透き通るような世界観にいちゃいけないタイプのクリーチャーに成ったけど今日も元気に擬態する   作:食卓の英雄

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遅くなって申し訳ない…。こちら色々と事情や用事が重なり、体力的にも時間的にも全然書く気が湧かなかったのです。ゆるして。ゆるして…。許せサスケ…柔拳法・八卦六十四掌




このタイトルに当てはまるのはそこそこいます

・リアン
・アビドスサバクトビバッタ
・カイザーPMC
・黒服
・ビナー

など


第28話 砂漠に潜むものたち

 

「―――以後、お見知りおきを」

「“…初めまして。話には聞いていたけど、こちらこそよろしく”」

 

 先生は差し出された名刺を丁寧に受け取り、シャーレとしての名刺交換を果たす。

 先生からしてみれば、いきなり現れたり、その身分だったりと気になる部分は多いものの、目に見えて悪事をなしているわけでもないので相応の対応を取る。……というより、シャーレに所属してからD.U.シラトリ区で街や自分のために尽力してくれている彼女達の上司なのだ。やりすぎな面も見えないため、感謝こそすれ一方的に偏見を持つのはない。

 

 それに、既に退学処分を受けた生徒たちに関しては、これまでの生徒たちのようには手出しが出来ない。

 ただでさえ通常業務や学園の問題解決に忙しいのだ。自身の領分における仕事ですら、完璧とは言えず、ここにブラックマーケットの浮浪者まで匿うとなれば、先生の負担は跳ね上がり、それどころか周囲の学園、ひいては連邦生徒会自体からも梯子を外されかねない。

 そもそもブラックマーケット自体、連邦生徒会長在任時ですら手出しの出来ない有り様だったのだ。いかに複数の学園における超法規的な権限を持っているシャーレといえど、そこまでの横暴がまかり通るはずがない。

 

 街中で見かける彼女達が名簿にないことを疑問に思っていた先生が直接身の上話を聞いた時にはそれは驚いた。

 

 彼女達の境遇は然ることながら、そんな彼女達が口々に語る社長、オーナーが退学した生徒を纏め上げ組織化して普通の生活を送らせているということ。そして、誰もが当人を悪く言っていないこと。

 シャーレの先生という立場がある以上、書類上は生徒ではない彼女達に出来ることは少ないと分かっていたからこそ、自分には手の届きにくい闇の中で尚このようなことをしている人物のことが気になっていた。

 

 そして、実際に相対してみるとその独特の雰囲気に呑まれかける。

 背恰好、体格や立場という要素を取り除いたとしても、拭いきれない圧。表情をどんな時でも変えないという話は聞いていたものの、ここまで何の意思も読み取れないのは初めてのことだった。

 

 通常、知性のある生物の瞳には微かな揺らぎが存在する。後ろめたいことや動揺することがあればそれに応じて動いたり、何かしらの反応を残す。それはどれほどポーカーフェイスに長けている者であっても変わりない。表情や態度は繕えるが、それも完璧ではない。

 

 今までにもこちらへ上辺を取り繕ってやり過ごそうとする人物もいたが、その腹に一物抱えているような様子もまるで分からない。

 

 結論として、まるで分からない。隠しごとが上手い相手特有の深淵を覗いているかのような、どこまでも深い泥の様な感覚ではない。むしろ、透き通った水のどこまでが水中なのかが判別できないかのよう。

 

 そんな、まるで無機質な蟲の様な瞳が一切動くことなくこちらに向けられている。

 

(“なるほど…不眠蟲(インセクニア)”)

 

 その二つ名に納得を示しつつ、分隊の子どもたちの反応の方を信じることにした。

 

「それで、そのオーナーさんはどうしてここに〜?」

 

 その対面も終わったと判断したのか、先輩としてホシノが話題を切り替えた。

 

「丁度イい機会だったからダな。こいつらの上司としても、ブラックマーケットの一企業人としてモ、多大な影響力を持つシャーレの先生への顔合わセ程度は、とナ。…即座に接触したのでは双方ニ不審な目が向けられる。こうして他自治区の目が少ないほうが都合が良かったダケだ。その点で言えば、早めにアビドスへ赴いてくれたのは俺にとッても僥倖というコトになるな」

「ちょっと!私達をダシに使ったみたいじゃない!」

 

 その言葉に憤るのがセリカ。それはそうだろう。自分たちの学校が出した要請に従って訪れた先生に接触するのに丁度いい場所だったと、自分たちの存在を無視して言われてしまえばいい気にはならない。

 噛みつくセリカに視点を合わせる。その際も感情らしい感情は見えず、その不気味なほど徹底されたポーカーフェイス*1に怖気づく。

 

