透き通るような世界観にいちゃいけないタイプのクリーチャーに成ったけど今日も元気に擬態する   作:食卓の英雄

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2月は忙しくて中々書けずにすまない…。
ちなみに前話の前書きの続きだが、無事ガチャ終了30分前にドレスヒナも水おじも当てたぜ。ちなみに無課金勢です。ミカは3枚抜きだった。最大解放したあとだから勿体無いぜ…。


第27話 丁寧に挨拶する裏社会のやつは大体敵

 

 あれから暫く、先生の護衛やアビドスとの交流を分隊に任せてアビドス周辺の立地やカイザーのことを探っていた俺だったが、それも今は一段落した。

 

 カイザー系列から情報を抜くのは意外と簡単だった。というのも、カイザーはキヴォトスでもトップクラスの大企業だけあり、表にも裏にも大量の人員と支社を構えている。

 

 となれば、緩い場所から手当たり次第に潜ませていけば大体の情報は探れる。あいつらオートマタ系な住民なもので、機械的に十分な対策があり、自身のホームであればボロボロと情報を零すこと。

 誰もいない事務所で書類を読み取らせたり、関連するワードを精査して集めれば、信頼性は少しずつ高まる。

 

 普通、そこまで大きく網を広げると収拾がつかなくなるだろうけど、こっちの手足は増やした数を含めて8億を超えている。一部不幸な事故で亡くなってしまったが、偵察だとは思われていない。

 

 カイザーローン。アビドス砂漠。そして巣食うカイザーPMC。

 

 他所の支社からは精々が不正や後ろ暗い取引の証拠など、こちらには関係ないものが見つかったが、中でも上記のは困難だった。

 

 いや、カイザーローンの方は物理的にバッタが忍びにくかったからだけどさ。金庫に書類やらがあったから開けられないと何もできないし…。

 

 そして、件のカイザーPMCはというと、俺の推測した通りに演習場や基地としても使われていたものの、やはり主目的は別だったらしい。

 

 どうやら、このアビドス砂漠の買い取りにはPMCだけでなく、更に上の立場からも熱心に推されているらしい。それも、利用価値があり便利、というような将来を見据えたものではなく、まるでそこに埋蔵金でも埋まっているとでも言うかのような熱意で砂漠を掘り進む拠点が至る所に設置されていた。

 

 ……はい、黒です。明らかに何かがあり、それ目当てで上手く誘導して借金背負わせたやつだ。カイザーローンを張ってた限りじゃ少し分からなかったが、過去の記録を見れば利子の返済額とヘルメット団ら雇われに払われた給料がほぼ一致した。

 

 書類での明確な証拠を掴んだわけではないけど、間違いなくマネロンしてる。

 

 これから分かるのは、アビドスを絞りたいわけでも、追い詰めたいわけでもなく、自治区を放棄させすべてをカイザーのものにしたいということだ。

 

 今も砂漠の掘削拠点はあるが、めぼしい成果はないらしく、PMCは少しでも見つける確率を上げるためにアビドス高校の土地と生徒は邪魔らしい。

 

 まあ、これだけなら自分たちが優位に立っているからこその圧力にも思えたが、中にあった一つの情報からそうではないと確信した。

 

 ―――アビドス砂漠に出没する巨大な機械蛇。デカグラマトンの預言者の存在だ。

 

 この砂漠を徘徊しているようで、時折出没しては市街地や地盤に大きな被害を与えていった、正に生ける災害のようなもの。

 

 こっそり盗ませたデータを見ても、カイザーPMCが有するあらゆる武力を上回る機構や性能を持っており、掘削作業の邪魔をすることもあるらしい。

 

 そのため対デカグラマトン大隊という部隊まで編成しており、交戦記録も残っていた。

 

 ヘイローを持つこの巨大蛇は凄まじい性能を持っているものの、それでもカイザーはこの土地を手放したりしない。あの巨大蛇ですらとてつもない兵器であるのに、その妨害に遭いながらも探しているものとなると、それはもう、あの巨大蛇がどうでも良くなるような代物に違いない。

