透き通るような世界観にいちゃいけないタイプのクリーチャーに成ったけど今日も元気に擬態する   作:食卓の英雄

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みんなはドヒナか水おじ当たったかな?
私はチビメイド先輩と瞳の奥の修造と二人目のミカしか当たらなかった……。まあ万魔殿全員揃えたからまだセーフか…?


第26話 しかし何故道案内も護衛もつけず砂漠に…?

 

 アビドス自治区にて、リアンはベクターに告げたとおりに住民からの依頼を受けた。因みに依頼内容は水道が止まったから早急に直してほしいとの事だった。

 砂漠化の煽りを受けて大幅に過疎化したアビドス自治区は近代的な街並みにも砂がところどころに見え、気温も高い。そんな中で水道が止まるのは非常に困るのだが、いつも請け負ってくれている会社がどうにも都合がつかないらしく、何でも屋として名を広げている俺が呼ばれた形になるらしい。

 

 さて、仕事そのものはそう時間をかけずとも終わり、無事依頼料をせしめたリアン。けれど、配下を通してとある情報を手に入れる。

 

「…ほう、先生がアビドスに」

 

 最近は仕事に忙殺されながらも慣れてきた例の先生。どうやらアビドス高等学校の対策委員会からの依頼で直に訪れるらしい。

 

 先生の動向は気になっていたし、アビドスが抱える事情も少しばかり奇妙に思っていた。…………残るか。折角アビドスにいるのだから、何もなければバッタの繁殖効率を最大にして調整すればいいし、何か思惑があるのならば知っておきたい。

 

「……というわけで、俺は暫く戻らないカモ知れない」

『…あー、例の先生ですか。はい。あたし等はそれでもいいですけど…。U.B.C.S.はどうするんです?ウチのグループで先生と一番関わりあるのはあそこっすよね』

「…いや、待機でいい。期間も不明だからアまりこちらに寄越しても悪い」

『うっす。じゃあ失礼します』

 

 通話を終わらせ、人間の部下には話を通す。次はベクターだ。ベクターへは、元々のバッタなどと同様に念じて意思を伝えることが出来る。それは同じ種族間でも可能で、勿論量産型の子たちにだって可能だ。ベクターには悪いが、もう少し頑張ってもらうことにしよう。

 万が一、何か悪い意味で想定外の出来事が起これば即座に連絡するようにも言いつけた。……いざとなれば、遠隔からでも殺せるようにしているが、やはり可能な限りは使いたくないものだ。

 

 そうして、繁殖施設の管理をしながら監視網に意識を傾けると、ようやく件の先生が現れた。現れたのは、いいのだが………。

 

(砂漠もある様な地区を歩く格好じゃねぇ……)

 

 普通にいつもと同じシャーレの制服を身に纏い、地図と物資を持ちながら市街区を歩いていた。

 

 しかも持っているタブレットの地図は正直あまり役に立たないと言っていい。何故なら、市街地であっても砂漠からの風で飛ばされる砂などは多く、少し見ない間に砂に覆われてしまったり、逆に砂が飛ばされて見覚えのない道ができることもある。

 

(ま、まあ…大人だし、あくまでも先生なんだからそうそう悪いことにはならないだろう)

 

 そう思っていたのが、間違いだった。

 

 監視している間、先生は地図とにらめっこしながらあっちへふらふら、こっちへふらふら。時折休憩を取りながらも、進行に淀みがあり明らかに迷っていた。

 全く、慣れない土地とはいえ、そこへ行かなければならないと決めたなら対策しないと。

 

 そう思いながら情報を受け取っていたが、どうにも進展がない。終いには延々と歩き続けるだけの情報が届き、面倒くさくなったリアンは何か起こった時かアビドス高校についた時に向こうから連絡するよう命令して他のバッタでの見回りや後回しにしていた研究所の他の施設の施工に取り掛かる。

 

 そして、何の進展もないまま幾度かの夜が明けた。

 

「…………迷い過ぎじゃない?」

 

 そう呟いたが悪くないと思う。ぶっちゃけ、いくら徒歩とはいえそこまでかかる筈もないのだが。

 

 熱中していて時間を忘れていたのもあるが、あまりにも時間がかかり過ぎており、逆に不安になったので再び繋げると、そこには市街地にて全ての食料と飲料を失い遭難した先生の姿が……!

