透き通るような世界観にいちゃいけないタイプのクリーチャーに成ったけど今日も元気に擬態する 作:食卓の英雄
豆知識
『遊星リアン』
最近カフェオレとカフェラテの違いに気づいた。
実は密かにバッタに対抗意識を燃やしている
何でも屋を開くに当たって自分の知らない分野でも積極的に学んでいった
「……お見せしよう」
そう言って、俺は脚に着けていたベルト型の拘束具を全て外す。同時に胸の下側面のジッパーを下げもう二つの腕を露出させる。
あ、この腕は人間と虫の中間くらいの見た目だ。前脚の外観が人間そのもの、後脚が虫そのものとしたら、中脚は虫の怪人のようなもので、シルエットは人間だがその質感は虫っぽく尖っている。それの表層をロボの足みたいなので覆ってそういう装備みたいに見せてるというわけだ。
そしてアサルトホッパーとシャイニングホッパーのマガジンを捨て、グリップを折り接合。改造して増やした弾帯を取り付ける。一体化したそれ――シャイニングアサルトホッパー――を左前脚で握り、さも服に隠していたように見せながら腹からダブルバレルのソードオフ式ショットガン――名はウルカノオルトロス――を右前脚で握る。
合体したアサルトライフルで狭い道を覆い尽くすように撃ち回避先を読み面制圧。勿体ぶって見せただけあり、二人は警戒しているらしく回避される。……いや、普通に避けないで欲しいんだけど。…まあ、牽制目的だから避けるという行動を取らせただけで十分なんだけど。
やっぱり人外に片足突っ込んでるような挙動を見ながら、拘束具を外した両脚に力を込める。筋繊維の一本に至るまでが最適化され、今か今かと待ち侘び唸りを上げる。そして、その瞬間は訪れた。
(―――流石に手加減するけども。正直まだ慣れているとは言えないからね)
死んじゃうから。相手も、俺も。
蓄えられた力を、今解き放った。
―――バッタの仲間に見られる特徴の中で、最もポピュラーなものは何か。それには様々な意見があるとは思うが、多くの人は「ジャンプ力」だと答えるだろう。
中でも最大級の跳躍力を誇るトノサマバッタは約75cmほどで、人のサイズにまで巨大化すれば一跳びで10階建てのビルをも超すとさえ言われるほど。確かにバッタの中でも最高峰の能力を持っている。
しかし、それはあくまでバッタという括りの中でのみ。
カマドウマ――便所虫と称され無害ながらにその生理的な気持ち悪さを感じさせる外見から疎まれている昆虫。
こちらも広く見ればバッタの仲間だ。その1.5cm程の小さな種*1の跳躍力を知っているだろうか。
答えは―――約3m。
これを人間サイズに置き換えると、場合にもよるがビル50階分にも及ぶ。
当然そのような計算通りになることはあり得ないし、そもそもリアンは姿こそカマドウマに似ているが全く別種の生物であるのだが、だからといって跳躍力まで劣化するとは言っていない。
小さな体に対して余りに強すぎる脚力は、虫かごに入れてしまえば天井に激突して死んでしまうほど。
――――事実、リアンはその強すぎる脚力を考えなしに発揮した結果、一度
曰く「めっちゃビビった。ここまで強いとは思ってなかった。正直ちょっとちびった」とのこと。
ではそれが、明確に指向性を持って放たれ、その制御を完璧に行えるとしたら、それはどれだけの脅威足り得るか。
矢の様に、どころか砲弾に近しい勢いで射出されたリアンは、瞬きの間にネルの上を取った。まるで理解出来ていないかのような顔の、いや現に追いついていないだろう呆気に取られる顔へ向けて
●
「……お見せしよう」
そう言うと、奴は服の中から妙な機械腕を露出させ、元々の左腕に合体したアサルトライフルを、右腕にショットガンを手にした奇妙なスタイルを取った。
ただでさえよく分からない相手だ。射撃の腕前は上等とは言えねぇが、それでもそれを補って余りある底知れなさを見せたやつなら、軽んじるのでなくむしろ読めないスタイルに警戒を向けるべきだ。
乱雑に放たれた弾幕を躱し、更に放たれた散弾に意識を傾けた瞬間。
「――っ、リーダー!」
アスナの切羽詰まった声に、意図せず体が動いた。
「ぐおっ…!?」
―――次の瞬間、交差した腕に衝撃が走り、遅れてショットガン特有の弾けるような銃声が届く。
(何が、起こりやがった……っ!?)
