透き通るような世界観にいちゃいけないタイプのクリーチャーに成ったけど今日も元気に擬態する 作:食卓の英雄
不安の声や新たな感想を拝見し、書きたいなー、書き切りたいなー、とは思えど短い時間での資料集めや推敲は難航し、ノッてる時間も短く書き上げることに遅れてしまいました…。
よって、不安を煽ったり、生存報告のためにも、匿名を解除しようと思います。もともと書いてた作品の圧から逃れるために息抜きで書いていた作品がそれに匹敵するくらい人気が出るとは思わず、このような形となってしまいました。改めて、久しぶりの今話を楽しんでいただければ幸いです。
リアンちゃんの変形
○←頭 □←胴体 ヘ←脚
正面○ 正面○
○□―ヘ→□→ここで胴体の骨を □ 完成!
〉 180度回転 〈
不良娘達にバイトの募集をかけてから、地下増築計画は順調に進んでいた。掘る場所が全て決まっていたとはいえ流石キヴォトス人。今までの常識を後にするスピードだ。
どこかの工務部ではたった一日足らずで建物を完成させるほどだというのだから、舌を巻くばかり。
いや、本当に効率が良くなった。空いてる時間は俺も参加するけど、見てる限り真面目に取り組んでるようだし、作業ペース的にどこかで極端に遅れている…ということもなさそう。そんなわけで、早速地下一階が完成。
それ以降はより地下層への階段や通路を優先して行い、各自で作業を分担している。
因みに、その過程でオーパーツなんかも出土したらしいが、こっちのツテで売り払って給料に+することにした。彼女たちの功績を奪いはしない。っていうかまだまだオーパーツ有り余ってるから貰ってもそんなに変わらないというか…。
ま、まあ、拡張費やら資材やらとでまだ金のかかる予定だから、高値でふっかけれる今のうちにある程度崩しておくのもいいか。
フロア的には特別な施設を用意するわけでもないので、大まかな掘削も簡単だった。業者に壁材や床材を発注しておいたので、届いたら貼ってくれるように言っている。
今から何をするのか、だと?それは当然、新たな依頼が舞い込んで来たのでそっちの仕事だ。もし分からないことや緊急の要件があれば連絡するよう雇った彼女たちにいいつけて、その場を後にした。
―――…
さて、やって来たのはゲヘナ自治区。
どうやら噂が広まったらしく、とうとう正式な自治区。それもトリニティと並んで二大校と呼ばれるマンモス校からだ。以前(敵対者として)関わったミレニアムは新興ながらにトップに踊り出ようとしているが、やはりそれでも規模自体はこの二校の方が大きい。
お嬢様系というか、色々と政治の匂いのするトリニティはともかくとして、色々と自由過ぎるゲヘナなら、ブラックマーケットの何でも屋に依頼をしてもおかしくはない…ということかな。
まあ、それはどうでもいい。それに今回の依頼は戦闘行為に関わるものではない。たまに行っているお悩み相談やアドバイザー的な役割が期待されている。…と思う。
それにしても、知ってはいたけど治安が悪いこと悪いこと。ブラックマーケットも大概だけど、こっちはこう、いかにもな不良の癇癪やら、自制がないって感じだ。
こう、スラム街とヤンキーの集会的な…。
そりゃまあ、見慣れない人がいたら目立つわけで、これまでも結構チンピラに絡まれてたりする。全部速やかに鎮圧と説得で終わらせてるけど、このままでは他校で暴れてるとかで風紀委員会に俺が狙われないかと不安になる。
ミレニアム…つまりは理系な生徒の集いで、更にメイド部というネルですらあれだけ強かったのだ。日頃からこの治安を維持している風紀委員会ともなれば、どれほどの強さなのか、想像も出来ない。
一応、全力を出せば逃げられる自信はあるが、それでも最強と謳われるヒナ委員長とやらに狙われれば…正直、分からない。聞いた噂と最強伝説的なのに拠れば俺がステルスしても見切って当ててきそうな雰囲気すらある。
そうならないためにも、足早に……。ん?あっ、そうか。普通にステルスで行けばよかったじゃん!
