透き通るような世界観にいちゃいけないタイプのクリーチャーに成ったけど今日も元気に擬態する 作:食卓の英雄
第1話 タイトル詐欺
―――ここは神秘の匣庭キヴォトス。
円環と星屑煌めく夜空の静けさは、下界を平等に包みこんでいる。それは、とうの昔に人の去った廃墟群であっても変わりない。かつては大勢の人がいたのだろうと推測できる錆と緑に覆われ朽ちたメカニカルジャングル。
道路は地面と見分けがつかなくなり、文明の名残は既に機能を失っている。最早人の気配が絶えて久しい墓標の群れ。
夜風がぴゅうと隙間を通り抜け、割れ窓から侵入したそれがガタガタと音を立てる。
そんなゴーストタウンに、一つ、蠢く影があった。かつては医療施設であったであろう建物のその奥。苔むした廊下を闊歩するその存在。
廃虚巡りを趣味とする一般人?――否。
肝試しにきた怖いもの知らず?――否。
後ろ暗いことを抱えている者の隠れ家か?――絶対に否。
―――それは、見るも悍ましき異形だった。
視覚的な特徴を一言で伝えるのなら、“カマドウマ”という虫のシルエットが近いだろうか。長く細い足を複数持ち、大きな腹と一際長く逆関節の後脚。
だが、それとは根本的に異なる特徴が多くある。
まず、その大きさ。通常のカマドウマであれば大きくとも20mm前後。巨大に育ちやすい環境であっても掌サイズが限度。それが種としての限界だ。
だが、眼の前のこれはその様な次元ではない。顔面に類似する器官から腹の先端までの全長、凡そ4m50cm。まかり間違ってもカマドウマが得ていいサイズではない。
加えて、シルエットと表したとおりに、実際の外見は異なる。虫らしく節のある外見は一致しているが、その肉体は脈動する乳白色の外皮に覆われていた。
昆虫特有の外骨格でなく、青褐色の割れ目が多数混在するぶよぶよとした皮膚。その癖、よく見れば随所に鱗や羽毛のような細胞片が付いており、最早その特徴だけでは測れない何かである。
それだけでも奇妙で不気味な存在であるが、中でも忌避感を煽るのは、それが人体の名残を残しているという点だろう。
まず、前足の先端は人間の腕に近く、異常に長い指を除けばほぼ人間の指だろう。逆に、腹部の副腕から後脚にかけて、後ろになればなるほど昆虫らしさが目立ち、却ってその異常性を醸し出している。
そして、その顔面。恐ろしいことに人類のそれを保っている。青白く生気はないが、悍ましい異形の中で唯一貼り付けられたように美しい部分でもあった。
ただし、それも途中まで。白い頭髪に見えるそれは細かな触角の集合体であり、下唇から首にかけて花のように開かれた口はとてもグロテスクで、細い副腕が今か今かと獲物を待ちわびているかのようだった。その仕草は睨めつけるような視線と相まって強烈なプレッシャーを見るものに感じさせる。
顎から体を辿ってみると、人間らしい胴体があり胸まではそのシルエットを保っているものの、その下から虫の腹部にかけては白い脊椎が並んでいる。
さらに、脊椎から伸びているそれは先端の尖った虫の腕。それぞれが細かく動き、手慰みかのように腕同士を擦り合わせている。
腹部はカマドウマのように甲殻的な印象はなく、グロブスターのようにぶくぶくと醜悪に肥え、時折思い出したかのように内臓組織が蠢いている。
煌々と輝く白金色の双眸。周囲を確かめるようにひくひくと動く整った鼻筋。
