透き通るような世界観にいちゃいけないタイプのクリーチャーに成ったけど今日も元気に擬態する   作:食卓の英雄

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タイトルは気にするな!

久しぶりに一話投稿しただけなのに日間ランキングにいるのはなんか嬉しいですね。
続きだオラッ!

因みに前話でビナーの話をしたけど、別に大決戦を狙ってたわけではないです。たまたまですたまたま。

……アビドス編はあっさり終わらせるつもりだったのに肉付けした結果こってりになっちゃいそう。豚骨ラーメンより醤油ラーメンが好きな作者です(燃料投下)


第29話 何かそれっぽいキーワードを言って去っていく重要人物っぽい奴。何かこう、そんな感じの存在に、私はなりたい

 

 

「はい、お待たせしました! 熱いのでお気をつけて!」

 

 便利屋の面々が席につき、他愛ない会話をなしていると、セリカが注文のラーメンを元気よくテーブルに置いた。しかし、中央に置かれたラーメンは大盛りを超えた大盛り。最早ギガ盛りとも云うべき超山盛りのラーメンだった。明らかに10玉以上は入っているそれに、便利屋は驚きの声を上げる。

 

「ひぇ、なにこれ!? ラーメン超大盛じゃん!」

「ざっと、十人前はあるね……」

「こ、これはオーダーミスなのでは? こんなの食べるお金、ありませんよぅ……」

「いやいや、これであっていますって、五百八十円の柴関ラーメン並、ですよね大将!」

 

 皆が訝し気に、恐る恐るとセリカを見れば、彼女はなんてこと無いように、笑みで断り、店長でもある柴大将も平気な顔で白をきる。

 

「ああ、ちょっと手元が狂って量が増えちまったんだ、気にしないでくれ、こっちのミスだからよ、料金は柴関ラーメン並一杯分だ」

「大将もああ言っているんだから、遠慮しないで、それじゃごゆっくりどうぞー!」

 

 明らかな気遣い、明らかな三文芝居。しかし抗議する間もなくセリカはテーブルを離れ、超々大盛りの柴関ラーメン(並)は空きっ腹には何とも耐え難い香りを携えながら存在感を放っていた。

 

「う、うわぁ……」

「これは、凄いね」

「良く分からないけれど、ラッキー! いただきまーす!」

「……ふふふ、さすがにこれは想定外だったけれど、厚意に応えて、有難く頂かないとね」

「食べよっ!」

 

 ここまで来れば、遠慮する方が無粋というもの。便利屋は手を合わせて次々に箸を伸ばした。

 

「っ!」

「お、おいしいっ!」

「なかなかイケるじゃん? こんな辺鄙な場所なのに、こんなクオリティなんて!」

「――でしょう、でしょう? 美味しいでしょう?」

 

 好感触な反応をする便利屋たちに、満面の笑みを浮かべてノノミが尋ねにいった。こうした雰囲気で他者とも話し合うことが出来るのは、彼女の魅力でもあった。

 当然、突然話しかけられたアルは驚いた様子を見せながらも、真面目に反応を返した。

 

「あれ……? えっと、隣の席の――」

「うんうん、此処のラーメンは本当に最高なんです、遠くから態々来るお客さんもいるんですよ」

「――えぇ、分かるわ、色々な場所で色々なものを食べたけれど、このレベルのラーメンは中々お目に掛かれないもの」

 

 ノノミの言葉に続いて、今度はアヤネが柴関ラーメンを絶賛する。便利屋達もそれには同意見のようで、次第にアビドス組と便利屋68の距離は近づいていく。

 

「えへへ……私達、此処の常連なんです、他の学校の生徒さんに食べて頂けるなんて、何だか嬉しいですね」

「きょ、きょ、恐縮です……」

「その制服、ゲヘナ? 遠くから来たんだね」

「私、こういう光景を見た事があります、一杯のラーメン、でしたっけ……」

「うへ~、それは一杯のかけそばじゃなかったっけ?」

「………」

 

 そうして、両校の生徒が楽しく団欒を繰り広げていると、一歩退いた立場のカヨコが、生徒証に見える三角形に太陽のマークに気がついた。

 

 と、同時。その奥に見える真っ黒な防弾衣に身を包んだ巨大な姿とその裏側に座る隊員たちに気がつく。

 

(…!あの服装、特徴…。間違いない。遊星リアン…。大柄に特徴的な服装は頭に入ってた筈なのに、何で今の今まで気づかなかった…?)

(どうしたのカヨコちゃん?)