 

 アカンこれ!こんな所で(恐らく)重要人物が死ぬ!連邦生徒会は何をやってるんだ!?明らかに遭難してるだろこれ!!

 

 クソッ、付近の民家も殆ど人が去った廃墟と言って過言じゃないし、こうなったら俺がいくか?

 っていうか外出時にガイドも護衛もないのはどうなんだこれ。ここまで重要だと良く思わない勢力から拉致られたり殺されたりするんじゃない?連邦生徒会に動きがない以上、もしアビドスで孤立した所を狙われてたらそのまま気づけずやられてたってことでは?

 

 流石に危険だな…。とはいえ、俺はこの見た目で擬態の問題もある。いくら人目を避けて擬態を解くにも、それはそれで定期的にいなくなる謎の人物とか怪しさの塊だ。トイレとかで誤魔化せるか…?いや、サイズ的に無理か。

 

 仕方ない。前言撤回だ。U.B.C.S.に頼もう。あの子達なら面識はあるし特別手当出せば仮に友好的でない相手がいたとしても先生の身の安全くらいは守ってくれるだろう。

 

 そんな訳で、数日ぶりの電話でその懸念を伝えてU.B.C.S.の志願者を募った所、分隊が来てくれるそうだ。人数配分で班員を募り、元々の分隊8人+一部技能に秀でた班から4人を募った最大人数で向かっているらしい。

 

 ああ、それと弾薬の類は研究所内の土地にもあるのであまり気にしなくていいと伝えておいた。

 

 分隊はブラックマーケットで制圧した違法企業から鹵獲した型落ちの歩兵戦闘車と装甲兵員輸送車でこちらに来るとのことで、そんなにいるか?と思ったけど、正直歩兵が戦車を倒すこともありえるのがキヴォトス。っていうか俺も普通に戦闘機くらいなら破壊できるし、移動と弾薬保持とか諸々考えればそっちのほうがいいか。少し余裕を開けてるのは万が一に先生を中に匿うためかな。

 

 さて、座標は送っておいたし、後は先生が餓死や脱水で死なないように物資でも贈り込んであげようかな。と、思った所で、監視網に誰かの影が引っかかる。

 

 ……早速向かってきている彼女たちには悪いんだが、意外と何とかなりそうだ。

 

 ふらふらと歩いている先生に、ロードバイクに跨った銀髪ケモミミの生徒が近づいてくる。……あれは、確かアビドスの制服か。……なら目的地には辿り着けるか。

 

 そう思っていると、案の定半分くらいゾンビみたいな状態になってた先生を介護して飲料まで差し出していた。……でもあれ、多分間接キス…。先生ぇ…いや、まあそれだけ追い詰められてたってことなんだろうけど。

 

 そのまま、アビドス生徒に担がれて、先生は正しいルートへと進み始めた。

 

 ………うーん、いよいよ要らなかったかも知れないな!

 

 あー、いや、だけど最近カイザーも何かしてるみたいだし、一応来てもらって正解か?

 

 そ、備えあれば憂いなし。万が一に備えるのは生物としての基本的な生存戦略だから……。

 

 取り敢えず、この砂漠でも目印になるように信号弾とかGPSとか色々用意しとくか。いざとなればバッタで誘導も出来るし、むずいけど空に文字を書くことも出来るし…。

 

 それから少しして、アビドス高校に先生が到着した。注意が先生に向いてくれてるお陰で数匹紛れ込ませても発見されずに済んだのは僥倖。

 

 しかし、到着してすぐに襲撃が起こったのは予想外。っていうか学校自体に襲撃ってキヴォトスでも珍しいんじゃないかな?要は小規模とはいえ国家そのものに喧嘩売ってるようなもんだし。

 それに襲っているのはヘルメット団。発言からして割と定期的に受けているらしい。

 

 っていうかアビドスの生徒たち強くない?多分不良とかと比べても頭二つほど抜けてるのが最低ライン。うーむ、まあそのくらいないとこの人数で学校を守ることは出来ない、か。

 

 ………それにしても、ヘルメット団はアビドスとの直接的な因縁は多分無いかな。ってなると依頼されているのかな。ヘルメット団もそういった事で食い扶持を稼いでいる訳だし。

 