その頭上を通り抜ける影と共に、斬り裂かれ悲鳴を上げた空気がネルの髪を荒らしていく。
仰け反った頭の反動で背後を見ると、視界の端にヤツが映る。
「…っ、このッ!」
反射的に得物を向け掃射。小気味の良い音を立てて銃弾がばら撒かれるが、既にそこに敵はいない。
「わっ、わっ!」
アスナの声に意識を向けると、低姿勢で駆け回りながら通路中を弾丸で埋め尽くしながら高速で迫る姿。そっちから見たら側面に位置するあたしが掃射するとそれを察知したのか真横に進路を変えこっちの弾丸も当たらねえ。
「さっきと全然違うじゃねえか…っ!」
今までは両の足を地につけ自分を中心に両腕のアサルトライフルを放射する、アサルトライフル使いに言うのも何だが大型機関銃みたいな、撃たれるのを覚悟しながらも物量で勝負するタイプだったが、今はまるで違う。
姿勢を変えながら射線を潜り抜け、そのステップの不規則さと速度にまともに照準を合わせてたら連結したアサルトライフルの射撃が襲い掛かる。移動中はどれだけ激しく動いてもこっちだけは捉えてる分気の休まる場所がねえ。
しかも接近されりゃさっきみたいに至近距離からの散弾をモロに食らう。
「クソッたれ!」
だからこっちも距離を離しながら撃つしかない。双方動き回るせいで狙いもまちまち、その程度じゃ止まらねぇ。
認めるのは癪だが単純な速度だけならあたしより速え。
「…ふざけやがって」
何でこんなヤツが急に出てきて、こんなとこで雇われてやがる。その意を込めてツイン・ドラゴンを向けるがなんてことねえ顔で突破。
そしてぞわりと、ヤツが力を込めた瞬間嫌な予感がして身を投げると今まであたしがいた場所の背後を取ったヤツが足を振り下ろしていた。
壁を見れば弾痕じゃねえ跡が残っていて壁を蹴り、背後に回った瞬間に方向転換したのだろうと納得。
足が地面を割り破片として吹き飛んだ欠片が頬をかすめる。だが動きを止めた今がチャンスだ。至近距離から全弾ぶち撒けてやる。
そう思い接近するとヤツは背後へ跳び退り、次の瞬間あたしの目の前に壁が迫る。
「な―――!?」
ぶち当たる寸前、何とかブレーキをかけ、それがめくられた床だと理解が追いついた瞬間、今まで感じたことのないレベルの衝撃が腹に襲い掛かり、ものすごい勢いで背後に飛ばされる。
「う、おおおおぉぉぉぉぉぉっっ―――!!!?」
空中で仰向けになった体を手をつきバク宙することで態勢を立て直す。
「ガッッッ、はっ…!ゴフッ、クッソ痛ぇ!」
「何今の!」
勢いを殺したあたしにアスナが追いついた。足を真横に突き出した余韻を残すヤツを見れば、30mは飛ばされてることが分かり、遅れてガランと音を立ててあたしごと飛ばされた壁が落ちる。見れば、中央がベコベコにへこみ、切り口は歪で折れるように途切れていた。
あの野郎、床を捲り上げて即席の壁にするどころか、それごとあたしを蹴り飛ばしたってのかよ。
「マジでバケモンじゃねえか」
零すと同時、今度は壁を足場に跳び跳ねながら迫ってくる。
「来るぞ!」
「りょーかい!!」
ここはさっきの広間と違って広くねえ。ジャンプの瞬間とその動きを見て弾を置いてると、当然ヤツは避けられねえ。下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるとは言うが、それなら計算された弾をアホみてぇに撃ったらそりゃ当たる。
「そりゃそうだよなぁ!!」
何の支障もないとばかりに向かってくるリアンに、追い詰められているはずのネルは更に凶相を剝く。
珍しくアスナも援護に加わり、銃撃戦が再開される。リアンが壁を蹴りそこへたどり着くと爆弾が炸裂する。咄嗟に動きを止めると、爆炎の先からネルが迫る。
「……なっ」
猛追するサブマシンガンの雨あられが顔に向けられる。それを嫌がったのか横に跳ぶ。と、それを読んでいたかのようにアスナの射撃が顔に入る。予想外の攻撃だったのか驚いているとその隙にネルの接近を許す。
一斉に放たれた銃撃に怯むと同時、投げ込まれた爆弾が爆発する。それに気づいたリアンが顔を庇うと、ネルは巻き込まれるのも承知で銃口を腹に突き立てると、全弾を一気に撃ち尽くす。
「舐めんなっ…!!」
しかし、返ってきたのはこれまで以上に手応えのない硬質な音。呆気に取られる間もなく掴みかかる機械腕をリアンの腹を蹴って背後に離脱。
(腹になんか仕込んでやがったか…!)
