透き通るような世界観にいちゃいけないタイプのクリーチャーに成ったけど今日も元気に擬態する   作:食卓の英雄

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あぁ…つ、ついにUAが70万、感想が1000件を超えて、評価10も150人を突破して黄色になってきました。お、お気に入り数も8790件……。……でも、こんな自由に好き放題やってるだけの小説がここまで来るなんて……現実は苦しいんですよね、辛いんですよね……?
うわぁん!いっそのこと、そうなってしまうなら…どうか評価10の人数を真っ黄色にして、ついでに感想まで書いてください……。



半日クオリティじゃよ。
後少しでアビドス編終わりそうです


第32話 信じる理由

 

 アビドス砂漠がカイザーPMCの手に渡っている驚愕の事実が判明した。加えて、向こうの土地に踏み入り攻撃をしたということでカイザーPMC理事によってアビドスの債権者であるカイザーローンからの信用が低下。変動金利を暴力的なまでに引き上げられてしまう。

 そのせいで利子自体も跳ね上がり、これまでのペースのまま9000万円以上になる。だがそれだけでは満足しなかったのか、保証金として一週間以内に3億円を預託しなければいけなくなった。

 

 ……当然のことながら、アビドスにそんな余裕はない。利息を返すだけでも大変だった彼女たちが、総借金の3分の1など用意できるものではない。そのような手段があれば、今頃はとうに満額返済しきっている。

 

 校舎に帰還後は、膨れ上がった問題に頭を抱え、その後の方針、手段にそれぞれの意見が対立する。互いに学校のことを思っているだけに、引くことのできない雰囲気。

 

 あくまで外野の第3分隊は口出し出来ず、先生も事態の深刻さに頭を悩ませる。

 

 その日は一旦ホシノの仲裁で収まり、解散。また翌日話し合う。ということだった。

 

 夜中の語らいは、先生とホシノからの願いで二人のみしか知らないことだが、先生の反応から、明日には何とか纏まることだろう。そう、思っていた。

 

 だが、しかし―――翌日、小鳥遊ホシノは退部届を残して姿を消した。

 

 

「……嘘、何でっ……どうしてっ!!!!??」

 

 

 そこにはホシノがカイザーPMCに傭兵として働く代わりに、アビドスが背負っている借金の大半を肩代わりするということ。

 そして、先生とついでに巻き込んでしまった分隊メンバーへの謝罪の言葉。後輩たちに向けたメッセージが綴られていた。

 

 その内容に驚き、混乱している間にも追い打ちをかけるように事態は悪化の一途を辿る。

 

「行け!行け!」

「進め!」

 

「うわあぁぁっ!」

「早くっ、早く逃げろっ!!」

「……この自治区にはもう、退去命令が下った」

「ついに、条件は全てクリアした。最後の生徒会がアビドスを退学……これで実質的にアビドス高等学校は消えた!!あとは我らカイザーコーポレーションが、アビドスを吸収合併するのみ!」

 

「―――さあ、アビドス高等学校を占拠せよ!」

 

 

 

 

 ホシノの退学を機に、カイザーPMCが未だ住民が残っている市街地に攻撃を始めたのだ。

 目的は現在残っているアビドスの住民の立ち退きと、正式な生徒会を失い政権を失ったアビドスの占拠だ。

 

「こちらに向かって、数百近いPMCが進攻中!同時に、市街地に無差別攻撃をしています!」

「カイザーPMC!? 何でこのタイミングで……!?」

「お、応戦しないとです!!何はともあれ、アビドスが攻撃されているのを見過ごすわけには……!!」

「考えてる時間が惜しい、すぐに行こう!」

「で、ですが、私たちで撃退するにはあまりにも数が……!と、とにかくまずは、市民の皆さんを避難させましょう!」

 

 アヤネから口に出された情報に、焦りながらも迎撃する気の対策委員会。昨日の今日でこれだ。カイザーの横暴とも言えるこの襲撃は完全に予想外だった。

 

(こんな大規模な攻撃……一体どうして、急に……)

「…屋上のスナイパー達が既に狙撃しているが、数が多すぎる!校内に侵入されるぞ!」

 

 その言葉に、すぐ気を取り直して各々武器と弾薬の準備をする。咄嗟の襲撃にも直ぐ対応できるのは、銃が必須のキヴォトスだからか。

 

 すると、直ぐ側の廊下で銃撃が聞こえる。どうやら侵入した兵士と分隊員が戦闘状況に入ったらしい。

 