(…ムツキ。制服を見て)

(制服…?ってありゃ、襲撃予定のアビドス高校じゃん)

(それもあるけど……。その奥。RE:flectorの私設傭兵部隊。そして、あっちの大きい方は、間違いなく()()不眠蟲)

(……嘘っ!?不眠蟲って、ゲヘナ(うち)の風紀委員長に匹敵するって言われてるあの…?)

 

「うふふふっ、良いわ、こんな所で気の合う人達に会えるなんて、これは想定外だけれど、こういう予測できない出来事こそ、人生の醍醐味じゃないかしら!」

 

(肝心のアルちゃんは全然気づいてないみたいだけど?)

(はあ…、あっちはともかく、制服と校章もあるのに……。言うべき?)

(んー?まあ、いいんじゃない?面白そうだし…。多分、悪くはならないんじゃ?) 

(でも、もしRE:flectorや遊星リアンとアビドスが組んでたら、今のままじゃ勝ち目は少ないよ。カイザーに対抗するために、同じやり方に慣れてる所を雇う可能性も考えるべきだった)

 

 頭が回るカヨコは、気づいてしまった状況と数々の情報を踏まえて、余計に頭が痛そうに抑えてしまう。

 ただでさえ色々と手を尽くした依頼だったのに、仮に本当にRE:flectorが、遊星リアンが手を組んでいるのなら、はっきり言って寄せ集めの傭兵と便利屋だけではアビドスとRE:flector、その両方を相手取るなんて不可能だろう。

 アビドス側の戦力は不明ながら、孤立した状況下でカイザーが手を焼くほどに耐えてきた少数精鋭。こちらが弱いことを期待するにはあまりに楽観的に過ぎることだ。

 

 と、そんな風に小声で話しているカヨコとムツキの間に、丸められた小さな紙が飛んでくる。

 

「ん?」

「…メモ?」

 

 他の面子は互いの話に花を咲かせて気づいていない様子だが、飛んできた方向を見ると、それは先程警戒していたリアンの後ろ姿。

 どういう理屈か、こちらを向いた瞬間に後ろ手にヒラヒラと手を振ると、丸まった紙を開くようなジェスチャーを投げかけてくる。 

 

「………」

 

 恐る恐るメモを開くと、そこには「あまり人のいる場所で襲撃の話などするものじゃない。誰が聞いているか分かったものではないからな」と書かれていた。

 

「っ…」

「うひゃぁ…。これ思いっきりバレてるよね〜」

 

 思いがけない所からのストレートに、普段は比較的冷静な二人も流石に冷や汗を流す。

 さてどうしようかと、そう思案した所でリアンは立ち上がってそろそろ帰ると告げていた。

 

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!折角来たんだから、うちのラーメンくらい食べていきなさいよね!」

 

 それに割って入ったセリカ。ややツンツン気味ではあるものの、険のあるものではない。

 

「そうですよオーナー。ここのラーメンすごく美味しいですよ?」

「……悪いガ、遠慮させてもらうよ」

「え〜、オーナーさんも食べてみてください。一口でも食べたらきっと気に入りますよ〜☆」

「ん、あなたもここにお金を落とすべき」

「ほ、他に客もいたのね…! そうよ、そこの貴女。このレベルなら自治区の名物と言っても過言じゃないわよ。食べないのは損よ」

 

 離席しようとするリアンに気付いたのか、先程まで盛り上がっていた双方の意識が移る。

 いいものは皆で分かち合いたい気持ちが強いのだろう。惜しむように懇願するように推してくる。

 

 が、そこに待ったをかけたのは、誰であろう柴大将だ。

 

「まあまあ、無理言っちゃいけねぇよ嬢ちゃんら。そっちのお姉さんにも事情があるかもしれないのに、無理強いするのは良くないぜ」

「柴大将…」

「そうですよね…。あの、無理を言ってすみません」

「……いや、気にしないでくれ。生憎と身体上の都合で汁物を含んだ麺類は食えナクてな。悪カッたな」

「“それは……アレルギーかな?”」

「……まあ、そんなモノだ」

 

 先生の問いに、リアンはお茶を濁すように曖昧に答える。他の面々も、身体の都合に無理を言うほど我儘ではないのですんなりと引き下がった。

 

「……ああ、そうだ。この場ハ俺が奢ろう。第3分隊が世話になっている礼トでも思っテクれ。…今後も、世話になるダロウしな」

「え、いいんですか!? か、替え玉もいいですか!?」

「じゃあ私ももうちょっとトッピングしようかな…」

「ん、私ももう一杯くらいは…」

「どんどん頼んじゃいます!」

「ちょ、ちょっとみんな…!」

「うへ〜、みんな若くていいね〜。おじさんになるとラーメンも一杯が限界で……」

「だからホシノ先輩はまだ高校生でしょ!?」

 

