透き通るような世界観にいちゃいけないタイプのクリーチャーに成ったけど今日も元気に擬態する 作:食卓の英雄
……あの、嬉しいのは確かなんですが短期間で増え過ぎでは?9の評価者とかちょっと前まで250人いってなかったよね?10も50人を突破すれば色がつくって言ってたのにもう真っ青だよ。何?ヒヨリ構文がハマったの?それとも前話のあとがきでちょっとそれっぽくしたのが気に入ったの?私ごときの作品が前から見てたブルアカ作品の評価を追い越していくのがすごく怖いんだけど…。原作始まってない上にキャラとほとんど関わってないしクリーチャー要素最近薄れてきたのに…。あなた達のことがわからなくなったよ私は……。期待が異様に重いぜ…。
奇しくも同じ行き先(とはいっても彼女はミレニアムの生徒なのだからそう珍しいことでもないが)となり少し気まずい思いをした二人だったが、すぐに気を取り直してリアンはミレニアムのことを、少女はリアンのことを聞いているうちに、目的地に到着したらしい。
「これが、ミレニアムサイエンススクールか…」
自治区内を移動している時も思ったが、近代都市といった風情で、中でも中枢に位置するミレニアムタワーは一際大きく聳え立っており、バラエティ豊かな施設がちらほらと見える。インフラもかなり整っていて、他で見たような国際色が薄い。いや、どちらかというと何でもありといった感じ。
科学技術の総本山とは良く言ったもので、かと思えば自治区は近未来的な都市にありがちな自然を排するものではなく、むしろ自然の良さを残したまま立ち並んでおり、互いを引き立て調和を保っているため景観も豊か。
発される電波や電磁波も他に比べて強いし流れを見ても結構な数の発電機や発電所がある。後は見て分かるとおりにモノレールや新幹線などが通っていて交通の便も非常にいい。
なんだここ、キヴォトスにしては好立地過ぎないか?
ブラックマーケットやゲヘナとは大違いだ。フウカもここでなら存分に腕を振るえただろうに…。
折角だからと道案内を引き受けてくれた彼女に先導されながら、この整然としている街並みを目に焼き付けておく。
やはり交通の便が発達してるだけあって、数分もせずに本校舎の敷地内に差し掛かる。
ここで俺は正門から―――なんて真似はしない。
いや、常識的に考えて学校に勝手に他所の人間が入るとか駄目だろ。それも学園が国家レベルの権威、勢力を持ってる中で。
それなりの立場、それなりの理由があるなら立ち入っても許されるのだろうが、生憎と今の自分の立場くらい理解している。
……ということなので、予めセミナーに理由を伝えてアポを取ってから来ている。担当してくれたのは……確か早瀬ユウカという名前の少女。時刻は途中のハイジャックのせいで少し遅れてしまったが、それは向こうも把握している。と思う。してるよね?
で、立ち入り許可を見事貰ったのだが、流石に自由に歩き回る、といったことは出来ない。それはまあ、色々と知られてはいけない機密もあるし、後は道案内が必要だったりするからだ。
というわけで、受付を済ませたので来賓玄関付近で待つことにする…。……流石に、このガタイの見知らぬ人物がいれば注目も集めるか。通りがかるミレニアム生からの好奇と困惑の視線を受けながら、時間潰しにと雑談をしていた。
が、待てども待てども案内の生徒は来ない。
「…遅いですね。何かセミナーの方であったんでしょうか…?」
「…何やら、上の方で妙に電波が乱れている。恐らくソレ関連だろう」
「電波……?」
おっと失言。電磁波とかγ線とか普通は見えないんだった。幸いここはミレニアム。何かの機器を持っていると解釈されたのでセーフ。
「……俺は、これ以上踏みいることが出来ない。…すまナいが、様子を見てもらってきてもイイか? 荷物を、あまり外に放置するのモな…」
「わ、分かりました。大丈夫そうなら誰か連れてきますね!」
そんなわけで、校舎の中に消えていく彼女。これでミレニアム側も訪れたことに気づくことが出来るだろう。
一人になってしまったが…さて、然程時間はかからないだろうが…。
やることもなくなり、玄関付近から周囲を見渡してみる。
