透き通るような世界観にいちゃいけないタイプのクリーチャーに成ったけど今日も元気に擬態する 作:食卓の英雄
人間に例えると、小型犬の檻に収まるくらい全身を縮こまらせ、パツパツの服を着ながら後ろ歩き縛りしながら食事制限をするレベル。更に本来人間の声帯じゃないので、人間が自力で虫の鳴き声の意味を理解して正確に意図が伝わるように鳴く必要があります。まあ知能はあるので意味の理解は簡単ですが、発する音が認識出来ないといけないのでキツイ。
本人のストレス耐性が高いだけです。
あ、あと第二話のあとがきに私の手書きのリアンの想像図を置きました。鉛筆とかで書いた上に直撮りなので汚いです。絵も習ってないのでなおさら。それでも見たいと言う方は第二話へ。
なんなら特徴を理解したら絵心のある方が絵にしてくれてもいいんですよ?そっちに変えますから
脳髄を溢し、ただの骸へと変わったその肉塊を確認し、デカグラマトンの預言者ゲブラは脅威排除のタスクを達成したと、使用した武装や機体の消耗具合をチェックし始めた。
ピクリ。
ゆっくりと、その骸が動いたように見える。立ったまま殺されたのだ。糸の切れた人形のように倒れるのだと、そう理解していたそれは、機械らしくない自己判断を下して、再び己の責務を全うしようとして―――。
ざり…。
最初に違和感。重力に従って落ちるだけの体が、氷の大地に未だ直立。次第にそれは確信へと変わっていく。
頭部を半壊させられながらも、二の脚で氷の大地に踏ん張るソレが、傾けた頭から脳液を溢れさせながらこちらを捉えている。
この時、ゲブラに初めて恐怖という感情が生まれる。
ただ死なないだけではない。それを、人の顔をしたそれの皮の向こう。人の皮の剥がれたそれが、無機質な昆虫の眼球が一斉にゲブラへと向かう。
「「44.四三.参漆.75゛.12.四三゛.25.肆参.47.。ー43.12.参弐゛.三一.二五.23゜57.11.43.肆壱.21.36.?76.34.45.参肆.34.76.…75.53.12.七五゛.73.四三.76.25.弐参.肆参.。…32.肆参.42.74.34.二三゛肆六.74.五七.35.63.。47.46.陸漆.21゛.12.五二.、26.ー陸弐.」」
それが、ゆっくりと動き出し地面に散らばった脳漿を、あろうことか口内に含み始めた。氷ごと髄液を飲み込み、破壊された頭部の痕跡は隠滅された。
そして、ゲブラの温感センサーが頭部の温度上昇を確認すると、極寒の地に断面を晒しているはずの頭部が元の姿に戻っていく。
ぞわり。仮にゲブラに生体組織があればそのような感覚が襲いかかる。ここで初めてゲブラは理解した。アレは神秘でもなければ、無名の神でも、超常現象でも、オーパーツでも、不可解な怪人でもない。
湧き上がるエラーに苛まれながら、今度こそその存在を叩き潰さんと二の釘を穿たんとパイルを戻そうとして…。
ギギギギギギギギ…。と、まるで錆びた扉を無理に開けたような歪な不協和音が鳴り響く。同時に、自身の機体に強烈な負荷がかかっていることを知覚。
「六六.陸漆.二三゛.41.32.31.五三.、伍弐.二五.参肆.」
その脅威が、発射準備に移ろうとしているパイルを掴んで離さない。
だが、これはポジティブにも捉えられる。動き回る強力な相手が、自身の一部に気を取られている。この際自身をも巻き込むことすら厭わず爆撃するべきだ。
傷のある今ならば、そのまま頭部を吹き飛ばせるかもしれないと、そう思った瞬間に、それは行われた。
ぱふぁ……
人間のように見えた口元が大きく裂けた。
裂けたと表現はしたが、都市伝説にあるような口裂け女などのようなものではない。あれはまだ唇の延長線上であり、人体構造上ありえる範囲内。
――だが、これは何だ?