 となると、ヘルメット団をどうこうした所でその依頼主自体は痛手はほぼない。そしてこんな土地で学校を攻撃できるような力を持ち、またそれによってメリットが生じる存在。

 

 点と点が繋がってきたな。カイザーか。となると、俺の推測もあながち間違いじゃないか?……情報が少なすぎる。

 

 分隊の到着を待って挨拶に向かおうかと思ってたけど、カイザーを探る方に力を注ごうかな。下手すりゃ分隊も巻き込まれるかもだし。

 

 ヘルメット団を退けたアビドス高校の様子を気にかけながらも、周囲の敵性存在や危険因子、そして大本であると思われるカイザーを探る。これは先生側の安全やアビドス高校での危険性を見る目的もあるが、これからやってくる第3分隊の為にも情報共有はしておかなければ上司として示しがつかない。

 

 

 さて、ちょっと本気出そうかな。

 

 

 

 

 

 

 

『現在先生はアビドス生徒に保護されて無事目的地であるアビドス高校に辿り着いた。だがどうにも周囲を取り巻く環境がきな臭い。万が一を考えてそのままアビドス高校まで向かってくれ。何かあれば指示はするが、なければ共同して先生の護衛に努めて欲しい……一応、向こうの土地に踏み入る訳だから、ファーストインプレッションは大切にな』

 

「……だってさ」

「オーナーも無茶言うね……」

「まあ、あの人後ろ暗いことやってたら普通に大手にも喧嘩売るしね…。この装甲車も壊滅させたとこからの鹵獲品だしさ」

「た、確かアビドスってあの小鳥遊ホシノがいる場所ですよね…。こ、攻撃されたらどうしましょう……」

 

 彼女達、同じ迷彩服とタクティカルベストに袖を通した彼女達は、『RE:flector』の私設傭兵部隊U.B.C.S.の隊員たちだ。

 

 “ハンター小隊”の第3分隊にあたる彼女達は、リアンからの指令を受けてそれぞれの反応を見せた。

 

 一人はその内容を淡々と処理し、すべきこと、アビドス高校への説明を考え、もう一人は悪い目的ではないとはいえ、他校の敷地にブラックマーケットの傭兵である自分たちが武装して入ることのややこしさ。更に一人はその指針に苦笑し、一人はその学校にいるとある人物と接触する可能性を考えて弱気になっていた。

 

 その他、様々な考えは巡っていたが、大別すればこのように分けられるだろう。とにもかくにも、目的を達するためにはアビドス高校へ通達しなければならない。対話のためにまずは遠目に見える距離から敵意がないことを示す必要があるだろう。

 

 至急とのことだったので飛ばしていたため、急な進路転換を食らっても早く到着することが予想された。

 

 そのため、最初の接触時、誰が表に出るかという話になった際。誰もが一人のメンバーを指で指す。

 

「えっ、わ、わたしですか!?なんでぇっ!?」

「お前が一番堅いだろ」

「攻撃される前提なんですか!?」

「今いるメンツの中で一番おとなしそうな雰囲気だし」

「盾4枚持ちとかしてるのあんただけだし……」

「うぅ…。でも小鳥遊ホシノがいるんですよ…?」

「誰だよ小鳥遊ホシノ」

 

 わちゃわちゃと言い争い、けれど進展もないまま相手の観測範囲に入る。このまま何もしなければ、敵対勢力と勘違いされてもおかしくはない。迅速な対処が必要だ。

 

「もう入ってる!もう入ってる!」

「ばかっ、モタモタしてるから!」

「ああもうさっさと出るんだよ!ほら、何かあったら助けてやるから!!」

「ひ〜ん!!」

 

 半ば無理やり上部に押し上げられた彼女は、盾を置き、両手で『敵じゃない。撃たないで!』と書かれた紙を掲げて意思表示をした。

 

 ………尤も、それは上下が反転してしまっているようだが。

 

 

 

―――…

 

 

 

「っ、ちょっと待ってください!ホシノ先輩、先生、ここから15km圏内に正体不明のシグナルを検知しました」

「もう!またなのあいつら!!今襲撃してきたばっかりでしょ!?っていうか、ホシノ先輩の予想と全然違うじゃない!!」

「ん、しつこい」

「うへ〜、ちょっと予想外かな…」

 