目論見が外れたことに苛立ちながらも隙のない動きで弾薬を装填。無造作に放たれた散弾を姿勢を低くして避け、アスナは身を翻して躱す。
再び接近し銃撃を与えれば、またもや顔を守る仕草。あからさまだが、それほどまでに守られては暴きたくなるのが人というもの。加えて唯一反応らしい反応を返している部位でもある。集中砲火のため銃口を上に向けると、己よりも大きな体が一瞬にして視界から消える。
(―――は)
「……そこだ」
足が掬われる。先程までの戦いで相手の脚力は痛感していた。故にガタイ、体重、筋力すべてが劣るネルは容易く脚を払われた。
2m弱の巨体が一瞬にして地面スレスレまで体を沈め、優れたリーチで足を刈る。
空中に撥ねられたネルは唐突に切り替わった視界に順応すべく脳を働かせると、次の瞬間何者かに足が掴まれる。
それはリアンの機械腕。そのまま大きく振りかぶるようにしてアスナへと投げられる。急速にかけられた逆方向のGに脳が揺らされながらも、アスナに受け止められ怪我はない。
「悪い、助かっ――」
「リーダー次来てる!」
が、更に今度はキャッチした筈のアスナに突き飛ばされる。崩れる姿勢のまま視線を向けると高速で飛びかかるやつの姿があって―――空中で停止したかと思うと急にそのまま回し蹴りが放たれる。
狙いはネル。これを銃で受けるが、流しきれずに背後に自ら跳ぶ。おかげで衝撃は吸収できたが代わりに受け止めた銃が逝った。
空中で挙動が変わった原理。それは機械腕によるもの。その証拠に天井には鋭い爪痕のように飛び蹴りにブレーキをかけた痕跡が刻み込まれている。
銃身が凹んでしまい使い物にならなくなったそれを即座に捨て、フリーになった片腕で姿勢制御。手数の減ったもののより苛烈さを増した愛銃を構え、壁を蹴る相手の動きを予測して引き金を引く。
「ッんだそりゃぁ!?」
が、その予測はまた裏切られる。
身を翻して壁に足をつけ、
自身の頭上から斧のように振り下ろされる脚撃。これを地面を蹴って逃れ、続けて叩きつけた足を起点に横蹴り、水平薙ぎ、上段を壁に当てその反動で折り返しの蹴りを放ち、サマーソルト、直後、浮かんだ体を地面に突き刺した中脚で引き寄せ無理矢理飛び蹴り。
アサルトライフルの弾幕、蹴撃、破砕された地面の破片、着地後の蹴りに追随して放たれる中脚の突き。移動中に巻き込もうと叩きつけられる翼。
舞のように途切れのない怒涛の連続攻撃。されどその暴威とも呼べる脚撃はその全てが直撃箇所を粉砕する威力。
そしてまた、アスナの援護による妨害ありとはいえ紙一重で躱すネルもまた尋常ではない練度だ。とはいえ、余りに重く、早く、途切れない攻撃に余裕など見せられない。
今は得意の素早さと身軽さで躱せているが、集中力はかつてないほど擦り減っていく。自分がもっと大きな、それこそ平均身長ほどもあれば確実に当たっていたであろう攻撃もあった。このときばかりは己の背丈に感謝する。
だが、抉れた地面が痛い。これでは充分な加速もステップも妨害される。対して相手はその強靭な脚力でそれごと粉砕していく。
このままでは磨り潰されると悟ったネルは勝負に出た。背を向けて逃げに徹すると思わせて追撃を誘う。
背後で一瞬音が途絶えた瞬間に体を倒し地を蹴る。目論見通り突き抜けていくリアンの真下、床スレスレを滑るように通り抜ける。
そのまま無防備な背後を晒すリアンに向けてフルバースト。
「残りを全部上に投げろ!」
「それっ!」
そのまま、ネルはアスナへ指示を出し、何の疑問も躊躇もなく鞄が投げ込まれる。
「…まさか!」
ブレーキをかけたリアンが叫ぶが、もう遅い。これまでほぼ温存されてきた爆弾の全てが入った正に火薬庫とも呼べるカバンが上空で撃ち抜かれる。
―――そして、爆炎と爆轟が通路を支配した。
「うおおおぉぉっ!?」
「きゃあっ!」
通路を埋め尽くすような大爆発。連鎖に次ぐ連鎖。ただでさえリアンによって痛めつけられた通路は耐えきれずに崩壊。
天井が崩れ、巨大な瓦礫によって通路が塞がっていく。舞い上がる粉塵と煙幕に咳き込み、リアンが落ちた天井の先に閉じ込められたことを確認して安堵。
そして
「あ?」
「あれ?」
呆気に取られる間にも、爆発の規模は大きくなっていく。壁が、天井が、床が。あらゆる箇所から爆炎が上がりそれが迫ってくる。
「おいおいおいっ!! 何でこんな爆発してんだよ!?」
「あははっ、すっごーい!」