「な、何よっ!」

「……いや、結果的にそうナッたのは確カだがそのつもりは……。いや、言い訳だな。不快に思ったのなら謝罪シよう。すまなかった。悪意はなかったノだ……。……対策委員会の皆様も、スまなかった」

「大丈夫。私達は気にしてない」

「は、はい。場所を見極めるのも当然の話ですし…」

 

 腰を曲げて謝罪するリアンにまさかそう来るとは思っていなかったのかセリカが驚き、シロコとアヤネは気にしていないと告げる。これにはセリカもバツが悪そうにしている。

 

「あー、丁度いいって何で?孤立してるなら機会はこれまでにもあったし、何なら私達に連絡してくれれば話くらい通せたと思うんだけど……」

 

 ここで、共に来ていた分隊の一人が質問をする。

 確かに、わざわざ先生の付き添いをさせている部下がいるのにも関わらず、一切の情報が知らされていなかったのは謎だ。

 

「……本来なラバもっと早期に接触するつもりだッたが…。どうにも最近はきな臭くテナ。情報の裏取りや諜報に忙しかった。悪かったな。……黙って来たのは……まあ、いいインパクトにはなっただろう?俺の様な木端が連邦生徒会お墨付きのシャーレに強力な印象を与えたいというのは強ち間違いではないはずダガ」

 

 やれやれと肩を竦める様に言うリアンに、この場にいる全員が内心でそんな訳あるか!と出てきそうになるのを何とか飲み込んだ。

 

「“えーと、さっきの話からすると、こっちに来たってことは…”」

「ある程度情報が集まったからってことですよね♧」

 

 先生とノノミの意見が一致する。

 

「うーん、その情報って知らせてもらうことは出来るかな?ほら、一応彼女たち勝手に自治区に乗り込んできた訳だし?」

「……まあ、先生につく以上、分隊にも関わりあること…か。だが、今知るべきではない、重要な情報については隠させてもらう」

「わ、通っちゃった」

 

 そうして先生たちの座る席の真ん中に端末を置いたリアンは、軽くタップすると空中に画面が移行し、そのまま集められた情報や自治区の立体映像が映し出される。

 

「わっ」

「空中ディスプレイか〜。でもそれができるのってミレニアム製の最新式だけじゃなかった?」

「自分で改造した。元々コレもジャンク品。…カスタムはしやすい。だが非正規品だからな。普通に欲シいなら大人しく出回った正規品を買ったほうガイいぞ」

 

 そうして映し出されたのは、アビドス砂漠の広大な地形情報と、そこに点在する赤い点。

 

「“これは…?”」

「マーカーのようですが…。この周囲には特にめぼしいものは無かったと…」

「ああ、マーカーだ。だが今何カガある訳じゃない。過去の出現地域を示しているだけだ」

「“過去の…?”」

「出現地域…?」

 

 そう言われ、ポツポツと浮かび上がる赤点の内、いくつかは既に棄てられた都市部にも及んでおり、その内の一つのファイルから画像を開いた。

 

 その画像は荒く、焦点も定まってはいなかったが、都市部の地下から大穴を開け、進撃する巨大なヘビ型機械が映り込んでいた。

 その巨体はビル群にも匹敵しかねないほどで、未だ穴の中からうねり飛び出す身体は、一体どこまで続いているのかも分からない。

 

「これは……」

「“ヘイローがある蛇型機械…?”」 

「ヘイローを有する謎の超高性能AI。デカグラマトンの預言者の一体だな。名前はビナー。見テノ通り超巨大な蛇型機械で、出現地域はアビドス砂漠。基本的には口部周辺の銃座かラの射撃と背部のVLS(垂直発射システム)からの爆撃を行ってくる機体だ。この巨体で暴れまわるせいか、出現してからは砂嵐も激しくなる。都市部で現れてしまえば、殆どの場合機能停止に陥ると見ていいダロう。実際にいくつカはその時点で放棄されている」

「こんなのがアビドスの砂漠に……?」

「ひえっ、私らの乗ってるのより上等な戦車が一撃で……」

「ちょっとこれは酷いなぁ……」

 

 その桁違いの威容と、ただの兵器では説明のつかないそれに各々閉口するしかない。そして、ただでさえ復興の難しいアビドスにこんなものがいては、安心して居住区を広げることも出来ない。……まあ、それは後々の話で、今はそれよりも解決するべき問題は数多くあるのだが…。それは置いておこう。

 