 

 そう思ってカイザーのお偉方を監視するようにしているが、今はまだ影も形もないせいかその話題が挙げられることはなかった。無念。

 

 砂漠を彷徨う蛇ということで、一度力を割いてアビドス砂漠一帯にばら撒いたが、普段は潜っているのか中々見つけることは出来なかった。

 

 一度見かけた際にもそのまま地中へと潜っていったので追跡は不可能。悔しいけど、なんかこう、UMA探しみたいで面白かった。まあ出現記録から基本はある程度の範囲を徘徊していることがわかったのはまあマシだな。

 

 そしてその機械蛇、頭部に堂々と土星の惑星記号を持っていたのだ。ヘイローや体色から何となくそうではないかと思っていたが、ウチのゲブラと似たような存在だ。

 

 デカグラマトン、という括りは初耳だが、同時に納得することが出来た。

 

 デカグラマトンとは、神性存在とセフィラに因んだ造語だろう。聖4文字(テトラグラマトン)をセフィラの数である10(デカ)に置き換えたのか。成程、いいセンスだ。

 

 土星ということは、あれの名前は恐らくビナー。理解の名を持つ第3のセフィラ。

 

 因みに、ゲブラに聞けばあっさりとデカグラマトンや預言者のことを教えてくれた。…………もっと早く聞けば良かった。っていうか君はデカグラマトン抜けてるのね。あとあの4脚戦車はダアトじゃなくケテルとのこと。となるとアルカナとの関連は否定してもいいかな。

 

 とまあ、あれから数日は調べたものの、成果はその程度。要はカイザーがアビドス自治区に潜むなにかが目的で、攻撃して追い出そうとしている…。ということくらいか。

 

 うーん、この程度土産にもならないかな……。ぶっちゃけ他の不祥事は沢山見つけたけど。

 

 具体的には、カイザーが連邦生徒会と裏で繋がってることとか。明らかに正規の手段じゃないし、元SRTのFOX小隊が同陣営にいる。

 解体命令後の襲撃も、一時期話題になってたけどよく調べてみたら被害者の支持派が明らかに七神リン行政官派で固められてて、これはやってるって思ったね。

 

 ……思ったよりヤバいのが出てきたな。どうすんだこれ。ウチの社員巻き込んで良かったのかな。

 

 いや、勘違いしないでほしいのが、ちゃんとアビドスのこともたまに見てたからね。到着二日目の夜に黒見セリカが誘拐される場面もしっかり見てたし、座標を送ったのも俺だ。

 

 いやぁ、先生の方もこんな激戦地にいて最初はハラハラドキドキしてたけど、帰りは分隊の装甲車に乗って帰ってたからその分アビドスにかかれる時間も増えているようだ。

 

 護衛を兼ねてるから行きも一緒だったけど、もうすっかり分隊のみんなも警戒なく受け入れられるようになった様で何より。協力できる相手に不和を招く必要なんてどこにもないしね。

 

 さて、こっちでのガサ入れは終わったし、これ以上となると流石に不自然な数と場所に動かすことになる。……ここらが潮時か。

 今後も続けてはいくけど、今までよりもかかりきりではなくなる。……念の為、情報の精査を行いつつ、折角アビドスにいるんだから顔合わせでもしておくか。

 

 

 

 

――――…

 

 

 

 

 アビドス高等学校に先生が訪れて数日が経過した。最初は余り信頼されていなかったハンター小隊のメンバーも交流を続けるごとに馴染んでいき、今では先生の護衛などに関わらず雑談などをする程度には親交を深めている。

 

 現に、護衛としてついているというのはあるが、こうして昼食に呼ばれる程度には。

 

 ここはアビドス高校近隣に居を構えるラーメン屋『柴関ラーメン』。かつてはかなり繁盛していた店であったが、アビドス自治区の過疎化に伴い客足も途絶えて久しいかつての名店だ。

 ここはセリカのバイト先の一つであり、その縁と自地区内でも貴重かつ美味しいラーメン屋でもあるので、対策委員会の面々が常連になっているのだ。

 