最早この世の存在とは思えないクリーチャーがそこにいた。
廃墟に蠢く異常存在。これだけでホラー作品が一作創れそうな類ではあるが、ここはフィクションではなく現実。
誰もが目を奪われる醜悪で不愉快なクリーチャー。
それはいかなる意思のもと活動し、またどのような惨状を産み出そうとしているのか。
それは誰にも解らない。何故ならば、真の怪物とは人類の理解の外、納得したつもりであっても我々とは異なる構造の存在なのだから―――。
●
あはっあはっ、こんなになっちゃった………。たはは。
なっちゃったからにはもう……ネ…。
え、誰かって? そんなの俺が聞きたいよ。気がつけば真夜中に見知らぬ廃病院。普通に凄い怖かったからな。そんで、腕も足も動かしにくいし、やけに口元スースーするし。
何とか這うようにして移動して、自分がどんなことになってるのか確認した時はマジで情けない悲鳴出た。だって、やっと目が慣れてきたと思ったらバイオハザードとかに出てきそうな気持ち悪い怪物が眼の前にいたんだから。おしっこ漏らしたもん。
そのまんま絶叫しながらバタバタ暴れて、落ち着いたらこれだよ。その怪物、鏡に映った俺でしたってこと。
正直何が起こってるか分かんなかったし、今でも意味分からん。そもそも俺普通に人間だったんだけど? ファンタジーとは無縁の…これファンタジーか? ホラーもファンタジーといえばファンタジーだけども。普通に一般人だったし、廃病院にも居なかった。
まあとりあえず俺がクリーチャーになってることを辛うじて飲み込み、外に出る。
そこはコンクリートジャングルごと廃墟になった町並みで、人の手が入らなくなって久しいといった場所だ。
……ポストアポカリプス的な世界観かとも思えば、空にはこっちじゃ絶対なかった変な輪っかみたいなの浮かんでるし、よく見れば遠方では普通に飛行船の類の光が見えた。
体の動かし方は何となく本能で解る。
だからこうして、朽ちたビルの壁面に足を突き刺して遠くの飛行船を覗ける。
この肉体、性能がかなり高い。病院の壁に使われているコンクリート程度、まるで麩菓子のように砕けるし、鋭利な爪は金属を容易く切断せしめた。人の手みたいな部分は物を握れるし、箸で物を掴むような作業も可能だ。
それに虫ならではというか、色々なものが視える。視力が格段にいいのは勿論だけど、電磁波とか紫外線とかも見ようと思えば視える。
他にも色々出来そうな気はするけど、今はとにかく情報収集だ。俺はどんな存在なのかとか、俺はここでは普通なのかとか、生活している存在やその暮らしを見なければ、文明的な活動が出来るかどうか変わる。
とりあえず、目覚めた病院に戻る。こっちから飛行船が見えるってことは、向こうからもこちらが見えるはず。そしてこの現代的な建物と飛行船から、遠くを観測する技術くらいもっているだろう。
この世界にもよるけど、もしこっちでもおかしいなら目に留まるのは危険だからだ。
……というわけで、今は廃病院に戻ってきている。
とりあえずはこのゴーストタウンで集められるだけの情報収集と、今の体で食べられるものや必要なものの確保。それと自分の能力の確認だ。
よーし、頑張るぞ。
…あの、病院なのに銃置いてあるんだけど。しかも拳銃とかじゃなくてアサルトライフル的な感じのやつ。弾薬も一緒だ。………もしかしてここ、銃社会?
人通り多いところじゃなくてよかった〜〜〜!