その一角、然程離れていない位置にテーブルが置かれ、シャープペンシルがいくつも置かれている。
「…シャーペン開発研究会?」
貼られている用紙を見る限り、その研究会による研究成果として、実際に展示しているらしい。因みにその理念は『行き詰まったと思われているシャーペン業界に新たな改革を起こす』とのこと。…殊勝な心がけだ。
最新技術だ、とか未だ未発達だから、とかではなく既にほぼ完成して発展の余地が少ないものに、むしろ燃えているとは。利権とか金とかではなく、やりたいからやる。こういうの好き。
今置いているのは、次のミレニアムプライス*1に向けてさらなる意見や使い心地などを試してもらう為らしい。
よくあるコーナーみたく、紙上には様々な試し書きのあとや落書きに、数式…。ここらへんは普通の学生と変わりないのね。っていうか、これじゃ建設的な意見はほぼなくない?意見箱の中もあまり紙はないし。
少し俺も試してみるか…。従来の芯の保護機能と回転機能に手を加えてどんな力をかけても一定の太さにしかならないシャーペン、Bluetoothで繋がって画面に紙と同じものを書けるシャーペン、もういっそのこと凄く小型化したシャーペン。
うん、凄いとは思うけど…。シャーペンとしては使いづらくないかな。ま、まあ、新たな技術はいつでも突飛な発想から発展した過去もあるし…。うん、彼女たちの成功を願う。
そんなわけで、一応機能としては無難なBluetooth内蔵シャーペンを手に取る。…おお、重さは意外にもあまりない。どころか普通のシャーペンと比べても軽め。他の機能がBluetoothのための電子機器が入っているとは思えない。
書き心地は普通だけど、同じく展示されてるタブレットに全く同じ線が書き込まれる。完成度は高そうだ。
そうだな…。ここはミレニアムサイエンススクールだから……。ミレニアムとは関連深いものでも書いておくか。具体的にはグリゴリー・ペレルマンが解いたサーストンの幾何化予想の証明を。
これのお陰で間接的にミレニアム懸賞の一つ、ポアンカレ予想が解けるようになったんだよね。正直何でその発想に至ったのかがまるで分からんけど、そこが天才と一般人とかの違いなんだろうな…。
まあ、ミレニアムと謳ってるし知ってる人は知ってるだろうけど…。いやほら、ああいうエリアたまに凝ったもの書いてる人いるじゃん。そんな感じで…。
「あ、いた!何で待っとくって言ってたのに移動してるんですか!?」
「(ビクッ!)………何だ君か」
いきなり声をかけられてビックリしたが、見れば先程別れた彼女と、スーツの様な制服の少女。どうやら無事案内役の子を連れてこれたようである。
「…あなたが、早瀬ユウカ氏?」
「あ、いえ。ユウカさんはコユ…急遽発生した問題に対応しておりまして、私が代理として参りました。……ところで、あの、あなたがあの“
「…知っているのか?……マあ、この風体は他にそう見なイが」
どうやらこの少女は俺のことを知っているらしい。
いやぁ、少し前はゲヘナからも依頼が来たし、これはもう結構知名度あがってるんじゃないか?別にそういうのが目的で始めたわけじゃないけど、こうして認知されてると嬉しいな〜。
「あ、いえ、以前の…その、この子が巻き込まれた件での依頼を出したのが私ですので…。C&Cのみなさんとこの子には話を聞いていましたので…」
「…………*2」
「…あの、何か?」
「……いや、何でもない」
いや、うん。自惚れてたわー。完全に自惚れてたわー。そうだよね。言ってたわ。セミナーの子が依頼を出した…とか友達がセミナーとか。そりゃあんな場所で関わったやつのこと言わないわけないよね…。
「その節は、ありがとうございました」
「…いや、君がC&Cに連絡シなければ、きっと新たに被害者も生まれていた。むしろ、その場の警備をして救出の妨害ヲしたオレには過分な言葉だ」
「いえ、それでも、その後の処置や被害にあった生徒のその後に関してはあなたの力が大きいのは事実ですから。セミナーとして、この子の友人として、お礼を言わせてください」
「…まあ、受け取ってオく」
ま、まあ、この子達のためになったのなら、あれも無駄じゃなかったな。うん。