「くそっ、何だこいつらは…!」

「木端企業風情が…!」

「五月蝿えバーカ!てめぇらみたいなのは元から気に入らなかったんだよ!!」

「こんなの横暴だ横暴!校舎にまで攻めてくるからには覚悟出来てんだろうな!」

「斥候が、もうこんな所まで…」

 

 廊下に出ると、カイザーの斥候を押し留めている分隊員達がこちらに気づく。

 

「っ先生!アヤネ!周囲に多数、校内にもかなりの数侵入してる!私達の指揮権を預ける!先生の護衛は特技班に任せて進め!」

「はっ、はい!ではお願いします!先ずは学校に侵入した敵を撃退します! その後、校内の安全を確保した後は、市民の皆さんの避難を!」

「「「「了解!」」」」

「せ、先生、私の半径2mから出ないで下さいね。その範囲なら、小鳥遊ホシノレベルでもなければ、負けないので…」

「“うん、信頼してる”」

 

 そうして、アビドス高等学校に侵攻してきたカイザーPMCに対する抵抗戦が始まった。

 

 切り込む対策委員会に合わせ、撃ち漏らしや負傷兵から先に潰し、特技班は完璧に先生につき従い、堅牢な盾に守られながら敵兵を殲滅していく。

 

 アヤネと先生による情報共有と指揮を全面的に信頼しているのか、普段よりも動きがいい。限界までの力を十全に振るうことの出来る彼女達は、攻め込むPMC兵士にも負けず、校内の戦力を一掃し終えた。

 

 そして今も市街地に攻撃を続けるカイザーに辿り着いた対策委員会の目の前に広がっていた光景は、想像したものとはかけ離れていた。

 

「ぐぅっ…、貴様……!」

「そう睨むな。予め行った警告を無視したのはお前の方だロう」

 

 そこには、黒衣の女性がカイザーPMC達の前に立ち塞がり、牽制している様子だった。

 

 一人に対し、カイザーPMCの数も兵器も膨大。

 

 誰がどう見ても劣勢。それどころか、ただの不良やチンピラではなく最新装備に身を包むプロの戦闘集団が部隊規模で動いているのだ。

 ここキヴォトスにおける強者でも避けたい場面だが、勝っている筈のカイザーPMC達の動きは完全に硬直していた。

 

 それもその筈だ。それの周辺には、10や20ではきかない兵士が転がされており、山のように積み重なっている。そして、戦車に至っては履帯が散乱し、砲塔は半ばから70度ひしゃげ、正面装甲は最早どうやったのか不思議な程損壊し、操縦席まで続く裂け目が広がっている。

 

「何これ!? どういう状況なの!?」

「あの人は…」

「オーナーさん、ですよね」

 

 カイザーを止めるために動いていたのに、いざ来てみれば一人に足止めされていた。それもその相手はラーメン屋で少し話した程度の関係性。疑問に思わないわけがなかった。

 その声が届いたのか、その場の視線が一斉に向けられる。

 

「…!おい、対策委員会が来たぞ!契約通りその場を退くんだな!」

「“契約通り?”」

 

 がなり立てるカイザー理事の言葉に疑問を覚えた先生が当のリアンに問いかける。

 

「……俺がカイザー理事と交わしたモのだ。()()()()()()()()()()()()()、市街地及び住民へノ攻撃、互いノ武力行使と侵略を禁止する契約だ。あちらが手を出さなければ、コチラも決して手を出サないという、至極単純なものだ」

「ですが、カイザーが乗ってくれるとは…」

「……破った奴からそこに転がっている。俺からハ手を出していなイ。そうだろう?」

「………非常に業腹だが、確かにこちらから動かなければお前は動かなかった。契約には違反していない」

「…ああ、そのツモリだ。契約の効力は、対策委員会到着まで。それ以降はコの件に俺自ら手を出スことはない」

 

 カイザーPMCとしても、貴重な戦車が修復の利かないほどに破壊されるのは避けたいらしい。きっと、これに乗ったのも対策委員会到着まで、という制限があったからなのだろう。

 いずれやって来る対策委員会と目の前の存在を同時に相手取るより、戦力を残したまま対策委員会だけに力を注ぐことが出来る。まして、対策委員会という僅かな人数に負けることなどありえないのだから。

 

 立ち去ろうとするリアンに、先生と対策委員会が声を掛ける。

 

「“ちょっと待って!”」

「…先生か」

「“お礼を言おうと思って”」

「………いや、礼を言う程でモないだろう。結局あの戦力ハ任せきりダ」

「“でも、あなたが足止めをしてくれたお陰で住民の方も避難する時間が出来た”」

「………」

「“だから、ありがとう”」

「そ、そうですよね。あなたがいなければ、被害が拡大するかもしれませんでした。ありがとうございます」

「ほんとは私たちがやるべきなんですけど、ありがとうございました!」

「ん、後は任せて」

「そうよ!あんな奴ら、私たちだけでも十分なんだから!」

 