 朝の会議では巫山戯た案しか出なかったため*1、怒ったアヤネを宥めながら柴関に向かった一同。

 ちなみにこの会議に分隊は参加していない。他校の中枢に関わる内容でもあるので、外部組織の人間を置いてはおけないという分別は互いに持っていた。

 

「いやぁー、悪かったってば、アヤネちゃーん、ラーメン奢ってあげるからさ、怒らないで、ねっ?」

「別に、怒っていません」

 

 アヤネの説教を受けた対策委員会。ホシノは機嫌を取るように提案するが、膨れっ面でラーメンを啜るアヤネには届かない。と思いきや割と普通に世話を焼かれてたりする。なんだかんだで甘いアヤネは先輩には敵わないのだ。

 

「……なんでも良いんだけれどさ、なんでまたウチに来たの?」

「いやぁ〜、お昼頃に丁度いい時間でセリカちゃんもバイトだったからさ〜。それに、お店側としても沢山お客さんがいたほうが稼ぎになるでしょ?」

 

 そう言って、チラリと別のテーブルに固まる第3分隊の面々へと目を向ける。

 いつもはセリカを除いた対策委員会のみと考えれば、今回は第3分隊から4人+先生で、いつもの3倍以上の客数だ。

 

「アビドスの僻地にこんなに美味しいラーメン屋があったなんて……」

「どうしよう…替え玉今からでも頼もうかな…」

「これは常連になっちゃう美味しさ。バッチグー」

「うま……うま……」

 

 ここに居る分隊のメンバーは本来は第3分隊に所属していない特殊技能のみで構成された班員達。残りのメンバーは弁当や軽食を食べながらアビドス高校付近の警戒だ。ここまで襲撃が頻発しているとなれば、留守の間を狙って破壊工作をする可能性もある。

 そのためこうした何でもない外出時などは一部メンバーを先生と共に送り出しているのだ。以前は8人がこのラーメン屋に訪れており、居残りしていた4人は話に聞いていた美味しさと期待以上の味に舌鼓を打っている。

 

「ちょっと!僻地って何!?」

「ひぇっ、す、すみません……」

「こらこらセリカちゃん。あんまり虐めるんじゃないよ。……まあ、君たちがアビドスに来てくれればおじさんとしては生徒の確保が出来て万々歳なんだけどね〜。他の学校じゃないし問題にはならないでしょ。どう?ここにくればいつでも柴関ラーメンが食べれるよ〜?」

 

 猛るセリカを宥め、ホシノは4人に向けて勧誘を持ちかける。冗談めかした言い方ではあったが、いくら冗談とはいえそういった話題を出せるほどに人格面などを見ていたからであろう。

 

「うーん、悪いけどそれは…」

「あ、ありがたい話ですが私達は今の立場も気に入っているので……」

「オーナーへの借りも返してないし」

「いくら退学してるとはいえそこのポリシーまで曲げたくないしな」

 

 4人の反応は一貫してこれだ。恐らく、学校周辺の警戒をしているみんなに聞いても多少の好感の違いはあれど似たような反応が返ってくるだろう。

 

「うへ〜、おじさんフられちゃったよ。アヤネちゃん慰めて〜」

「あ、その…あはは…」

「みなさんそのオーナーさんのことを大切に思っているんですね☆」

 

 おどけるホシノに、度々メンバーから口に出されるオーナーへ興味が湧いたのかノノミが尋ねる。

 

「うーん、まああの人に拾われなかったら今でも安い金で後ろ暗い企業の傭兵やってたかもだしね…」

「り、理不尽な理由でバイト代が引かれていくんですよね………」

「あれはホント酷い。こっちが反抗できないのを分かっててやるのがもっとウザい」

「舐めたマネしたとこを襲撃しようにもそれやると他で金稼げなくなるからな……。本格的に組織だってねえとそのまま貧困層か通り魔かだからな。あたし的には略奪は好きじゃねえから今のオーナーに拾ってもらえて感謝してるよ」

「そうそう」

 