「それでは、案内を始めさせていただきますね。ええと、C&Cの方々に用があるんでしたよね?」
「ああ、具体的にはあの時の詫びの品とちょっとした相談ごとだナ」
そんなこんなで、二人が先導してミレニアム校舎を回る。普通にエレベーターとかもあるんだなやっぱ。
「……聞いてた通り。一目でわかりましたよもう」
「……でしょ?」
「……あれから、ずぅ〜っとその話ばっか聞かされましたからね」
「……ちょっと!…んんっ、もし聞こえたら…ゴニョゴニョ…」
あ〜、全部聞こえてるけど言いにくい…。っていうか下手に口を挟むと駄目。あんまし聞かれたくないっぽい話だし。どうしよ、マスク耳元覆うようにしてノイズキャンセル機能でもつけようかな…?それで多分少しは抑えられるし。
「こちらですね」
暫く案内に従って歩いていると、ある一部屋の前で立ち止まる。そこはCleaning&Clearing。つまりはC&Cの部室だ。
少女(セミナー)が先にノックをし、部室に立ち入る。
「こんにちは。今日はC&Cのみなさんにお客様がいらっしゃっていますよ」
すると、中からは戦闘時一番記憶に残っているチビメイド……じゃなくて美甘ネルの声と、会場の方にいた褐色メイド…角楯カリンの声がした。
「あぁん?あたし達に客だぁ?なんか聞いてたか?」
「いや、こっちには何もなかったと思うけど…」
ん?こういうのって予定空けとくために連絡とかしないの?もし全員留守とか用事あったらどうするのこれ。
まあ、中に4人全員いるからいいけどさ…。そして控えていた俺が扉を跨ぐ。……ちょっと小さいな。
「…失礼する」
「ッてめぇは…!」
瞬間、ソファーに姿勢を預けていたネルは機敏に立ち上がり短機関銃を構え、他のメンバーも咄嗟に警戒態勢を取る。
あれー?何でこんな警戒されてるの…?あの時の誤解は解けたんじゃ…?*3
「あ、何でも屋さんだ。ちょっと遅刻?」
いや、一名違うな。普通にアスナは声をかけて……あー、うん。もう分かった。
「…時間より?アスナ先輩は知ってたってことに…」
「え?言ってなかったっけ?みんながいない時に聞いたんだけど…」
「じゃあ誰も聞いてねぇよ!」
「あははっ、ホントだ!みんないないのに知ってたらおかしいもんね!」
「そういうのは早く伝えろ!」
ペシッと頭をはたかれ、そっちのポンのせいだと分かって気も抜けたのか、部室内に漂っていた物騒な空気が霧散していく。
「…で、何の用なんだよ。わざわざ
改めて、フラットな態度で向き直るネル。やや不機嫌そうに睨みつけているが、それは事実相手の意図が分からないからというのが半分。そして後の半分は大体いつもこんな感じ。
「…あの時は迷惑をカけたからな。…少し遅れたが、詫びの品を届けに来た」
手に持っていたジュラルミンケースといくつもの紙袋を見て、ネルは拍子の抜けたような顔をした。
詫びの品を上げると部室に招き入れてくれた。ここまで案内してくれた二人はついてきていないが、これはC&Cがいるから大丈夫、ということなんだろうか。
まあなにはともあれ、荷物を降ろした俺と彼女たちでテーブルを挟むように向かい合い、最初のインパクトを与えるべく例の箱を取り出した。
「…まず、これがC&C全体に向けテのものだな。…出来れば早く食べてくれ」
「何だこうおぉっ…!!」「蟹だー!」「しかも人数分…」「な、何ガニなんだ…?」
早速取り出した4杯のカニを目にして、反応は様々だった。やはりカニを丸々というのはどの世代も豪華に感じるのだろう。
「ズワイガニだ。雌などとちんけなことは言わない。全て松葉ガニだよ」
「ま、松葉ガニ…」
「…あア、冷凍庫に保存してほしいが、設備はあるか?」
「ええ、一応ありますが……」
「なら入れておいてくれ。オススメは焼き蟹、蟹しゃぶ、刺身だ。要望があればこちらで下処理、調理はするぞ」
「えー!アスナは全部食べたい!…リーダーのちょっとくれる?」
「やるわけねぇだろ。こいつはあたしんだ」
流石カニ。その魔力はあらがえないのだな…。というかカリンはさっきから無言で固まっているけどどしたん?ガチガチじゃん。
「こちらは、室笠アカネに。中身はティーセットと茶葉になっている」