「……ああ、討伐しよう、とは思ワナイ方がいい。デカグラマトンのセフィラ殆どに言える事だが、戦闘能力はキヴォトスにおいてもトップクラスに高い。………恐らくだが、犠牲を払わずに勝利するニハ、各種情報を得た上で、戦闘に慣れた精鋭……それも三大校の最高戦力級を含み、充分な補給を得てようやく何とかなる………程度と推測される。ソれでも撃退が精々だろうガ。……相手も自動操縦の機械じゃない。不利と見れば退却シ、特にこのビナーハ比較的容易に移動しやすく地中が逃げ道だ。姿を隠すまでのごく短い時間であの巨体ヲ完全破壊する術なド殆どない上、撤退の際にも大規模な土煙を上げる。……直接的な戦闘に勝利しても、機能停止させるのはほぼ不可能に近いだろウな。大本を破壊したり、ハッキング出来るなら別だろうが……」

「何よソレ…!やりようがないじゃない!?」

「……生活圏に現れればその時点でほぼ一方的に損害を負うだけだと考えた方がイイな。どれだけ早期に対処出来ようとも、出現時のトンネルや砂煙の被害は看過できない。それだけ早期に撃退できるとナルと、その戦力と武装にかけた額もそれなり以上だろう。付け加えると、水道管や電線、道路などのインフラも一撃で根こそぎ破壊されルナ。運が悪ければそのまま空洞が出来て都市そのものが陥落するぞ」

「そんな……どうしようもないじゃないですか」

「ん、アビドスに生きている都市が少なくて良かったのかも…?」

「それって生きている都市が少ないっていうよりも、現れなかった都市が残ってるってとるべきじゃないかな〜?」

「「「…………」」」

 

 砂嵐だけならば、まだ対策のしようにより軽減は出来たが、これほどの存在ともなれば下手に何かをするわけにもいかない。加えて、広大な砂漠を泳ぎ、突然地下から現れるとあっては、予防すること自体が困難だ。

 真面目に対策するならば費用は莫大で、それを維持するにも馬鹿にならない金額が必要となる。だがしかし、予防しなければいざ現れてから対処するにはあまりに規模が大きすぎる。

 

 未だに辛い境遇にある対策委員会にとって、これは相当に苦しい問題の様で、暗い雰囲気が漂う。お通夜ムードという奴だ。

 

「“えーっと、それで、マーカーがあるってことは……”」

「ああ、過去の出没例からの統計と、今監視している()カラして、基本的には一定のルートを不規則に巡回しているラシイ」

 

 そうして、画面をスクロールすると赤い点とそれらを繋ぐようなラインが引かれていく。

 

「これガ、現在予測できるルートの大凡ダ。無論、地上に直接現れることはほぼナイが……、頭に入れてオいて欲しい。君たちの活動地帯からはかなり離れテイるが、用事で赴く可能性もアルかもしれなイからな。コピーして渡そう」

「は、はいっ。ありがとうございます」 

「“分かった。肝に銘じておくよ”」

 

 アヤネと先生の端末にデータをコピーし、ついでに最後の助言でもしてやろうかと悩んだその時、外に4人ほどの気配が近づいてくるのを感じて口を噤む。

 

「……ところでセリカ。君はそろそろ業務に戻った方がイイんジャないか?客が来ている」

「えっ、嘘っ!?」

 

 慌てて席から立ち上がり、入口を見ると今まさに曇り硝子の前に人が立ち、戸を開けようとしていた所だった。

 

「あ、あのぅ……」

「いらっしゃいませ! 何名様ですか?」

「こ、ここで一番安いメニューって、お、御幾らですか?」

「一番安いメニューですか? えっと、そうですね、一番安いのは――五百八十円の柴関ラーメンです! 看板メニューなので、おすすめですよ」

「あ、ありがとうございます!」

 

 全体的に紫色の制服を着用した気弱そうな少女が、値段だけを聞いて、待機している3人に伝える。

 

(“あれ、でもリアンからは真後ろで――”)

 

 先生がそう考えたのも束の間、入店してきた4人組―――陸八魔アル、浅黄ムツキ、鬼方カヨコ、伊草ハルカの4名からなる便利屋68(シックスティーエイト)は、どこか明るい表情だ。

 

「えへへっ、やっと見つかった、六百円以下のメニュー!」

「ふふふ、ほら、何事にも解決策はあるのよ、全て想定内だわ」

「そ、そうでしたか、流石社長、何でもご存知ですね」

「はぁ……」

 

 嬉しそうな声で喜ぶ3人に、その様子に呆れたようにため息をつくカヨコ。これだけで4人の立ち位置がある程度は把握できるような気もする。

 