 尚、この4人のスカウト方法は全員説得(物理)だ。その力が分かっている分尊敬と同時に畏怖も備えている。ちなみに全員割と善戦した方だ。

 

「……ふむ、嬉しイコとを言うな」

 

「「「「っ!!?」」」」

 

 今まで他の存在のいなかった店内に聞き覚えのない声が届く。それも、入り口付近などではなく、店内の一隅、誰もいなかった筈のカウンターの端っこに大きな人影がいつの間にか増えている。

 

 シロコ、セリカ、アヤネ、ノノミの四人は咄嗟にそちらの方向へ顔を向ける。

 

「「「誰(ですか)!??」」」

「「「「オーナー!!」」」」

 

 それと同時に4人もその人物が自分たちの上司であることに気がついて驚きの声を上げた。

 

「“オーナーってことは…”」

「……うん。合流するって聞いてなかったけど…」

 

 真っ先に反応したのは先生。これまでの情報の断片から素早く関係を読み取り最後のピースを埋める。

 カウンター席に座っていたリアンが立ち上がると、その背丈が明らかになり威圧感は更に増す。

 

「うわぁ…、すっごく大きいね」

「ん、すごく高い」

「2mは超えてるわよね……?」

「た、確かにそうですが本人の目の前では余り言わないほうが……」

 

 対策委員会がその背の高さに圧倒されていると、驚いている彼女達の前に歩み寄り、一切表情を崩すことなく名刺と挨拶を繰り出した。

 

「初めマシて。シャーレの先生ならびにアビドス高等学校対策委員会の皆様。俺は遊星リアン。ブラックマーケットでしがない社長兼オーナーをやっている者だ。そこの第3分隊の上司でもアルな。……以後、お見知りおきを」

 

*1
拉致、銀行強盗、マルチ商法etc...




リアンには表情筋がなく、外側の表情を変えるための筋肉が全く別の器官だから本気で笑ってるときでも筋肉が動かないのでどう足掻いても愛想笑いしか出来ない。本人はボロが出ないのでありがたく思っている。

第3分隊の4人。
人員埋め用でなく、班として必ず4人纏まって合流する。全員ブラックマーケットの中でも結構な腕を持っていた。
だが、やはり長いブラックマーケット生活で支援もなかったので、リアンが制圧した時も衰弱していた。
Rabbit小隊も数ヶ月のホームレス生活で弱っていたが、彼女たちは年単位で一人で生きていたため、結構弱っていた模様。

スナイパーの少女
盾の少女の妹で、スナイパーとして正確無比な射撃を行える。ただ、一撃の重さはあまり重視しておらず、何度も狙撃するタイプ。同じ位置で何度か狙撃し、正確に相手を捉える。位置がバレる恐れはあるが、姉に受け止めさせるため本人は固定砲台に専念できる。落とされず、牽制した所でそのまま撃ってくるのでスナイパーとしての存在感は高い。
尚、近づいた所で普通にアサルトライフルで戦ってくる。というかどっちも同程度に出来るため、姉と合わさると圧倒的な暴力で押しつぶす以外の制圧方法がほぼ無くなる。
姉とは別の学園に進学したようだが、顔合わせした時にはあまりの変わりように驚いていた。

トラッパーの少女。
黒い髪をベリーショートで揃え、障害物や遮蔽、様々な点で精巧な構造物を設置する。罠から偽装建築まで可能。建築系統の学校に通っていた。銃の腕はそこそこだが体術はかなりのもの。

スナイパーの少女その2
やや乱雑な口調の少女。一撃がかなり重いタイプのスナイパー。目立つ方でスナイパーへの注意を引き付けておいて、ここぞというときに最大火力で落とす目立たないタイプのスナイパー。
足に毒を受けていたため暫く活動休止していたため、ブラックマーケット暮らしのため生活も治療も苦しくなり、受けた依頼でリアンにボコられてスカウトされた。今は完治している。

先生の台詞にゲーム本編のように「“”」はいる?

  • 先生と一目で分かるからあった方がいい
  • 別にゲームテキストでもないのでなくていい
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