「これはご丁寧に…。開けてもよろしいですか?」
「勿論」
「では失礼して…。この茶葉は中々……?!このティーセット、もしやグレシャムゴールドですか…?確か、作者不明の少数生産の貴重品…。今やマニアの間のみで流通しているというあの…」
「知っているのか。今回ノために拵えた特注品だ。是非使ってやってくれ」
「…はい?今拵えたと?」
「次にアスナだが―――」
―――…
最初にインパクトを与えられたからか、疑われもせずスムーズにブツを渡すことが出来た。アスナには無難に高級化粧品メーカー『サミュエラ』の香水と化粧品セット。カリンはクールな見た目からはギャップを感じる可愛いもの好きとの情報があったので、自作ぬいぐるみとすぐにでも使える台所器具一式。
もれなく全員にケーキ(低カロリー)を差し出しつつ、とうとう本番のネル。
「んで、あたしには何くれんだよ?」
ややぶっきらぼうに話をふるが、どうも他の部員の贈り物を見て己の分はどんなものかと期待を寄せているらしい。現に、目がしきりに動いてこちらをチラチラと見つめてくる。
「……美甘ネル。君には特に酷いことをしてしまったからな*4。その分他よりも多くなっているが、不公平だと言わないで欲しい。……まず、これだな」
そう言って出されたのは、5着のスカジャン。全てネルの体格に合わせたサイズだが、何よりも目を引かれるのがそのデザイン。一つは青い生地に胸の左右に銀色の龍の顔。背中には
単価としてはそれなりだろうが、あれだけ前フリをされてこれなのだ。他の部員が恐る恐るネルの顔色を伺う。
それを差し出されたネルは、ひたすらにそれを凝視し、ぷるぷると震えだし―――。
「―――
「ん?」「はい?」「あははっ」
キラキラと目を輝かせてそれらを手に取った。
「おぉ、今のとはちょっと違うがイカスぜ…! ほんとにこれ貰っていいのか?」
「……ああ。
何ということでしょう。ネルのセンスは
「……と、ところでよ。これ売ってるところって…」
「…いや、普通には買えないぞ。それはオーダーメイドだからな。文字通り世界に一つしかない」
「あたしだけの…!」
もう完全に引き込まれてしまっている。最早返せと言っても色々と理屈をこねて自身のものだと主張することだろう。リアンとしては何となくそうだろうなという予想を立てていたが、思いの外いい食いつきに若干たじろいでいる。
(……まあ、本人が気に入ってるし、いっか)
そう心中で独り言ち、もう一つの品を取り出すのであった。
松葉ガニ:あの海で育ったたくましいズワイガニ。その中でも特にぎっしりぷるんと身の詰まったもの。選別作業はカニ道楽ちゃんとリアンによる目利き。
グレシャムゴールド:リアンが流しているティーセットのブランド名。思い出したように作っているが評判はよく、高値で取引されている。ブランドの証としてどこかに黄金の飛蝗が刻印されている。因みにアカネに渡したのはこのためだけに造ったもの。仮に世に出せばプレミア価格がすごいことになる。
元ネタは現在の王立取引所の前身にして、世界初の商品取引所を設立したイギリスの商人トマス・グレシャム。グレシャム家の家紋は黄金のバッタ。
カリンに渡したぬいぐるみ:前話あとがき
サミュエラ:高級化粧品メーカー。ゲームでの贈り物として馴染み深い。アスナへの贈り物が思いつかなかったリアンが当時嗅いだ匂いからブランドを探し当てた。
スカジャン:ネルが好きそうな龍の紋様があるスカジャン。今回名前が出た銀鷹龍と五龍は『万丈龍我 スカジャン』で検索すると出てくる。青と銀が銀鷹龍で黒と金が五龍。
(……もう一度ヒヨリ構文を使えば更に人が増えるのでは?)
そう邪悪な考えをした作者はソウルを流れる清渓川(チョンゲチョン)に沈められた
偉大なるキム・ヨンハの下に、卑怯者は不要なのだ
それと、頑張って書いた甲斐もあってリアンのファンアートをいただくことが出来た錠前サオリだ。よろしく頼む。どちらも格好いいな。
知印 様
【挿絵表示】
青菜の権利 様
【挿絵表示】
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