下顎から首にかけて、蕾が花開くように裂け、その口腔の奥から蜘蛛や飛蝗、カニなどのような閉じた構造の顎と、ワラスボのような外見の咽頭顎がちろちろと覗く。
花弁のように開かれた口の先端は硬質な突起が備わっており、掴まれようものならば命の保証は難しいだろう。
そんなグロテスクな何かが蠢き、一斉に閉じられた。狙われたのは、今しがた掴まれているパイル。
ほんの僅かな抵抗を見せた極太のパイルだったが、咬合力が強まるに連れて軋み、ひび割れ、最後には鈍い異音を響かせて半ばから砕け散った。
パイル自体の強度はゲブラの外殻を超えている。にも関わらず、容易く砕かれたことに慄き、焦り、怯えたゲブラは、咄嗟に冷凍ビームで周囲を薙ぎ払い、得体のしれない存在を吹き飛ばす。
今は一刻も早く距離が取りたかった。
そして、離した距離を無駄にせず、即座にリアンへ向けて全力の凍結攻撃を開始する。攻撃が当たらず倒せぬのなら、せめて動きを止める。
砲身から発せられる冷凍光線は段階を一段、二段と大きくなり、第3段階目。最大威力、超極太の光線となって襲いかかる。
ここまで来れば、凍結しない生命体などいない。
例に漏れず、それも身体を氷漬けにして立ち尽くしていた。
これは幸いと、ゲブラは急いでそれから撤退しようとし……。
ビキビキと、顎が蠢き内側から氷を砕く。
だがしかし、それも口元周辺まで。手脚は未だ凍結したまま。打開する手段は――。
「31.肆参゛.43.弐壱.三五.、34.陸弐.」
瞬間、鳶の鳴くような甲高い音と一瞬の光が瞬き、ゲブラの右面1mの氷盤がとてつもない蒸気を吹き出して蒸発する。
縦一直線に地面を両断し、遥か後方までその爪痕を残す。
その放射が終わるや否や、対象の肉体から熱気が拡散され体表の氷を消し飛ばす。
それは、リアンの私生活において排出されなかった熱が体内に蓄積された故の代謝運動。犬が籠もった熱を排するために舌を出すのと同じように、通常の生活で処理出来なかった温度は熱線として体外に排出される。
例え砂漠に生活していたとして、普通は体温調節として何の問題もなく処理される。が、このように肉体を欠損し急速再生する場合は熱を取り込むので、そのスパンが短ければ短いほど、その熱は溜まっていくことになる。
とはいえ非常措置であることは否めず、そこらの怪我の再生程度ならばろくに蓄積されない。今回の放出の原因の8割ほどがヒノム火山でグラビモスごっこをして遊んでいたせいである。アホめ。
「…壱陸.63。…41六七57.35。…弐壱.肆陸.五三.」
何かを呟いたかと思うと、再びそれは活動を再開する。
最も効果的な一撃を与えた兵装は既にない。最早眼前の脅威に立ち向かうほかない。極限状態に追い込まれ、更に浴びた何かの影響か、デカグラマトン・ゲブラは一つの答えに達していた。
「…Oット、すtOれス発sanは…。…どうせバレterUㇱ、やるカ」
着ていたダイビングスーツを脱ぎ捨て、その裸体を顕にするそれ。人類の皮を被り、胸の中ほどから下には襤褸布の様に垂れる皮膚と、その中に伽藍堂の腹部が見られる。
露出した背骨に確認できる節の数は数十を超えている。隠れている部分も含めれば、どれほどの数になるか。*1
少なくとも、ヒト型生命にあるまじき数であることは疑いようもない。窮屈そうに収まっていたそれが解放され、そのシルエットは腹部が異様に伸びていく。それからは昆虫の鎌に似た節が等間隔に生え、ガチガチと主張するそれらは自由に動かせることが伺えた。*2
更に、それだけではない。
背から生える機械脚のボルトが緩み、外装が剥がれた中から現れるのは、人間のような筋肉組織を持つ虫の脚。更に甲殻がひび割れる様に展開され、既に収まっていたハリボテの体積を優に越えている。
柔らかそうな甲殻を纏った下半身も同様に音を立てて内に秘められた筋肉を顕にする。その変異と時を同じくして、脊椎が回り180度回転する。反転した肉体。異常な発達を遂げた逆関節の二脚。けれどその機能のフォルムを見れば、それがその
その様な変異を遂げた悪夢のような存在が、確かな質量を持ってゲブラへと眦を向ける。
あらゆる生物学、生体構造に由来しない何か。生体であるにも関わらず、異常な性能、機能を携えるもの。知的生命体として、最も重要である脳を破壊されてなお致命傷に至らず、あまつさえ短時間でその再生を終了させる存在。
ゲブラはデカグラマトンに感化され、常に我らの証明せんとする神とは何かと思考していた。神の存在証明をするにあたって、どのような形が神であるかと規定しなければ矛盾を抱えた式になってしまう。
