。誰も彼もが文句の一つも言わずにただ一度見えた希望を信じて進み続ける。
最早己等が進んだ距離も分からず、今も距離の把握すら出来ていない。それでも、彼等はただひたすらに進み続けた。
歩いて、歩いて、ようやく背後と前方の色の密度が目に見えるほどの差が出てきて―――
――――突然、飛蝗達が四方へと散っていく。
「なっ、何故いきなり…」
「この際、いなくなってくれるならどうでもいい…!」
誰もが、憔悴しながらその群れが散り散りになっていく様を見上げている。
あれほどの密度を誇った飛蝗の大海が、小さな靄となって散開する。未だ、付近にも小規模の群れはいるが、それも次第に離れていく。
「終わった、のか?」
「……ならば、作戦を再開するぞ!あれのいなくなった今ならば、通信も通じるはずだ!」
「はっ、直ちに」
兵士の一人が端末を操作し、カイザー理事へと繋げていく。未だ空には飛蝗の群れが一部残っているせいか、つながりにくいものの先程までとは手応えが違う。
それを待っている内に、どの程度進行方向からズレたのかと観測していると、突如、鈍い爆発音が数度連続して届く。
「先程聞いたのものと同じです!」
兵士が報告したのと同時、彼らの立つ足場に大きな揺れが生じる。
「うわあぁっ!?」
「こ、今度は地震か!!?」
四つん這いになりながらも揺れに耐え、何とか凌ぐが、反してその揺れは徐々に規模を大きくしていく。
「……そのルートは、危険だぞ。何セ――――」
PMC兵士達が立ち上がるよりも早く、その原因そのものが砂漠を割って姿を表した。
稲妻のような光が外装を照らし、地中からその異様を反り立たせる。それは、蛇のような姿でありながら、あり得ないほどの巨躯を誇っている。
純白の装甲に、差し込まれる黄色のライン。長大な身体を伸ばして砂を巻き上げると、その頭上にヘイローが輝く。
いつの間にか、空は青く澄み渡り太陽が姿を表していた。
「ふ、巫山戯るな……!何故、何故―――デカグラマトンがここにいる!!?」
「撃てっ!撃てぇっ!!早くしろっ!!」
「何故今このタイミングで――っ」
現れた第三の預言者。ビナーに向かって兵士たちは銃弾を放ち続けるが、装甲に阻まれ効果を成さない。
初めから判っているのなら対処法もあるが、こと今回に至っては疲弊し、戦車を失った砂漠のど真ん中で目の前に出現した。
対策など、取れるはずもない。
『GYUAAAAAAAAAAHHHHHHhhhhhrrrrrrr―――――!!!!』
ビナーがその口蓋を開く。そして収束する光と膨大な熱源反応。観測せずともわかる。あれをこちらに放つつもりだ。
「拙いっ!撤退だ!早く撤退しろっ!!……クソッ!?やめろ、待てっ!!待て…やめろ、退避ぃぃ――――あっ…!??」
とうとう放たれたそれ、アツィルトの光は、尋常ではない熱量の大光線だ。一瞬で砂漠の砂を硝子状に融解させ、轟音を立てて通過する。
その熱は余波だけで、個人の携帯通信機程度を機能喪失させるには十分な程だった。
「文字通リ、俺モ、RE:flectorも、手出しはしていない」
つまり、そういうことだ。
このビナーの襲来は稀々起こったことではなく、予め計画されたもの。
リアンの動員した飛蝗の大群。それで覆い尽くし、計器を狂わせて戦車を放棄させる。その後、敢えて少しずつ包囲網に薄い面を作り、指定の位置まで誘導。
その誘導と並行して、別の箇所の群れからビナーの観測を行い、爆弾を導火線の様に引いて爆発させることで地中のビナーも誘い込み、両者を鉢合わせたのだ。
不意の遭遇に中隊は壊滅させられ、原因がビナーだとはっきり報告させられる、という訳だ。
カイザーPMCの兵士を一掃したビナーは、やがて周囲を興味深く見渡す様子を見せると、再び地下へと潜り去っていった。
「……無事、だな。死んで欲しい訳では無い」
ビナーが去ったことを確認した後、リアンは飛蝗の一群で確認に入る。
既に全員が気絶し、重傷を負っているものまでいるものの、命に別条はない。
念の為、衝突の前に地面に仕込んでいた地雷で吹き飛ばしておいたので、彼等は直撃せずに済んでいたのだ。…最も、その余波ですら凄まじいが、生命を拾っただけ儲けものだろう。
とはいえ、この重傷者をあまり放置もしてられない。
意識のない内に飛蝗の群れで持ち上げて、最寄りの病院の前にでも放置しておこう。
「……さて、頑張った奴らを迎えにいくか。帰りも徒歩は辛いだろう」
ゆっくりと、腰掛けていた椅子から身を起こし、彼らの来た方向へと歩みだした。
兵員輸送車を二台、己とベクターで運転手を担い、彼女たちを迎えに行くのであった。
●
そうして、事態は無事丸く収まった。
対策委員会は先生からの公的な認証のお陰で正式な委員会と承認され、生徒会の役割も担うことが可能となった。これで、今回のような事態は防げることだろう。
柴関は屋台として再開し、元気に活動しているらしい。この件は解決したものの、借金は未だ全額残ったまま。
ただしカイザーローンはブラックマーケットでの不法な金融取引がバレて連邦生徒会の監査が入るということになった。それに、法外な利子の釣り上げも問題視され、今では以前よりも遥かに少ない利子の支払いで済む様になり、結果的にアビドスにとっては助けになった。