 ここはアビドス高等学校。かつてはキヴォトスでも最大の学校として君臨していたが、悲しいかな盛者必衰。数十年前から頻発する砂嵐により学区の環境が激変。砂漠化対策に多額の資金を導入するも成果は得られず、規模は大縮小。今や在校生は5人しか居らず、住民も殆どが他の学区へと移住。最早かつての見る影は無いも等しい学園だ。

 

 そして、シャーレの先生に助けを求めた学校でもある。廃校の危機にある彼女達対策委員会は、今正に先生の助けを受けて襲撃してきたカタカタヘルメット団を退けた。

 

 先生という助力と補給の憂いもなくなった所で、こちらへ襲撃したばかりで疲弊したヘルメット団の前線基地を襲撃する……という話をしていた矢先にこれだ。

 

 気付いたアヤネは警戒を促し、セリカは懲りない襲撃に激怒。そして提案者であるホシノは自身の予想が覆され恥ずかしげにポリポリと頬を掻く。

 

「でも、何だか妙なタイミング」

「そうですね〜。今までとも全然パターンが違いますし……。アヤネちゃん。数はどのくらいですか?」

 

 そして、猛るセリカは置いておいて、シロコとノノミがこれまでのヘルメット団の動向から違和感を覚えて尋ねると、直ぐにドローンで映像を確認したアヤネは画面を対策委員会のみんなと先生へと見せた。

 

「……歩兵戦闘車と、装甲兵員輸送車が一台ずつ?」

「襲撃……にしては数が少ないし他の影もない」

「あっ!ハッチが開いたわよ!」

 

 その言葉に誰もが画面に注目し、そして出てきたのは、タレ目で気弱そうな灰色の髪の少女。その割には厳ついマスクをしている彼女は、大きくメッセージを掲げていた。

 

「『敵じゃない。撃たないで!』って書いてありますね。…逆さまですが」

「何それ、信用出来るの?」

「うーん…、ちょっと分かりませんね。こちらを騙している…なんてことも」

「……そうだったら、後は倒すだけ」

(……う〜ん、何かあの子見覚えがあるような、ないような…?)

 

 そして当然のことながら、思い当たる節もない彼女たちにとっては不審な勢力以上の何ものでもなかった。しかし、そこで声を上げたのはこの場で唯一アビドス勢力ではない先生だ。

 

「“私、あの子のこと知ってる”」

「え?ってことは、先生のお知り合い…?」

「“いつも他の子達とD.U.シラトリ区のゴミ拾いとか、トラブルの解決をしてる子達だよ。安心して、少なくとも悪いことにはならないよ”」

 

 そうして、先生の鶴の一声により迎え入れることにした対策委員会の面々。未だ警戒気味のセリカも、表立って不満を漏らすことはなかった。

 

 

 

――――ちなみに、やってくることになった理由が先生が数日遭難していたせいだと分かると、両者にそれはそれは素晴らしい土下座を披露したそうな。

 




『ハンター小隊』
第3分隊まであるU.B.C.S.の中でも、武力による制圧というよりも隊として如何に出来ることをするかという点に重きを置いているキヴォトスでは珍しい部隊。なので敵を倒すこともあるが、必要とあればサポートや撤退、護衛など多岐にわたって連隊行動が行える。未だ発展途上だが、味方にいれば頼もしい。敵にいれば単体ならともかく役割に回られるとウザいタイプの隊。

灰色の髪の少女。
ハンター小隊所属の少女。4枚の盾を常に持っており、そのため本人の武装はハンドガンのみ。
元ミレニアムサイエンススクール所属の18歳。昔はかなりヤンチャしていたが、ある時バチボコにボコされて恐怖のあまり引きこもりに。成績不振やこれまでの行動、学校側からの連絡も受けなくなったので退学処分になっている。
ちなみに4枚の盾の内、3枚はそれぞれ物理、電磁シールドの2層構造になっており、また構造はそれぞれ反発、緩衝、衝撃吸収などに分けられている。最後の1枚はシンプルに硬い盾。
計7枚の盾は全て重ねればかなりの防御力を誇る。ちなみにこれは自身が開発した物で、全体をAnti Impact Alllayer Shieldというらしい。

先生の台詞にゲーム本編のように「“”」はいる?

  • 先生と一目で分かるからあった方がいい
  • 別にゲームテキストでもないのでなくていい
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