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アフターケアの必要性

近年、児童養護施設にいる子どもたちの状況は改善している。2020年4月からは施設出身者や低所得世帯の子どもなどに対する奨学金制度が拡充され、授業料の免除・減額などを合わせ年間約160万円の支援が受けられるようになった。とはいえ、施設を出る18歳からの自立への支援がまだ足りていないのも現実だ。 

NPO法人ブリッジフォースマイルの林恵子理事長は、退所後の経済的自立のための支援、メンタルケアなどのアフターケアが未だ充実しておらず、就職しても離職率が高く、ホームレスになるケースもあるなど、多くの困難に直面する人が多いと指摘する。

「施設で育つ子どもたちの課題というのは、生い立ちのダメージの重い・軽いと自立力の高い・低いにより色々あります。生い立ちのダメージが重い人には、メンタルの治療的なケアが必要ですし、自立力が低い人に対してはもっと教育的に関わっていく支援が必要です。例えばお金の使い方とか、公的な手続きはどんなことが必要かなどです」と林さんは言う。

また、2023年時点で18歳以上も必要だと判断されれば、児童養護施設に最長22歳まで延長して残れる仕組みがある。2024年度からは年齢上限も撤廃される。しかし、この支援延長を受けることができる子どももまだ少なく、児童相談所の判断にゆだねられているという。

「支援の延長となると、児童養護施設の定員枠の中で延長されるので、新しい子どもを引き受けられなくなります。ですから、児童相談所としても簡単に認められないということもあり、延長を認めてもらっている人はごく少数なんです」(林さん)

田中さんが育った福音寮のダイニング。自立できるようにサポートすることが重要だ 撮影/大門小百合
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児童養護施設に対しては、児童福祉法で巣立った後の継続支援(アフターケア)が義務付けられているが、具体的な内容は決まっておらず、自治体や施設によってかなりばらつきがあるという。

こうした支援の差は自治体の財政力の違いからも顕在化する。「そういう格差が大人の事情によることが大きいのが子どもにとっては大変な不利益で、それを解消していかないといけない」と林さんは言う。

18歳で施設を出ていく子どもたちのために、現在、林さんの団体では、生活用品の寄付仲介をするサイト「トドクン」 を運営している。施設を巣立つ時に役立つ生活用品をプレゼントするか、資金を寄付してもらい、子どもたちがほしいものを自分で選べる仕組みだ。

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