共同親権とは?具体的に何が変わる?メリットや懸念点を弁護士が解説

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単独親権と共同親権の違いを示した図
単独親権と共同親権の違い(デザイン:吉澤風香)
弁護士/柳原由以

柳原由以
柳原由以 ( やなぎはら ・ゆい )
弁護士
弁護士として、子どもや障害の分野を中心に活動。東京弁護士会子どもの権利委員会所属。立教大学 コミュニティ福祉学科 人権論 講師(2015〜2023)。日本女子大 家政経済学科 非常勤講師(2015〜現在)。

2024年の民法改正によって選択的共同親権が導入され、2026年5月までに施行されるとされています。この記事では、共同親権とは何か、導入の目的、離婚後の子どもとの関係性にどのような変化があるのかについて、子どもに関する事案に多くかかわっている弁護士がわかりやすく解説します。

1.共同親権とは? 弁護士がわかりやすく解説

共同親権とは、離婚後にどちらか片方の親が子どもの親権を持つのではなく、両方の親が親権を持ち続けることです。

現在の日本では、離婚すると必ずどちらか一方の親だけが親権を持つ「単独親権」制度が採用されています。共同親権が導入されると、離婚後も両親が共同で親権を持つことが選択できるようになります。共同親権は、2024年5月17日におこなわれた参議院本会議で、賛成多数により可決し、2026年5月までに導入される予定です。

共同親権の導入は、離婚したかどうかにかかわらず「親は親であり続ける」ということを、子どもにとって明確にするものです。たとえ親の都合で離婚したとしても「親子であることに変わりはない」「子どもは親に会うことを保障されるべきだ」という認識が広がり、親の離婚によって子どもが悩み苦しむことが減っていくことが目指されています。

一般的に「親権」といわれるときにイメージされるものは、子どもの生活の面倒を見ること、住む場所を決定すること、行く学校を決めることなど、子どもの日常生活に関わることでしょう。

民法上、「親権者の権利」として規定されているのは、次の三つです。

身上監護権(民法820条の監護教育権、822条の居所指定権、823条の営業許可権など) 子どもの生活や教育、住む場所などについて決めたり、世話をしたりする親の権利のこと。子どもを日常的に育て守るための権利。
財産管理権 子ども名義の財産(お金や物)を、親が代わりに管理・処分できる権利のこと。
代理権(民法824条) 法律行為(契約など)を、親が子どもの代わりにおこなうことができる権利。

これらの親権はすべて、子どもの意向を尊重し、「子どもの利益のために」(民法820条)行使されなければなりません。

しかし、かつての家父長制のもとでは、家長に権限が集中しており、母子は従属的な地位に置かれ、法的な権利を持ちませんでした。

親権も、戸主に属するものとされており(明治民法877条)、子どものために親権を行使するという発想は薄く、「家」のために子どもがいて、親の意向に従って家督を継いだり、嫁いだりするものと考えられていました。

戦後、日本国憲法では、婚姻は当事者同士の問題であり、男女が平等な立場でおこなわれるものと定められました(憲法24条)。

これを受けて、家制度が廃止され、現行民法の施行によって、婚姻中は夫婦の共同親権とされ、離婚時には単独親権とされることになりました。

戦後しばらくは父親が親権者になるケースが多く見られましたが、1965年に母親が親権者となるケースが父親を上回り、現在では8割近くが母親に親権が認められています。

2024年の司法統計によれば、調停で争われている事件において、母親が親権を得たケースが全体の約94%にものぼります(参照:令和6年司法統計年報 3家事編 p.43|最高裁判所事務総局)。

2.共同親権導入の背景と検討状況

共同親権は2026年5月までに施行される予定で、現在は法務省を中心に、具体的な運用方法や関連する規則の整備が進められています。

共同親権の導入の背景には、国際的な要請と、離婚後も子どもが両親との関係を維持できるようにするべきだという考え方の広がりがあります。

親権には、居所指定権や監護権(子どもを育てる権利)が含まれていることや、日本においては離婚した場合に「家」の後継ぎとなる子どもを「家」に残していく慣習があったことから、親権を取得することは、子どもを引き取り育てることと認識されていました。

さらには、親権を失った親が、子どもに会えないことも「当たり前」とされる風潮が長く残っていました。

しかし、国際化が進み、家族のかたちも国籍を超えて広がるなかで、離婚して別居した親が子どもと会えなくなるという日本の慣習に対しては、国際的に強い非難が向けられました。

アメリカ合衆国下院は2010年、日本国内での子の連れ去りや親権制度の是正を求める決議をおこないました。EU欧州会議においても2020年、日本に対して離婚後も共同親権や面会交流を確実に保障する制度整備を求める決議が採択されました。

今回の共同親権の導入は、このような国際的な要請も背景にあります。

共同親権が導入されても、面会交流が必ずしも円滑になるわけではありません。親権の制度と面会交流の問題は、法律上別々に考えるべきだとされています。

従来、親権者が子どもを囲い込み、別居親が会えなくなるという問題は、親権者が子どもを引き取り、その子に関してのすべての決定権を持つことになる単独親権制度と結びついていました。