 口々に、感謝の言葉を述べていく。

 いくら自分たちの利になったからといって、こんな得体のしれない相手*1に、疑いもせずに。

 

 ……成程、こんな人物たちだからこそ、些細な喧嘩こそあれ、致命的な状態にはなっていないということか。

 

「……借りを返したダケだ。…それに、最初から勝つ(その)ツモりの契約だ。疑ってなド、いない。……さて、そろそろ俺はオ暇するとシヨう。俺が見ていて集中出来ズ負けた、などと言う言い訳は聞きタくないのでな」

「んなっ、そ、そんなわけ…!」

「…悪い。対策委員会に向けてではナイ。あのカイザー理事に言っタノだ」

「なっ…!? き、貴様、どこまでコケに……!」

 

 カイザー理事が怒りを顕にした所で、完全に背を向ける。

 あれだけ相手の怒りを買っておいて、無防備な姿を曝け出すということは、相手を舐め腐っているか、余程の自信があるかだ。

 

 結局、カイザー理事が攻撃指令を出すことは終ぞなかったのである。

 

「ふっ……ぐぐぐっ……!………ふぅ。まあいい。さて、対策委員会達は今更お出迎えか。ふん、この程度、我々にはどうとでもなる。奴は何を思ってあのような契約にしたのか……。理解に苦しむよ。……それで、何の用かな」

 

 

―――…

 

 

 その後、カイザー理事の口から語られたのは現在のアビドス高校に生徒会が残っておらず、またその正式に継承した部活動もないために、カイザーが引き受けるという言い分だった。

 

 ただし、これは紛れもない事実であり、対策委員会発足当時既に生徒会は存在していなかったため、いくら対策委員会が活動をしていようと意味はない、というものだった。

 

 意気消沈した対策委員会に、活を与えたのは、かつて敵対した便利屋68だった。

 彼女たちの激励を受け、戦う覚悟を決めた対策委員会は、第3分隊と便利屋との共闘によって、カイザーPMCを撃退したのであった。

 

 一時は危機を乗り越えた対策委員会だが、その誰もが予感していた。次は、きっとこれまでにない戦いになると。

 

 そして、その日の夜。

 

 先生は、生徒の前では中々見せることのないほど険しい顔で、一人あるビルへと入っていく。

 

「……お待ちしておりました、先生。あなたとは一度こうして、顔を合わせてお話してみたかったのですよ」

 

 そこにはスーツを着た漆黒の怪人が居を構えていた。

 

 それは先生に対して敵対したいわけではないと告げ、こう名乗った。

 先生と同じくキヴォトスの外から来た「不可解な存在」。ただ、先生とは異なる領域の存在。

 

 怪人、改めゲマトリアの黒服は、デスクに腰を預けたまま先生と相対する。

 

 

―――今、()()の戦いが幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 黒服は契約通りであると主張し、すべてが自分たちのせいではないと言った。何も全てが自分たちの手で起こったわけでなく、機会を利用しただけに過ぎない、と。

 そして社会の構図。強者が弱者を支配する。権力、知識、力。全ての社会はそのように出来ていて、それを行うものが大人であると。

 

 対して、先生も負けては居ない。退部届に関しては顧問の記入がないため無効であると、契約には契約で返し、大人としての責任を取る、と。

 一度はキヴォトスの全て――権力と権限、この学園都市における神秘――を手に入れることのできる位置にいた先生は、しかしてその権限を躊躇せず手放した。

 

 黒服はそれを無意味な選択と、理解できないことだと言った。だからこそ、黒服は先生の真の理解者とはなり得ない。

 その見解の相違は、他のすべてを補って余りある大きな差だった。

 

 よって、最早交渉は決裂した。

 

 黒服はホシノを助けたいかと問うと、これから行う実験を語る。

 「ミメシス」で観測した神秘の裏側。恐怖を生きている生徒に適用することができるかという実験。

 

「そういう事ですから、精々頑張って生徒を助けると良いでしょう。微力ながら、幸運を祈りますよ」

 

 そうして、先生は要件は終わったとばかりに離席すると、黒服は「ああ、そういえば」と続けた。

 

「先生と対策委員会。その両名と認識のある、遊星リアンを覚えていますか?」

「“………”」

「彼女はブラックマーケットを本拠とする企業、RE:flectorのオーナーとして知られていますが、不思議に思いませんか?」

「“……何が?”」

 