流石に大通りはいかないけど、これで絡まれなくなった。空も飛んでいけば、尚更地上からは発見するのは難しいでしょ。
よーし、それじゃあ、このままゲヘナ学園までひとっ飛びだ。タレットとか反応しないよね。しない…はず。
……分からないからせめて校舎付近は歩いて行くとしよう。別にびびっている訳では無いが、念のためね。念のため。
●
「……ねえ、その、ジュリ。本当に大丈夫なの?」
「はい!なんたって絶対に依頼を達成されるというお方でしたから!」
「いや、そうじゃなくて…」
ゲヘナ学園の一隅にて、このような会話が交わされていた。
ここは第8食堂。キヴォトスでも屈指のマンモス校であるゲヘナ学園の生徒数は4000人を超える。ならば当然それらすべてを賄える程のスペースは必須。
そして連日、食堂には学食を目当てに生徒が押し寄せて
―――――などいない。
この少女達はそんなゲヘナ学園の給食部員だ。
2年生で部長の愛清フウカ。そして1年の牛牧ジュリ。
以上。
冗談のようにも思えるが、悲しいことにこれが現実。ゲヘナ生4000名全ての給食をたった二人で作っているのだ。それも、片方はある事情により下拵えしか任せられておらず、実質的な調理の負担は部長であるフウカに集中してしまっているのだ。
いくら頑丈なキヴォトス人といえど、明らかな過労働である。
莫大な量の給食を作っている上に、部として成り立っている以上迫られるのは部費の問題だ。4000人分の食料など揃えるのにも一苦労だ。故に節約メニューなども使用しているのだが、難儀なことに自由と混沌を良しとするゲヘナ生にはもっぱら不評だったのだ。
というより、そもそもとして予算と時間も限られる中で、単身となるとどうしても質より量をとらざるを得ず、そのクオリティは著しく低下してしまっている。
故に良くも悪くも自由なゲヘナ生達からは不味いと酷評され、今や給食を真っ当に利用するものは少数派で、大抵は外食や買い食いに出かけているのが現状だ。
因みに、その傾向を見た労働者達によって生徒狙いの飲食店が乱立し、今もしのぎを削っている。ある意味金の巡りを良くしているのかもしれない。
これだけでもかなり悲惨だがこれに加えて粗野な生徒による理不尽なクレーム、美食研究会による唯一の戦力であるフウカの拉致などの要因があり、給食部はいつ崩壊してもおかしくはなかった。
これまで存続してきたのもフウカの責任感と善良さ、料理に対する真摯さに依るものが大きいだろう。
そして、そんな部長に対して何かしてやれることはないかと、ジュリが考え抜いた末に出てきたのが“巷で噂の何でも屋に相談してみよう”である。
ちなみに最初は何か一品拵えようかと思っていたらしいが、レシピを求めている内にその噂にたどり着いたためこうなった。………そもそも、何故レシピを調べようとしてブラックマーケットに拠点を置いている何でも屋にたどり着くのか。甚だ疑問だが、一つ言えるのはロクな結果にならなかったであろう、ということである。ナイスファインプレー。
ともあれ、ジュリの依頼は幸か不幸か何でも屋“
――――…
「ジュリ、今なんて…?」
「ですから、今度給食部へ相談役として有名な何でも屋の“
「インセクニア……?その、何でも屋がどうして
「フウカ先輩、わたしだって給食部の一員なんです。それで、今の給食部を良くするために、どうすればいいのか考えて、気づいたんです。今まで私たちは私たち給食部としての見方しかしていなかったんだと思います。それで、客観的に、それでいてこちらのためになる様なアドバイスが出来る人がいれば、何か新しい道も見つかるのでは…と!」
「そ、そう、確かにその通り…かも…」
(普通に真っ当な理由だった。ごめんなさいジュリ…。でも、それはそれとして何でブラックマーケットの何でも屋に?)