●
「あー、何でこんなところに…」
「ねえ、本当にここ大丈夫?」
「何? もしかしてびびってるの?」
「違、そうじゃなくてさ。ここ何にも事件ってなかったんでしょ? そんな場所が心霊スポットって言われても納得できないっていうか」
深夜。生徒も活動をやめている丑三つ時のこの時間。さる廃墟の街へと足を踏み入れる三人の生徒の姿があった。
ここキヴォトスは複数の学園からなる学園都市であり、その中でも最大級の「トリニティ総合学園」や「ゲヘナ学園」を筆頭に、「ミレニアムサイエンススクール」や「レッドウィンター連邦学園」、「百鬼夜行連合学院」に「山海経高級中学校」などひと味もふた味もある生徒がわんさかといる。
ただ、その中でも彼女たちはそれほど地位の高い学校に所属しているわけではない。落ちぶれてもいないが、幅を利かせるほど大きくもなく、自治区はないに等しい。
そんな平々凡々な学校の生徒達であった。ここへ来た理由は、今の話から推察するに肝試しであろうか。
最早捨てられて久しい自治区。かつて治めていた学園は既になく、当時の在校生も全員転校している。
ここには学園が突如として継続不能になるまで落ちぶれ、そのまま無人化してしまったという過去がある。
その原因は不明。今も尚進行する砂漠化による生活インフラの破壊により廃れているアビドス自治区と違って、本当にいつの日にか消えていた。当時は生徒同士の反発が過激化したとか、外部組織の謀略によって崩されなどと好き勝手な憶測が飛び交っていたが、今や興味があるものもいまい。
そんなわけで、ここはどこの学校も治めていない地区なのである。そこにこれ幸いとこの三人組は現れたのである。
きっかけは何だったか。どことも知れないネットの一記事にこの区のことが乗っていたからか。勢力争いもなく、他の学園と比べて平凡な自分たちに嫌気が差し、刺激を求めたからか。迫る定期試験への鬱憤を晴らすためか。
けれど、彼女達は不良生徒の様に街で好き放題に暴れない。いいこちゃんと言う程真面目でもなく、けれどそれをやった所でもっと嫌なことがあると理解しており、それを恐れた。
そんな、潜在的な不満が集合して今に至るのだろう。
一応、道中の警戒や人気のない場所をアジトとする組織への警戒を含めて愛銃を持ってきてはいるものの、どうせ何もないと誰もが思っている。けれども、深夜に誰もいない廃墟に忍び込むという非日常にどこか興奮している彼女たちは思いもしない。
己達が入ろうとしている廃病院に、悍ましき何かが潜んでいることに。
三人は割れたドア窓からエントランスへと侵入した。電灯はあるが、当然電気は通っていない。ガラスの破片が散らばり、待合室のソファは荒れ放題だ。かつては訪れる者を癒やしたであろう観葉植物は地面に土とともに溢れ、栄養を失い枯れ果てている。
ヒビの入った壁や割れた蛍光灯、荒らされた形跡のあるカウンターなども雰囲気を出すには十分だった。
三人は「雰囲気でるねー」や「何年前のやつだろう…」「こっちに地図あるよ」等と思い思いの感想を述べていく。
地図には7階分の正確な位置が記されており、それをスマホで納め、早速とばかりに探検することにした。最初は懐中電灯片手にドキドキと見て回っていた彼女達も、4階の探索を終えた当たりで飽きてきたのか、軽口を叩きながら流れ作業気味に見て回っていた。
そこで、一人が声を上げた。
「ねえ、もう何もないしさ、このくらいで帰らない?」
「でもここまで来たら最後までやりたくない?」
「地図見たら分かるけどさ、こっから上はもう殆どただの病室だし、明日起きるのが遅くなるよー?」
「うーん、まあそうかも…。じゃあ、帰ろうか?」
「……まあいっか、うん。帰るか」
そうして、彼女達は4階で探索を切り上げて帰宅することになった。
「あれ」
「どした?」
3階に降り立ったその時、最初に帰ろうと提案した一人が何かに疑問を覚えた。急に立ち止まった彼女に対して不思議そうな顔を向けるも、等の彼女はある一点を指差し一言。
「あそこって、あんなんだったっけ?」