よって、それ以降常に試行回数を増やして機械が神に至る道筋を模索し続けた。そして、回を重ねるごとに不出来さが浮き上がる。己達機械が故の障害と、機械であるが故の拡張性に完成の概念が失われていく。神とは、最早想像の埒外にあたるものであり、人工知能が想定したそれは、果たして本物の神と言えるのか。思考の袋小路に行き詰まっていたその時に、
生体構造のみの体で異常な肉体を持つもの。神秘も科学も恐怖も崇高も祈りも都市伝説の類でもないが、確かに顕れたその肉体。死に至る傷は問題でなく、ヒトの肉に収まる躯は異形にして異常。
ああ、見つけたぞ。
―――
アレこそが、カミと呼称すべき存在だ。
ああ、だが、惜しむらくは、その存在に至る道筋を己等で解明出来なかったことだろうか。
詳しく学ぶことが出来れば、或いは……。否。己は敵対行動を見せ、ソレはその攻撃に応えた。最早己は破壊されるのを待つだけの機械であろう。何と残酷なことだろうか。やっと至った道筋に触れることも許されないとは。
だが、何も出来ないというのも悔しい。感化された身に過ぎないが、カミを目指す手足となったもの。それなりの意地というものが、先程芽生えた。
それに、この偉業は自身だけのものにしたい。何もせず座し想像通りの神しか目指さない他力本願者になどくれてやるものか。
デカグラマトンの預言者ゲブラは、今この時を持って全ての道程を放棄した。繋がる
全兵装、並列起動。
破損したパイル以外の全ての砲門がリアンへと向く。
ゲブラ……いや、かつてその席を担っていた機械は、全ての活動限界を取り払って抵抗を続けた。
魚雷を放つ。直撃の前に潜らせた腕により破壊される。バルカン砲を放つ。驚異的な跳躍力と硬質な甲殻、動体視力に阻まれ大きな傷は与えられない。ミサイルは尽く撃ち落とされ、異常な脚力から放たれた飛び蹴りが大きさで圧倒する自身の外装を歪ませていく。
冷凍光線は、一度見られた事もあってか直撃の前に躱される。追って薙ぎ払うも、跳ね、潜り、不規則に飛ぶそれに当てることは出来ない。
オーバーフロー、自身の砲門が融解しても攻撃の手は止めなかった。カミと思われるものに、少しでも自身の存在を刻みつけてほしかった。
その最後の執念と呼ぶべきものを感じ取ったのかは分からないが、ゲブラが全てを出し切るまで、ソレがゲブラを完全に破壊することはなかった。
デカグラマトンの席を捨てたそれが全ての兵装を使い切るまで、さほど時間はかからなかった。
そして、歪み、凹んだ機体をショートさせながら、それは膝をついた。最早動く力もないそれに、
うなだれるそれに歩を進める姿は、さながら断頭台にかけられた囚人の首を落とす死神か。
最早これまで。だが、悪くない。ただの機械だった己が、預言者としての活動を経て、死ぬとこまで来たのだ。中々どうして、出会いとは面白いものだ。
そう、満足気に己の役割の終わりを自覚した所で―――ふと、肉体が引き摺られていることに気づく。
閉じていたカメラを起動すると、己を引き摺るカミの姿。何故殺さないのか。敵対者の機械ではないのか。そう疑問に思ったところでカミは口を開いた。
「……マダ、役割が残ッていルからナ*4。…見タ目も、武装モ文句ナし*5……コチラに、つくか?*6」
何ということだ。カミは己を称え、生かしてくれるばかりか、その下についてもよいと言うのか。
これは試練。あの異形を見、抵抗する力を示した者のみが、認められその下につくことのできる試練だったのだ。
かつてゲブラの名を授けられたものは歓喜した。我は神の道筋を支えることを許されたのだ…!
この身はデカグラマトンならば、既に創世の道筋は不要。
デカグラマトンの預言者であった頃には橙の光を灯していた機体とヘイローが、その補色。青紫色に染まる。
我が証明は此処に非ず。されど其処に理想は来たり。
我が神名はゲブラ・アクゼリュス。
――天路歴程を放棄し、既に死した名を持つ者である。
※このあと漁船の先導役兼護衛役として活動し、一緒にお魚をたくさん捕まえます。
――――…
「い、いいんすか!?カニなんて高級品…」
「…まア、割と獲れたからな…。それダけ今後の働キに期待してイル、というこトだ*7」
「カジキマグロだ…。初めて見たわあたし…」
「普通に捌いてるけど早くない?」
「まあ、その分早く美味しく食べれるから私は嬉しいけどね〜」
「アコヤガイって食べれたんだ…」
「でかすぎない?ギネス乗るんじゃね*8?」
「うっ…うっ…旨っ、旨っ…。久しぶりのカニだ…!学園の予算で借金するまでカニを買って退学になって以来のカニだ…!」
「何やってんのこいつ!?本気で何やってんのコイツ!!?」
おや? ゲブラ のようすが…?