――――…
大体の流れはこんな感じである。
そしてフウカは調べた。ジュリが何かの詐欺や押し売りにあっていないか、また相手に後ろ暗いところや非合法な点はないか、など。
一学生が入手できる情報はそこまで詳細なものではないが、少なくとも評判などは入ってくる。
結果としては、何でも屋という看板自体に偽りはなく、むしろブラックマーケットにしては珍しい独立した事業所だった。
加えて、ブラックマーケットでも名の知れた人物のようで、ジュリが引っかかったのも単にそれだけの知名度があったからだと理解することが出来た。
これにて一安心、とまではいかずとも他よりはマシだと判断することは出来たが、その後の噂が問題だった。
『依頼達成率100%』『3ヶ月弱での依頼解決数402件』『時間場所を問わず常に目撃されている』『傷を負った姿を見たことがない』『ブラックマーケットの幹部ですら無下には出来ず、あちらの出す条件は受け入れなければいけない』『幹部同士の抗争に巻き込まれ両組織を単独で鎮圧、壊滅させた』『複数の不良に声をかけ引き入れようとしていた』
(絶対やばいやつじゃないの…)
残当。幸いにも仕事に関しての話は不満もなく評価もいいのだが、その分この噂の異常さが際立つ。
『戦車の装甲を毟り取っていた』みたいな荒唐無稽な噂は長身と強さから来る噂の一人歩きとしても、他は複数からの証言があって事実確認が取れてしまっている。
不審な人物ではないようだけど、物騒であることは確か。それが一給食部のアドバイザーだなんて。
何か失礼はないか、このどうしようもないほどの問題を解決できるのか。そして、出来なかった場合経歴を傷つけられたと逆上されたらどうしよう、など次々と不安がせり上がってくる。
(最悪の場合は、給食部とジュリだけでも…!)
そんな覚悟をしているとは知らずに、ジュリは己の錬成したパンちゃんと共に不眠蟲の到着を待っていた。
そしてうろうろと、手持ち無沙汰に待つこと暫く。フウカたちのいる学生食堂の裏口の戸が軽くノックされる。時刻は予定の5分前。十中八九その人で間違いない。
(来たっ…!)
びくりと肩をはね、そそくさと身だしなみを整えて扉へと向かう。
「は、はい。ようこそいらっしゃいました……って、あれ。誰もいない……?」
出来る限りの敬語を用いて扉を開ければ、しかして当の何でも屋はおろか人影一つすらない。
(食堂にピンポンダッシュ…? それとも私の勘違い?)
何かがぶつかった音をノックと勘違いしてしまったのだと、そう判断して扉を閉めようとするが、直後、真上から声が聞こえた。
「……ああ、しまッた」
その出処は近い。声を張り上げているわけでもないただの呟きといった程度の声を、フウカの耳ははっきりと捉えていた。
そんな近くに人などいないはず、と驚いて顔を上げると、空間に揺らぎが生じ、目の前に軍服を着た女性が現れる。
「な、なに!?」
硬直するフウカを見て納得したのか、その人物は謝罪とともに名乗りを上げた。
「……すマなかったな。トラブルを避けるため、姿ヲ消していたのを、忘れてしまっていた。……依頼人の、ゲヘナ学園給食部の部員…でよかッタかな」
「は、はい…。あっ、直接依頼したのは後輩ですけど…」
見上げるほどの長身と光を映さない黒い瞳に気圧されながらも、フウカは恐る恐る答える。
「………改めテ、オレが何でも屋の遊星リアンだ。……よろしく頼ム」
「よ、よろしくお願いします…」
こうして、ゲヘナ学園にて、リアンにとっての初のブラックマーケット外の依頼は始まったのだった。
(え、何? あれ何?悍ましい触手生物がいらっしゃるんですけど? パンちゃん!? パンケーキ!?パンケーキなのか!?というか何でパンケーキがあんな見た目に…そもそも何故命が宿って!!?)
みなさん中身がまともな人で良かった…。との感想が多いですが、第2話を読み直してみなさい。
まともな人間は口から放射した溶解液でドロドロに溶けたモルモットを埋葬することはあってもぐじゅぐじゅのそれをそのまま口に押し込んで責任をとったとか思わないんですよ。
遊星画集、今日の1枚
『神の去りし廃忘の都』
廃れてしまい、水と緑に侵食された街並みが夕日を受けている様子を描いたもの。
水面や、割れ硝子の反射など細やかな加減にも気を配られ、寂しさと神秘を同時に感じられる一枚。
隅に描かれた水溜まりには、不思議な4脚戦車が反射して映っている。
対策委員会編が終わったら幕間を書こうと思います。選ばれなかったものは作中や前書き、後書きでサラッと乗せます。因みに全部を選ぶと本編が遅れますがちゃんと読めます
-
C&Cリベンジ!
-
ツルギとのデート回
-
カニー・クッターと近所のヌシ
-
全部!