それは、3階へ降りた直後の廊下の右端、突き当りに該当する部分の壁。そこにはキヴォトスではよく見る銃創や爆破跡ではなく、ほんの少しだけ抉られたように穴が空いていた。
一瞬ただの覚え間違いとも思ったが、壁や天井ならともかく突き当りの角は視覚的に違いが見えやすい。その部分が欠けていたのなら、多少は目につくはずだと伝えた。
「いや、でもさ、暗いし、地図とか見てたから見逃すことだってあるくない?」
「う、うん。階段の方に注意行ってたしね」
その言葉にぞっとした彼女達は、けれどそうでないと理由をつけていくが、一度冷えた空気は戻らない。
「ま、まあそんなんだよね。…ごめん、変なこと言って」
そう言って、彼女達は再び歩みを再開した。そのまま下へ降りればいいのではないかと思ったものの、続く階段は壊れてしまっている。神秘によって守られている彼女達はこの程度の高さは何てことないが、それでも今煽られた恐怖により、過度に音を立てるような着地はしたくなかった。
そして、再び地図を頼りに階段前の突き当りへと辿り着く。
しかし、次の瞬間「ひゅっ」と息を呑む音とともに彼女の体が硬直する。
「な、何? また何かあったの?」
しかし、ブルブルと首を横に振る。無言で首を振る彼女を不審に思ったのか、固まった手に持たれているスマホに目を向ける。
スマホの画面は今までは写真アプリで撮影した地図の画面を映し出していたのだが、誤操作してしまったのか撮影画面に戻っており、内カメラのそれがそのままの光景を映し出す。
本当に、それだけだ。
「…もしかしてさっきのも、こんな風に驚かそうとしただけ?」
「そうなの? 趣味悪いよ…」
安堵しかけたその時、その少女が無言で内カメラに映る映像を指指した。それはスマホを持ったまま硬直している当人と、覗き込む二人――――ではない。
その奥。長い廊下の先、曲がり角から何かがこちらを覗き込んでいるのが見えた。
ズームしてみると、よりはっきり分かった。それは、人間の顔だ。同い年くらいに見える目鼻立ちの整った少女が鼻から上だけを真横に突き出してこちらを見ているではないか。
「ひっ…!」
「ちょ、これ」
思わず騒ぎかけた二人に、慌てて黙れと視線を送る。背後からこちらを見る存在に気づかれないようにと、二人は息を押し殺す。そして、決して聞こえないよう小声で話を続ける。
(これってさ、幽霊…?)
(いや、もしかしたら、私達みたいに肝試しに来てる娘かも…)
(そんなことある? だって、ここ明かり何もないんだよ。それなのに、明かりも持たないで、こんなゴーストタウンに一人で覗いてるって…おかしいでしょ)
(おどかそうとしてるとか…)
そして、焦りと恐怖感から心臓の音が激しく鼓動を訴えていた時、新たな事実に気がついた。
(ねえ、ここさっき私達が曲がってきたとこじゃ…?)
((っ……!?))
驚くのも無理はない。今しがた何の異常もないと安心して抜けた道に、恐怖を煽る何者かが居たのだから。
それに、その顔はなんだか生気がない。やけに青白いし、覗くにしてもまず普通ではないポーズでこちらをじっ…と見つめている。
「あ、あー、もう時間も遅いし、早く帰らないと。そういえば、宿題まだ残ってたんだったー」
「そ、そうだよね。じゃあ、さっさと帰ろっか。うん、あんまりいても時間の無駄だしね」
わざとらしく声に出し、それに便乗するように追随する。相手も人間なら、この声が聞こえていれば何かアクションを起こすかもしれないという期待を込めてのことだった。
あわよくば、相手もこちらを警戒して見ているだけの一般生徒でありますように…。そう願ったものの、返答はなかった。
こくりと無言で頷き、やや足早に階段を駆け下りた。
その視線から外れると同時、バクバクと鳴る心臓の鼓動が煩わしい。そのまま2階の通路を無視して1階に押し寄せる。
ここからエントランスへはそう遠くない。一目散にかけようとして、見えた光景に咄嗟に身を隠す。
(ちょ、ちょっと、もうすぐ出口でしょ…! 何で止まったの…!)
(違うって、あれ見てアレ!)