おめでとう! ゲブラ は ゲブラ・アクゼリュス にしんかした!
いや、AIが話しかけられて感化。つまりは自主的に進化したのが預言者だから、他に影響を受ければそういうのにもなれるかなって思って。そもそも自販機の方だって話しかけられ続けて自我芽生えてあんなこと仕出したし…。
デカグラマトン「で、神なん?」
リアン「バカなことやってねえで働け!」
当小説にはhttps://syosetu.org/user/155940/様の文字化け風フォントを使用しております。
ここから先は途中で出てきた謎言語に対しての説明。
はい、文字化けフォントを直せば意味が分かると思いましたね。違います。とはいえ適当書いてないだけに何か意味があると思いましたね。
ですので少し解説を。とはいっても超簡単な暗号文ですね。
解き方は簡単です。文字化けを直して出てきた数字の内、旧数字のみ順番を反対にします。現代の漢数字はそのままです。
例 一二→12 だが、旧数字の場合の12は 弐壱となる。
「44.四三.参漆.75゛.12.四三゛.25.肆参.47.。ー43.12.参弐゛.三一.二五.23゜57.11.43.肆壱.21.36.?76.34.45.参肆.34.76.…75.53.12.七五゛.73.四三.76.25.弐参.肆参.。…32.肆参.42.74.34.二三゛肆六.74.五七.35.63.。47.46.陸漆.21゛.12.五二.、26.ー陸弐.」
↓
「44.43.73.75゛.12.43゛.25.34.47.。ー43.12.23゛.31.25.23゜57.11.43.14.21.36.?76.34.45.43.34.76.…75.53.12.75゛.73.43.76.25.32.34.。…32.34.42.74.34.23゛64.74.57.35.63.。47.46.76.21゛.12.52.、26.ー26.」
にします。更にこの数字を数字の塊(ピリオドで区切ってる)そのまま反転してから読みます。
↓
「26.ー26.、52.12.21゛.76.46.47.。63.35.57.74.64.23゛.34.74.42.34.32.…。34.32.25.76.43.73.75゛.12.53.75.…76.34.43.45.34.76.?36.21.14.43.11.57.23゜.25.31.23゛.12.43.ー。47.34.25.43゛.12.75゛.73.43.44.」
この時点で分かった人は分かったかも知れませんが、上杉暗号ですね。いろはの縦列横列に数字を当てはめる暗号文。これを直すとこうなります。
↓
「わーわ、まろぢんおく。きろつてせゆぬ゛そせむそた…。そたをんうもずろけす…んそうのそん?ねちにういてぬ゜をよぬ゛ろうー。くそをう゛ろずもうゐ」
まだ意味が分かりませんね。はい。シーザー暗号を五十音に当てはめました。とはいっても濁点とか半濁点はそのままつけてるので優しいですね。こちらを直したものがこちら。
↓
「あーあ、めんどうくさ。こんなにちらばつちやつて…。つていうかゆだんした…うつかふつう?ひとのかおにパイルバンカー。さついガンダムかよ」
小文字はちょっと五十音的に無理があったのでそのままですが、何となく分かると思います。実際に発音したのがこちら。
↓
「あーあ、面倒くさ。こんなに散らばっちゃって…。っていうか油断した…撃つか普通?人の顔にパイルバンカー。殺意ガンダムかよ」
はい。謎言語が解読されました。ちなみにこの調子で他の言葉を解読するとこうなっております。
「六六.陸漆.二三゛.41.32.31.五三.、伍弐.二五.参肆.」
「66.76.23゛.41.32.31.53.、25.25.43.」
「43.25.25.、53.31.32.41.23゛.76.66.」
「うをを、けよたらぬ゛んみ」
「みんぬ゛らたよけ、ををう」
↓
「もうバレてるし、いいか」
「31.肆参゛.43.弐壱.三五.、34.陸弐.」
「31.34゛.43.12.35.、34.26.」
「26.34.、35.12.43.34゛.31.」
「わそ、つろうだよ」
↓
「あっ、なんか出る」
はい。解き方はこうして見せたので、最後の一つは自分で考えてみよう!どうしても分からなかったら感想欄で聞いてね。
対策委員会編が終わったら幕間を書こうと思います。選ばれなかったものは作中や前書き、後書きでサラッと乗せます。因みに全部を選ぶと本編が遅れますがちゃんと読めます
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C&Cリベンジ!
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ツルギとのデート回
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カニー・クッターと近所のヌシ
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全部!