 奢り、と聞いては次々にオーダーを増やしていく。急に増えた仕事にセリカが慌てて引っ込んでいった。

 そしてもう退出するとのことなので、柴大将が勘定に当たる。

 

「……コレで、頼む」

「…ん?お姉さん、これはちょっと多すぎ…」

「いや、あっテるさ。4人組に出した量、10人前ハアるだろう?差額クライはな。タだでさえ過疎化の進む土地で、味も値段も人情も溢レル良店だ。何より潰れては彼女たチも悲しむだろう」

 

 差し出されたのはアビドスの4人+先生に、第3分隊の4人分の金額だけではなかった。便利屋にサービスとして増量した分を嵩増しして支払っていたのだ。

 当然柴大将は好きにやったことだと言うも、全く同じ言葉がリアンから返されて口を噤む。

 

 しかし、その潰れては困るという言葉に大将は僅かに眉を下げた。

 

「(…ああ、そういえば柴関ラーメン(ここ)の土地はカイザーが立ち退きを要求していたんだったな)……まア、気にするな。金は有るとこロカら持ってこなくては」

「そうかい、すまねえな」

 

 支払いも終わり、踵を返そうとした所で、そう言えば最後に助言をしようとしていたことを思い出す。便利屋の登場で黙ってしまっていたため、今の今まで忘れていたのだ。

 

「……ああそれと、こレはサービスだが…」

 

 足を止めたリアンに不思議そうな顔をする先生。

 取り出したメモ帳に何事かを殴り書きして千切る。

 

「“これは…?”」

「何、ちョッとしたおまケ。そうだな、探偵モノのありがちなキーワードみたいなモノとデも思ってくれ…。マア、自分の足で得タもの以上の価値にはならないだろうガ…」

 

 その紙切れを先生に預けてから、今度こそリアンは柴関から姿を消した。

 

 その後ろ姿を見送って、メモを見ると、そこには『マネー・ロンダリング』『カイザー』『土地権』とだけ書かれていた。

 

「“これは…?”」

 

 手元に与えられたメッセージ。先生のそのつぶやきは、誰の耳にも届くことなくラーメンの蒸気と共に消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「社長、あの子たちの制服……気付いた?」

「えっ、制服? 何の事?」

「アビドスだよ、あいつら」

「………アビドス?」

 

 少し時は経ち、ラーメンを食べ終わった便利屋68はアビドス対策委員会と円満に別れた。いい人たちに出会ったと満足げな顔をしているアルに向かって、カヨコがある事実を告げる。

 それを知らされたアルは、暫しアビドスアビドス…と言葉を反芻し、その意味する所に気がついて白目になって絶叫した。

 

「ななな、なっ、何ですってッーーー!?」

「あははは、その反応ウケる~」

「はぁ……本当に全然気づいていなかったの?」

「……えっ、そ、それって私達のターゲットって事ですよね? わ、私が始末してきましょうか!?」

 

 本気で驚くハルカとアル。その反応から、呆れるばかりのカヨコだったが、「それよりも…どうする?」と続ける。

 

「アビドスと仲良くしてたあの連中。最近ブラックマーケットで頭角を現してるRE:flectorの傭兵部隊だよ。それにあの大柄な人は間違いなく遊星リアン……。噂でしか知らないけど、個人の戦闘力なら風紀委員長レベルだって聞いてる。本人がいなくても、部下に手を出してきた相手には直々に報復してるみたいだし、もし本当にアビドスと協力関係にあるなら相当分が悪いよ」

「えっ…? えっ、それって不味くないかしら?」

「はぁ…。だからどうするかって聞いてるの」

 

 ショックを受けているアルに対しても、冷静に事実のみを告げる。

 アルにとっては、あれだけ仲良くしてくれた優しい人達を襲うだけでもかなり躊躇う原因にもなっている。その点だけならば、公私を分けているカヨコとムツキは襲撃の準備を進めただろうが、RE:flectorの存在が彼女たちの手を止めさせる。

 

 進んだら、恩知らずな上に、ブラックマーケットでも有数の組織からの報復の危険性もある。しかし退いたら退いたでカイザーという大手からの依頼をキャンセルするというのは痛く、便利屋の名に傷がつく可能性も高い。

 