彼女達やリアンですら知り得ないことであったが、この商品庫へ続く道には壁の奥や建築物自体に大量の爆弾がセットされていた。
無論オークショニアによる仕掛けだ。もし守ることが出来ず突破されるようであったらと、いっそのこと全てを破壊する気で仕掛けられていたもの。最悪の場合、そちらに注意が向いている間に自分だけでも逃げようとするためのスケープゴートの役割も課せられているそれ。
しかしこの場合は壁が薄くなったところに連続の爆発が重なり、偶然天井が崩れた先の穴に爆風で爆弾の一つが飛ばされ、たまたま内部の爆弾の眼の前で爆発。
こうして大規模な爆発が引き起こされてしまったというわけだ。加えてブラックマーケットならではのガバガバ建築。どうせ爆発するなら経費削っても良くね?という現場猫も真っ青な適当さで建てられた背景の掛け合わせでこの崩落へと繋がったと言えるだろう。
「って、さっさと走れ! このままじゃあたしらも生き埋めだぞ!」
呆けている場合ではない。連続する爆発音と崩れ落ちる瓦礫を避け、一直線にあの広間へと駆ける。あそこは商品庫の前ということもあってか一際頑丈に作られており、銃痕もほぼ見えないほど。
全速力で通路を疾走するエージェント二人組。唯一心残りとしてはアスナがどこかへ置いてきたというアカネだが、自分はその場所を知らないし今更引き返せるものではない。
内心で歯噛みし、けれどミイラ取りがミイラになることだけはないよう駆け抜けた。
最後の直線を抜け、あと僅かというところで上部で一際大きな爆発が起こり、瓦礫が降り注ぐ。
「…んのっ!」
「私いつもやってる!」
それを、既のところでスライディング。滑り込ませた姿勢のまま奥の広間にたどり着くと同時、瓦礫の山に埋もれて出入り口が塞がれる。
「はあ…っ、はっ、クソ、滅茶苦茶しやがる…!」
「…うん、何か私も、あんまり攻撃食らってないはずなのに、すっごく疲れた」
「……そういえばアスナ。アカネは大丈夫なのかよ?」
危機を脱して安心するや、途端に他のことが気になってくる。大の字で倒れるアスナへ問うと「捨てられたソファの下に地下室みたいなのがあってそこに置いてきたから多分大丈夫」と答える。
まあ、あれだけの爆発とはいえ地面、ひいては地下なら無事な可能性は高い。少し安心すると、本題を思い出しアスナと共に立ち上がる。
「イテテ…こりゃ何本か折れてるな」
特に肋はあれだけの蹴りを喰らったのだから可能性が高い。他にも裂傷や銃撃による腫れ、痣などの傷を庇いながらも、その扉の先にある商品庫への道を進もうとして―――
―――背後で瓦礫が崩れる音がした。
「……まじかよ」
そこには、ボロボロの衣服を纏い、顔は煤と汚れに塗れながらも、二の足で立っている
変態するのを予言していた方がいましたが、こんな序盤でストーリーもクソもない時にバラすのは勿体ないので“まだ”しません
『シャイニングホッパー&アサルトホッパー』
武器種はアサルトライフル。
元ネタは“仮面ライダーゼロワン”のシャイニングアサルトホッパー。連結してそうなる。リアンは片手で撃っているが上下から発射される上に引き金の位置などの関係でまともに撃つのが難しい。
『ウルカノオルトロス』
武器種はショットガン。
ソードオフショットガンのため腹の中にも入れられた。
元ネタは秘密。ただしウルカノの語源を調べて別名に行き着けば分かる。
跳躍からの超々至近距離でブッぱなしてくる。
『機械腕(大嘘)』
中脚に機械っぽいのをつけただけ。ほぼハリボテみたいなものなのでハッキングなど出来るはずもない
対策委員会編が終わったら幕間を書こうと思います。選ばれなかったものは作中や前書き、後書きでサラッと乗せます。因みに全部を選ぶと本編が遅れますがちゃんと読めます
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C&Cリベンジ!
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ツルギとのデート回
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カニー・クッターと近所のヌシ
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全部!