(え…)
先頭の彼女に抗議の意を示すが、ジェスチャーに従いエントランスを覗く。
特段変わった変化ではない。だが、乱雑に並べられていたソファが、出入り口を塞ぐように纏めて一箇所に移動していた。それも、鋭い何かに引っ掻かれたかのように綿が飛び出ている。
これでは出られないとは言わずとも音も出る上時間がかかる。それだけでなく、こちらも行きにはなかった何かを引きずった様な赤い跡が見えた。
つまり、その何かは自分たちが訪れていた短期間にここを通っている。活動範囲内であることは容易に想像出来るだろう。
それを察した彼女達は踵を返して、即座に裏口を目指す。
スマホの画面を見ながら、足を取られないように必死に走る。いくつかの角を曲がって、一直線に非常口へ。
明かりは点いていないものの、非常口が目についた瞬間に安堵した。このまま駆け抜けようと、背後の二人を確認するために振り向き――――――スマホを取り落とした。
何してるんだと叱責せんと二人も振り返り、同じ様に動きを止める。
それも仕方のないことだ。何せ、先程こちらを見ていた何かが、今度はもっと近く。精々が10m程の距離しかない曲がり角から覗いているのだから。
背筋が凍った。ゾッとした空気が蔓延し、けれど目を離すことも出来ない。明らかに目があっている。
乾いた喉が吃音を発し、膠着状態に陥る。左右の二人も同じ様で、震える体にムチを打ち、何とか愛銃だけは発砲できるように握り締める。
どうすることも出来ず、思考も纏まらない中何を考えたのか、先程までスマホを持っていた方の手を振る。
手は震え、歪なものだったが、軽く振られた手は相手にも見えていたようで、曲がり角の先にいる相手もこちらに手を振り返す。
「手。ねえ、手、振ってるよ…」
「はは、何だよ、驚かせちゃって」
そうして、意思疎通が可能な相手であると安堵したのか、緊張が霧散し、そちらへと懐中電灯を向けた。向けてしまった。
「「「ひっ……」」」
懐中電灯は、確かにその存在を映し出した。確かに実態があって、光による影まで向こうの壁に転写されている。
だが、そこではない。そこではないのだ。
一番の問題は、その曲がり角に設置されている姿見。L字の通路の端に置かれている鏡に、こちらに向けて手を振る存在の裏側が映し出されていた。
振っている手は異常に長く不気味で、人間の顔に見えたそれの下はぱっくりと割れ垂れ下がっている。それどころか、まともな肉体があるのは胸までで、そこから先は骨が丸見えで虫の脚が舌舐めずりするかのように待っている。
理解した。理解してしまった。何で頭の上しか出していなかったのか。それはそこまでしか人間に見える部分が無かったから。
何故人間に見える部分だけ覗かせて待ち構えていたのか。それは、そうやって油断させた相手を襲うからだ。
じりじりと、足を下げる。刺激しないように、こっそりと。何が原因で襲いかからないとも知れない相手に、最大限の注意を払って。そうして数歩下がった瞬間。
―――――ダンッ!
逃げ出す予兆を悟ったのか、振られていた手が伸びる、伸びる、伸びる。
質感は人間の腕そのものでも、異常に伸びてくるそれに恐怖を覚えない訳がなかった。
「「「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁ―――!!!!?」」」
遮二無二、それぞれが全力で逃げ出した。
そこからは、よく覚えていない。あまりに必死に逃げたもので記憶も曖昧、うっすらと愛車をかっとばして逃げてきたのだと分かる程度。気がつけば自室のベッドの上だった。
そこには、二人も同じ様に倒れ込んでいた。それぞれ部屋があるはずだが、あの後で一人で寝ろというのも忍びない。それにこっちとしても一人じゃないことに安心感を覚える。
気を紛らわせるために、ポケットに手を伸ばして、そこには何も入っていない。
「あ、スマホ…」
あの廃病院に落としっぱなしだったことを思い出して、けれど取りに行く気力などあるはずもない。あの恐怖を味わって尚、再びそこを訪れるという選択肢は最初から存在しなかった。
「バイト、増やそ」
密かな決意を秘め、精根尽き果てた彼女達は深い眠りについた。