「四名様ですか? お席にご案内しますね」

「んーん、どうせ一杯しか頼まないし大丈夫」

「一杯だけですか? でも、どうせならゆっくりお席へどうぞ、今は暇な時間なので、空いている席も多いですし」

「おー、親切な店員さんだね、ありがとう、それじゃお言葉に甘えて」 

 

 先程までの喧騒はどこへやら、完全に理想的な店員として応対するセリカに、ムツキがふと思い出したように頼む。

 

「あ、わがままついでに、箸は四膳でよろしく! 優しいバイトちゃん」

「えっ? 四膳ですか? ……ま、まさか一杯を四人で分け合うつもり?」

「ご、ご、ごめんなさいっ、貧乏ですみません! お金がなくてすみません!」

「あ、い、いや……! その、別にそう謝らなくても!」

「いいえ、お金がないのは首が無いのも同じ、生きる資格何てないんです、虫ケラにも劣る存在なのです!」

「……ちょっと、声でかいよハルカ、周りに迷惑」

 

 謝罪の言葉を繰り返すハルカに、語気を強めてセリカは否定した。

 

「違う! お金が無いのは罪じゃないよ! 寧ろ胸を張って!」

「へ? ……えっ、はい?」

「お金は天下の廻りものって云うし、そもそもまだ学生だし、それでも小銭を搔き集めて食べに来てくれたんでしょ!? そういうのが大事なんだよっ!」

「え、えっと――」

「もう少し待っていてね、直ぐ持ってくるから!」

 

 矢継ぎ早に、呆気にとられた便利屋たちを置いてけぼりにしてセリカは厨房へと引っ込んでいった。

 

「……何か妙な勘違いをされているみたいだけれど?」

「まぁ、私達はいつもそんなに貧乏って訳じゃないんだけれどね、強いて言えば、金遣いの荒いアルちゃんのせいだし」

「アルちゃんじゃなくて社長でしょ? ムツキ室長、肩書はちゃんと付けてよ」

「ん? だってもう仕事終わった後じゃん? ところで、社長の癖に社員にラーメン一杯奢れないなんて実際どうなの?」

「ぐっ……」

「今日の襲撃任務に投入する人員雇う為に、ほぼ全財産使っちゃったしー」

 

 とまあ、置いてけぼりにされた4人は、最後に物騒な話題を話していたが、幸いにもそれはアビドス対策委員会の面々には届かなかった。

 

 そう――――()()()()()()()()()()()

 

(――――成る程?ハルカに、アル社長、ムツキ室長。ゲヘナ風の制服に、4人組。便利屋69……だっけ?まあ、名前はいっか。昨日、カイザーがヘルメット団に見切りをつけて雇った連中か。…ヘルメット団たちを4人で圧倒する戦力に、最近自地区内に立ち入った傭兵バイトが大勢。中々手強そうだな。………けどまあ、練兵には丁度いい。他の隊員ならともかく、あの4人を含んだ第3分隊なら遅れを取るといったことも無い筈…。ここはあえて、ノータッチで行こうか)

 

 鉄仮面の裏で、襲撃者を利用しようとするその思考は、紛れもなく裏の組織の頭領に相応しいものであった。

 

*1
何かあず◯ゃんみたいな見た目だなと思っている




ある程度原作のセリフを入れなければ展開が難しいが、それはそれで文字増えたりしそうで怖いし、それでいていれないと状況説明や会話の楽しさが消えるので調整が難しいでヤンスよ。


よくよく考えればビナーってやばくね?っていう妄想。

だってデカグラマトンの預言者の中でも明らかに最大サイズの巨躯。そのクセ体はずっと地下を経由してて、長さは未だに不明。さらに地下を掘り進めて突然地上を割って現れるわ、岩を溶かすビーム撃つわ、砂嵐は起こすわで居住区に対しての被害が絶大過ぎると思うんですよね。
こんなのが都市の下を通ったら、それだけで地下にある配管やらは壊滅。出現した地域は地下に空洞が出来て補修が必要だし。
似たような立場のホドはビナーほどすぐ退却できる感じじゃないし。
それにこっちは演出だけど、総力戦ボスたちの中で、HPを削りきった時ビナーだけは地下に逃げるんだよね。
デカさ、ビーム。神出鬼没。後々の影響。他攻撃の多彩さから、ビナーはヤバい、と思っております。
やっぱ砂漠か廃墟で迎え撃つのが一番だよね。市街地には現れた時点でこっちの被害が大規模になるのが確定してるから。

先生の台詞にゲーム本編のように「“”」はいる?

  • 先生と一目で分かるからあった方がいい
  • 別にゲームテキストでもないのでなくていい
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