 どちらをとっても、得られる利益はほぼない。超々ハイリスクローリターンな状況に追いやられてしまっているのだ。

 

「私としては、退く方がリスクはないと思うけどね。あの子たちと好んで敵対したいわけじゃないし、こんな所でRE:flectorにも手は出したくない。……最悪、断った評判なんかはこれからの活動でも挽回する機会はあるし、理由をつければそれも抑えれると思うけど……」

「あはは、私も同意見〜! でも、アルちゃんの指示に従うよ」

「ア、アル様…」

「う、うぅ……!」

 

 3人の目に晒され、陸八魔アルは激しい葛藤を見せる。ただでさえ復興を応援すると言っていた相手に襲撃をしかけるのに、さらにヒナ並かもしれないと噂される戦力が報復に来る可能性を考えて、良心とその後の自分たちの姿を夢想して青ざめて震える。

 本気で悩み、社員のために退くことも浮かび上がり、けれど一企業として、アウトローとして、自身のポリシーを曲げる方はしたくなく……。

 

 悩みに悩んで、葛藤に葛藤を重ねて蚊のなくような声で指令を絞り出した。

 

「う…うぐぐぐぐぐぐぐ……っ! こ、このままじゃ駄目よ…一企業として、このままじゃ……!」

「じゃあ、このまま続行ってこと?」

「はっ、はい!アル様が仰るなら!」

「…分かった。社長が決めたなら文句は言わない。…でも、やっぱりリスクを回避するためにもう少し策を練って―――」

 

 

「あア、そちらハ安心していいぞ」

 

 

「「「「―――っっ!!?」」」」

 

 自身の視界に、影が差す。カヨコは背後からの声に咄嗟に拳銃を抜き、即座に対処できるように構える。

 

 その反応速度は流石は荒事に身を置く者と褒め称えるべきそれだったが、構え終わったトリガーに親指を挿し込まれ、発砲出来ない状態でグリップを握られた。

 

「くっ…!」

 

 無理やり振り払おうにも、まるでビクともしない。拳銃を手放す以外の離脱はあり得ない。

 ここ、キヴォトスでは銃を持たない人間は全裸で外を徘徊する人よりも少ないとされるほどに銃が普及し、また身を守る手段として成り立っている社会。惜しくはあったが、背に腹は代えられない。即座に地を蹴って距離を取り、3人の横に回る。

 

「遊星リアン……!」

 

 苦々しげにカヨコが呟く。その言葉に向き直った便利屋も警戒し、各々自身の得物を構えて牽制する。

 

「…貴女とはさっきぶりね。何の用かしら? ま、まだ何もしてないわよ?」

「社長、そんなの関係ないって。これから襲撃に行くってこともバレてるし、今のタイミングで声をかけたことからも、こっちがどうするか伺ってたに決まってる」

「そうだねぇ、アルちゃんが決めちゃった以上、言い逃れも出来ないしね」

「あ、あれっ!? それは私が悪いみたいに聞こえるのだけど!?」

「ま、どの道腹を決めたんなら、遅いか早いかでしょ」

「あ、ああ、アル様の敵ってことでいいんですよねっ? こっ、殺します!!」

 

 最早戦闘は避けられないと見たか、4人のスイッチが入る。先程まで困惑し、虚勢を張っていたアルも、ここに至っては社長としてクレバー()に対応する。

 武器を失ったカヨコを庇うように自らが前に立ち、堂々と云う。

 

「言っておくけど、こちらも仕事、ビジネスなの。いくらあなたたちを相手にすることになっても、……例え、恩のある相手で…あ、あっても、一度引き受けた依頼である以上、私達のモットーに従って…「そうか。その言葉が聞けて良カッた」……へ?」

 

 声を張り、宣言するアルに割って入るリアン。その言葉に呆気にとられたアル。拳銃をカヨコに投げ渡し、不審に思ったカヨコがその言葉の真意を尋ねた。

 

「……どういうつもり?」

「…どういうツモりも何も、俺に敵対する意思はない。ウチのが障害となッて、取り下げないかト不安に思ってな。伝えに来たダケだ」

「伝えにって?」

「報復するつもりナド、無いコトだな。……第一、俺も報復に出るのは、真っ当な事業の妨害をしてきた相手や、こちらを巻き込んできた悪徳企業、ブラックマーケットの一部組織に限ってイル。……恐怖を植え付ケる噂は時トして利にもナルが、少し尾鰭がつき過ぎタな」

 

 その言葉に、安堵よりも緊張を覚える。何せ、今言及している報復云々は暫し前にカヨコが言ったこと。大声で言っていたわけでもないのに、正確に把握しているのは、つまりそれだけの距離にいながらに無警戒で話し続けていたことの証明に他ならない。