()()()()()()()のですよ。……ヘイロー、それは生徒の、『忘れられた神々』の神秘の証。先生にはまだ馴染みがないようですが、アレは本来おかしいことなのです。()()()()()()()()()()()()()()。それがここキヴォトスにおいてのルール。そういう神秘の形。ですが、彼女の年齢は25とされています。……これは偽造されたものでしたが、不思議ではない。………しかし、私はその定義を定めるために一度調べてみました」

「“………”」

 

 勿体をつけるように、黒服は首を傾ける。どこか面白そうに、自身の考察を披露する学徒のように黒服は続けた。

 

()()()()()()()()()()()。年齢も、戸籍も、その経歴も。その全てにおいて彼女の痕跡というものが存在して()()のです」

「“存在していた…?いない、じゃなくて…?”」

「ええ、全て偽の情報で、という枕詞がつきますが。まさか20年以上に渡って残されていると思った軌跡が、まるで信頼性のない偽造されていたものだったとは。出産院のカルテまで密かに挿入されており、その職員も気づいていない程です。……この様子では、名前も本物であるか疑わしいものですね」

「“…何が言いたい?”」

「ですので、私はこう結論づけました。遊星リアンは、キヴォトスに生まれ落ちた生命ではない、と」

 

 そこで話を区切った黒服は、先生の反応を伺いながら、一息つく。

 

「ですが、一つ疑問が残るのですよ。まだ観測結果はありませんが、仮にキヴォトス外の存在であったとしても、少女であるならばキヴォトスにある間ヘイローを得ることが出来ると予測はついています。しかし、我々の様に、大人であるならばヘイローの獲得には至らないのです。……仮に、それが可能なのでしたら、私もこのような回りくどい実験にはならなかったので、そこは少々残念に思いますが」

「そこで、疑問が生じるのです。キヴォトス外の者ならば、ヘイローを持たないことは当然です。しかし彼女はキヴォトスの外の存在で、少女ではないのにも関わらず、ヘイローを持っています。ヘイローを持つ条件を全て無視しているのです。これを不可思議以外の何としましょうか」

 

 黒服は、問いかけるようにじっと先生を見つめる。

 

「―――果たして彼女は、信頼してもいい存在なのでしょうか? 全てが偽り。全てが不明。そんな存在であると知って、先生はどのような選択を「“私は信頼するよ”」……はい?」

「“私は、実際に見て、分隊の子たちから聞いた彼女を、信頼する”」

「……何故?全てが偽りかもしれませんよ?経歴のように、信用させるための演技ではないと何故言い切れるのです?」

「“だって、彼女は私の手の届かない場所にいる生徒たちを助けているから”」

 

 即決。黒服はあまりに自然に答える先生に言葉を失う。

 

「……生徒? 学園から追放されたあの少女たちが、ですか? 生徒とは、学園における庇護を受け、所属を許されている者達のことでしょう。彼女たちは、『先生』の生徒ではないのですよ?」

「“だからだよ。先生として、今いる生徒達を救えても、私に出来るのはそこまでだ。私の権限では、それ以上彼女たちに踏み込むことは出来ない”」

「“……でも、彼女たちだって子供には違いない。そんな彼女たちに手を差し伸べているのが彼女だ。不良だった彼女達が、あんなに笑顔で語るような人だという事は変わらない。それだけで、私が信じる理由になる”」

「…………なるほど、最初から見ているものが違ったと。……やはり、私には理解し難い感情です」

 

 曲げる気のない強い意志の籠もった瞳に、黒服は諦めたように話を切り上げる。

 今度こそ踵を返した先生に黒服は告げたのだった。

 

「先生」

「……ゲマトリアは、あなたのことをずっと見ていますよ」

 

 

*1
と本人は思っている。尚部下がたまに話してる





因みに前話で名前が決まったエスカドラ達。
自発的な感情の発露があまりないですが、むしろ冷静に動けるので強みです。強いて言えば感情の爆発による機能の向上とかがほぼないです。その分安定してるってことですが。

因みにこいつら一体一体が結構な強さを持っています。耐久力やら色々合わせてエイミがいっぱいいると思った感じでいいです。

ベクターは当然彼らを述べる立場にいるのでもっと強いです。
カニ道楽ちゃんはアビ・エシュフ抜きのトキくらいです

(◠ڼ◠)
       “大人の感想を書き出す”

       “大人の評価を付与する”

うわぁん!これ前にも見ました!味をしめたんですね!? でも、10話に一回くらいならいいって言ってたので……。

先生の台詞にゲーム本編のように「“”」はいる?

  • 先生と一目で分かるからあった方がいい
  • 別にゲームテキストでもないのでなくていい
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