国立研究開発法人理化学研究所事件(さいたま地判令6・12・20) 研究チーム廃止したが再任用、賃金減額有効か 旧条件での更新拒絶と判断
研究チームの廃止に伴い、契約更新時にチームリーダーから降格された研究員が、賃金減額を承諾したものではないとして、差額賃金の支払い等を求めた。さいたま地裁は、研究員の従前の労働条件の更新申込みを使用者側が拒絶したと判断。更新上限を定めてきたことなどから、労契法19条2号の雇用継続の合理的期待を否定して、契約更新を前提にした賃金請求を棄却した。
雇用継続期待なし 差額請求等を棄却
筆者:弁護士 岩本 充史
事案の概要
Xは、平成23年4月1日、Yとの間で、生命システム研究センター・細胞動態計測コア・ナノバイオプローブ研究チーム(本件研究チーム)のチームリーダーとして、年俸月額85万4000円、契約期間1年間の労働契約を締結し、その後、令和3年4月1日までに10回、チームリーダーの職名、1年間の契約期間で労働契約を更新した。
3年10月、Yは、Xに対し、本件研究チームの5年3月廃止を伝える趣旨のメールを送信した。
4年4月1日以降の雇用契約書には5年4月1日以降の雇用契約は締結しないという不更新条項が付されていた。Xは、雇用契約書の不更新条項に二重線を引いたうえで署名し、雇止めには同意しない旨記載した書面を添付して返送した。
Xは、4年3月31日、Yとの間で、本件研究チームのチームリーダーとして、年俸月額100万2000円、契約期間1年間の本件労働契約を締結した。
Yは、雇用条件通知書により、Xに対し、5年4月1日以降の契約は締結しないことを改めて通知した。
Yの本件研究センターのセンター長は、4年11月、Xに対し、上級研究員、給与額を年額967万3440円として理事長特例による継続任用に推薦したいと通知したところ、XはYに対し、チームリーダーで給与は現状維持であるが、次善の策としてYが提案する内容で理事長特例として推薦されるよう通知した。そして、5年2月にYは、理事長特例による継続任用として採用を内定したことをXに通知したうえ、3月に新たな労働契約書を送付した。
Xは、5年3月、Yに対し、下記の新たな労働契約の締結を承諾したものの、上級研究員としての地位および給与額の減額を真意で承諾したものではないと通知した。
Xは、5年3月31日、Yとの間で、無細胞タンパク質合成研究チームの上級研究員として、年俸月額および裁量労働手当の合計80万6120円、契約期間2年間で、Yの理事長特例により新たな労働契約を締結した。
本件は、Xが、Yに対し、労働契約に基づき労働契約上の権利としてチームリーダーの地位にあることの確認等の請求をした事案である。
本件の争点は①チームリーダーの地位にあることの確認の利益、②労働契約更新申込みの拒絶の有無、③労働契約更新の期待の合理性、④申込拒絶の客観的合理性・社会的相当性等である。以下、②について紹介する。
判決のポイント
労働契約更新申込みの拒絶の有無について
確かに…XとYとの間には、理事長特例によって新たな労働契約が締結されているが、Xは、…
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