そして、カイザー理事は生徒誘拐事件、及び自治区の破壊工作の主な容疑者として指名手配された。カイザーコーポレーションは関係ないと主張するために即座に解雇処分を行った。
流石カイザーである。
尚、土地自体は未だ殆どカイザーのものであるらしい。取引自体は違法ではなかったのでこれは仕方のない部分というものだ。
そして、黒服。こちらはホシノも先生からの情報で調べたが、全ての罪がカイザー理事に被せられており、影も形もなくなっていた。
「……それでは、アビドス対策委員会の定例会議をはじめます。ここしばらく色々なことがありましたが、最終的に借金が消えたわけではありません」
「でも、毎月支払う利子はかなり減った」
「そうだね〜せっかく負担が減ったことだし、ちょっとゆっくり昼寝でもしない?」
「うんうん!このところすっごく忙しかったですし、のんびり過ごすのは大賛成です!」
「何を言ってるの!!少しは余裕が出来たかもしれないけど、そんなことしてる暇なんて無いんだから!」
こうしてまた、いつもの対策委員会の日常が戻ってきた。これまでと変わったところはあまりないが、少なくとも、現状はこんなところだ。
これからも、彼女達と先生の縁は続いていくのだろう。
――――…
「……どうも、屋台になっても随分と壮健な様デ」
「お?あの時の姉さんか!」
時を同じくして、屋台となった柴関ラーメンに、一人の客が訪れていた。
そう、遊星リアンだ。
彼女は朝方、誰一人として客のいない屋台の椅子へと腰掛ける。
「セリカちゃんは今は学校だぜ?」
「ああ、彼女に用がアるワけじゃない。……大将、あなたダ」
陽気に声をかけながらも、大将は仕込みを手際よく進める。そんな大将は、予想と違う答えに不思議そうに訪ねた。
「へえ?そりゃまたどういった要件なんだい?」
「……ラーメン屋に来タ客に、ソレを聞くのか?絶品と噂の柴関ラーメン、味ワわせてモらおう」
「…うん?でも姉さんは食えないんじゃ?」
「………まあ、事情があるノさ。それで、つくってくレルかな」
更に訝しげに頭を捻る大将の追求を躱し、暫しの時間待ちながら、今回の事件を振り返っていた。
すると、目の前にドンと、湯気の立つラーメンが美味しそうな香りを漂わせている。
「へいお待ち!柴関ラーメン並一杯!」
「…ありがとう。駄賃は先に払ッておクよ。確認してくれ。……ああ、それと、今から暫く、こチラを向かナいで欲しい」
「そりゃまた何で?」
「………あまり、見せタくないものでな。その為ニ、人目のナい今を選んだんだ」
「……そうかい。そんじゃ、じろじろと眺めるわけにもいかねえな。数えとくから、しっかり食べていってくれ」
深くは踏み込まず、大将は背を向けて金を数えだす。
「もうイイぞ」
「…?もういいのかい?」
時間にして、20秒とそこら。たったそれだけの間の隠したいことでもあったのかと、念の為確認を取ってから振り返ると、そこには空になったどんぶりと、マスクを装着し直しているリアンの姿があった。
「……美味かった。想像以上にな。……それでは、心残りも解消シタ。……またいつか」
「あ、ああ……おう、いつでも待ってるよ」
そう言って席を離れ、踵を返すリアンの背中を呆然と見送って、柴大将はそのどんぶりへと再び目を向ける。
「………はー、早食い選手でもこうはいかねえだろうなぁ…」
空になった器を回収した芝大将の、妙に感心した声だけが、アビドスの街に木霊したのであった。
これにて対策委員会編完結!!
まさか10話も使ってしまうとは思わなかった。私の計画性のなさに呆れるぜ……。
因みに対策委員会編で書きたかった所、最初にあったのは最後の所で飛蝗の群れで誘導して、ビナーにぶつけるということだけです。
このためだけに10話に及ぶ対策委員会編が書かれることとなったのです。つまり第3分隊も元イーグル小隊も特殊技能班も誰一人としてプロットにいないキャラでございます。
カニ道楽ちゃん?いるわけねえだろ!!思いつきで出したやべえモブだった筈なのに妙に人気出て個別コーナー出来ちゃった奴なんて!!!
因みにタイトルはモンハンのクエスト名っす。
ホシノ=ホルスが誘拐され、アビドスが曇る。
からの開放。つまり太陽が戻って来る。
それと物理的に太陽を覆い隠した飛蝗の群れから連想しました。
あと、アンケートですが全部書くことになりましたー。わー。
チッ、カニー・クッターにつられて全部が消えるかと思ったのに……。
おかげで苦手なデートも書くことになってしまいました。どうしよ……(絶望)
2180票もの投稿、ありがとうございました!!
これからも、この作品をよろしくお願いします!
先生の台詞にゲーム本編のように「“”」はいる?
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先生と一目で分かるからあった方がいい
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別にゲームテキストでもないのでなくていい