その後から、彼女達は退屈でも日常の方がよっぽどマシだと理解させられた。そして、あれは一体何だったのかと後日気になった彼女達は、情報の入手源であったホラー系サイトを巡っていく。
だが、あの区の〇〇病院と調べても、それらしきものは出てこない。履歴を辿ろうにも、調べたスマホは廃病院の中。それでも心当たりをひたすらに書き連ね、ようやく当時の記事へと行き着いた。
その管理人へと『先日あの記事の廃病院に関して聞きたいことがあります』とメッセージを送ることにした。
他のどこで調べても出てこない情報を持っていた相手なら、ひょっとすればアレのことを知っているかもしれないと考えてのことだった。
暫く待ち、待望の返信は返ってきた。けれど、それは彼女達の求めていた文章ではなかった。
『申し訳ありませんm(_ _;)m 該当記事の記述が間違っていました。正しくは〇〇病院ではなく□□区の△△病院でした。筆者の推敲不足で間違った情報を与えてしまい申し訳ありませんでした』
と。修正された内容を見れば、それは情報を集めている間に何度となく見かけたものであった。
「え…?」「まち、がい……?」「でも、確かにあの病院に…」
結局、必死の捜索は徒労に終わった。何も情報は得られず、却って疑問が湧くばかり。
だがあの時、あの場所には必ず
―――その日、キヴォトスのネットワークの片隅に新たな心霊スポットの情報が追記された。
作者はこれを書く間カマドウマの画像とにらめっこして、ドンブラザーズの歌を流しつつ生ハムに缶コーヒーを添えながら書きました。
主人公のスペック
全長:4m50cm(頭部の先端から産卵管まで)
性別:雌
■主人公sアイ
・スコープのように目のレンズを拡大、縮小し最大数十km先の光景も目視できる。また通常の人間には目視できない紫外線や電磁波、宇宙線なども視えている。目と目の間にはピット器官があり、熱源探知も可能。
■主人公s触覚
・頭部に生える毛髪状の触覚。センサーの機能も備えているが、生物を察知するよりも身に迫る危険を察知するのが主目的。
■主人公s下顎
・開く時は「ぱふぁ…」って音がなる。バイオのマジニとか寄生獣をイメージ。咬合力は高く、いい感じに掴むことができればウルツァイト窒化ホウ素ですらスクラップにできる。
■主人公s咽頭顎
・「ぱふぁ…」したあとの口から覗く第二の口。大体の物は食える
■主人公s口吻
・「ぱふぁ…」したあとの口にあるストロー状の第三の口。蝶の様に巻いてスペースをとらない。また体液を吸う際には同時に依存性のある快楽物質を流し込む。
■主人公s脚
・シルエットはカマドウマだが、前の方から後ろにかけて人間から虫の脚になっている。虫の腕の長さのまま人間の腕なので凄く嫌悪感がある。こちらの握力は戦車の装甲程度ならみかんの皮を剥くより容易く剥くことが出来る。後ろ脚の跳躍力は目を見張るものがある。太腿は(高い跳躍力を持つために筋肉の塊なので)太い。
■主人公s骨
・関節が非常に多く、柔軟な動きが可能。また再生能力もあり、自ら骨を撃ち出す攻撃手段も備えている。
■主人公s腹
・醜くぶくぶくと太った腹。バイオのグラスプをイメージすると分かりやすい。
■主人公sボディ
・ヘイローなどはないが、それでも頑強。またあらゆる環境に適応でき、高濃度の放射線や死の星と呼べる環境下でもパフォーマンスを落とさずに活動できる。
■主人公s血液
・どす黒い青き血液。ある薬の材料になるが、そのままの状態で飲んでしまうと強い多幸感と幻覚、幻聴に襲われる
対策委員会編が終わったら幕間を書こうと思います。選ばれなかったものは作中や前書き、後書きでサラッと乗せます。因みに全部を選ぶと本編が遅れますがちゃんと読めます
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C&Cリベンジ!
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ツルギとのデート回
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カニー・クッターと近所のヌシ
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全部!