 

「……それはこっちとしても助かるけど、何で? その言い方は襲撃してほしいって言ってるようなもの。アビドスとも交流がありそうだったのに、あれは演技で潰そうとしてるとか?」

「…そう睨みつけないデ欲しい。第一、第3分隊の元々ノ役割は先生の護衛、アビドスに雇われた訳では無い。個人的な交流があったとして、それが企業そのものが出張ることにハならない。……それと単純に、俺の存在で()()()()()()()()()を断らせるノも忍ビない」

「(やっぱり知ってるか…)……それを信じろって?」

「…信じられなイのも無理はないが、信じて欲しいとしか言エないな。……まあ、君達が非人道的な行為を常習的に行う組織ならば介入していたガ……。これまでの活動履歴からそれはなさそうだし、真摯な仕事人でアる様だからな。学生の身分ながら将来を見据えた活動ニハ、俺としても好感触だよ」

 

 当然のように、出くわすとも分かっていない組織のこれまでの活動をペラペラと口に出せている。それなり程度にはネームバリューがあると思ってはいたものの、外野で出会っただけの組織の長にここまで知られていると薄ら寒いものを感じる。

 

「…そっ、そうね。卒業後に向けての名前売りとノウハウも当然考えているわ」

(アルちゃんってばそんなこと考えてもないのにね〜?)

(……まあ、ノウハウとかが将来のためになってるってことは否定しないけどさ)

 

 アルの言葉に、片や面白そうに、片やげんなりとしつつも、流されないように正面を見据える。

 

「……まあ、俺とシテは、君達程の手練レとの交戦経験を部隊に積ませたいのもアルのだが。…実践形式、地形やタイミングの不確かな中での対応を見タいということが、君達を止めない理由の一ツか」

「教えてくれるんだ?親切だね〜?」

「…このまま疑念を抱かせたままにしてハ、実力を発揮出来ないだろう?」

「あら、いいのかしら? 敵に塩を送るような真似をして。…調べたのなら知っているでしょうけど、私達は便利屋68よ?」

「何も問題はない。それだけ奴らとアビドスの戦闘力は信頼している。……尤も、敗れたならば、その敗因と行動を鑑みて、今後の糧とスるだけだ。強敵と出会い己を高めるのも、大きな壁に自身の足りないものを自覚するのも、思想が凝り固まる前にやってしまった方がいいカラな」

 

 あっけらかんと、さも当然であるかのように話している様子から、本当にどちらでもいいのだろう。負ければその対策が出来て、勝てば実力の確認にもなる。

 

 はっきり言って、いいように利用されたとしか思えないものの、懸念点が一つなくなったのは事実だ。流石の便利屋も、依頼でもないのに大規模な組織と敵対することを平気と済ませられる肝は持っていない。

 

「…最後に言っておくが、数いる外部傭兵として関わるならばカイザーはいい所だが、それ以上ニ踏み込むのは止めておいた方がいい。…風評と、カヨコ課長殿ほどの者であれば理解しテいるだろうが、今は特にキナ臭い。損切りも視野に入れておいタ方がいいだろう。……では、さらばだ」

 

 そう言って、銃を向けられているにも関わらず、背を向けてゆっくりと歩いて去っていく。

 

(……やっぱり、来た時と同じで、まるで足音がしない。参ったな。噂よりもヤバいと思ったほうが良さそうだね)

 

――――その後ろ姿は、ただでさえ大きい見た目よりもずっと、ずっと大きく見えたのだった。




虫って存在感あるくせに気配は薄いは足音しないわで色々だよね。まあこいつの場合声かけるタイミングとかを模索した結果やらかしたガバなんですが。

『カニ道楽ちゃん』
最近神秘がぐんぐん上がって戦闘能力も向上している。少し前クラーケンに捕まった時は特注の鉈(例の合金)で足を斬って逃げ出した。切断した足は船員の昼飯になった。

『クラーケン』
長生きした古代生物の神秘を内包しているため、常習的に摂取すれば神名結晶と同等の効果を得られるが、鮮度も関係しているのであまり現実的ではない。

『モササウルス』
最近子供が生まれた。

面白いと感じたら評価、感想をお送りください。モチベと新しい発想のもとになります。あと作者が喜ぶ。

先生の台詞にゲーム本編のように「“”」はいる?

  • 先生と一目で分かるからあった方がいい
  • 別にゲームテキストでもないのでなくていい
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