しかし、今日において「親と会うこと」は、親権(親の権利)の問題ではなく、子どもの利益・権利の問題として理解されています。

日本が1994年に批准した子どもの権利条約においては、子どもは、自分に影響をおよぼすすべての事項について意見を表明する権利を有し、その意見は子どもの年齢や成熟度に応じて適切に考慮されるべきであるとされています(権利条約12条)。

また、子どもが親と分離されている場合には、定期的に親と会い、関係性を維持する権利を有しているとされています(権利条約9条)。

実際、単独親権のもとでも、離婚後に夫婦が協力して子どもとのつながりを維持することは、子どもにとっても基本的には有益であるという理解のもとで、面会交流を認めるべきだとする運用が徐々に広がっていきました。

2012年の民法改正では、面会交流を含む、子の監護について必要な事項は「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」とされました。

家庭裁判所の実務においても、面会交流が子どもの福祉を害するといえる特段の事情が認められない限り、面会交流を認める方向で審理を進めることが基本方針とされ、子どもの意見表明権を実現するために、子どもの手続き代理人といった制度も新設されました(参照:面会交流が争点となる調停事件の実情及び審理の在り方一民法766条の改正を踏まえて一|CiNii)。 

3.これまでの親権「単独親権」との違い

共同親権が導入されることで、離婚後は単独親権か共同親権か、どちらかを選べるようになりますが、ここでは両者の違いや影響について解説します。

子どもを引き取った親は、これまで通り日常的な世話を単独でおこなえます。ただし、子どもの人生に重大な影響を与える決定については、両親の協議が必要になります。

今回の民法改正では、共同親権であっても、以下の点については単独でおこなえることが明確にされました(改正民法824条の2 第1項・2項)。

● 監護および教育に関する日常の行為(子の身の回りの世話など)
● 子の利益のため急迫の事情があるとき(DV・虐待からの避難、緊急の場合の医療など)

つまり、離婚によって子どもを引き取った親が、日常的な世話(例:日用品の購入、学校とのやり取りなど)を、他方の親の同意なくできることは、これまでと同様に変わらないでしょう。

一方で、住む場所や進学、手術を受けるかどうかといった、子どもの人生に大きな影響を与えることについては、共同親権のもとでは、双方の親の協議によって決めることとされました。

ただし、協議をする余裕のない緊急の事態の場合には、単独で決めていいとされています。また、双方の協議が調わず、そのせいで子どもの利益が害される場合には、裁判所が決定権者を指定することになります(改正民法824条の2 第3項)。

しかし、例えば大学進学を認める親と認めない親で意見が割れ、裁判所が判断するようになったとき、「裁判所はどうやって決めるのだろう」と思うかもしれません。

この点、新たな民法は、子どもの利益のために親権が行使されるべきことを明確にしています。そのため、子どもの意見がより重要になってくるのだろうと考えられます。

単独親権 共同親権
子どもの日常の世話 単独で可能 単独で可能
子どもの人生に重大な影響のある決定ごと 単独で決定できる 両親が話し合って決める

決まらないときには裁判所が決める
交通事故での手術など緊急性があるとき 単独で決定できる 単独で決定できる

学校や行政、児童相談所の対応が今後どうなるのかは、現時点ではまだ何ともいえません。

これまでは、親権を失った親に対して、学校も児童相談所も親として対応せず、子どもの情報を得ることができないというのが、親権を失うことの大きなデメリットでした。

ただし、これはそもそも、虐待など、親権を持たない親と子どもとの関係性を維持することが子の利益にかなわないと判断される事情があったり、親権者である親が「他方の親からの問い合わせには応じないでほしい」と言っていたりすることがあったためです。

共同親権制度の導入後も、虐待などの事情が認められれば単独親権とされますので、その点では、大きな変化はないでしょう。

一方で、虐待などの事情がない場合でも、親権を持つ親が「勝手に学校に来られると迷惑だから」などと言って、学校行事の予定表など、子どもに関する情報を共有しないことがあります。

そのような場合、共同親権になったからといって、学校が別居親に情報を渡すようになるのかはわかりません。学校の判断次第だと思います。

ただ、これだけ教職員の負担過重が問題視されている現在において、学校に別居親にまで対応することを求めるべきではないでしょう。

両親間で「勝手に来ない」ことをあらかじめ合意したうえで、行事予定表を共有し、子どもの意見もふまえて行事への出席について協議することこそが、学校に迷惑をかけず、また親として期待される対応といえるでしょう。

「その話し合いができるならそもそも離婚していない」という声が聞こえてきそうですが、そこは、子どものためだと思って、親族や友人、弁護士や調停などの第三者機関を利用してでも、何とか話し合いをすることが大切です。

筆者は法律婚をしておらず、子どもはパートナーと養子縁組したために、子どもの親権を持っていません。

ですが、日常生活において親権がないことで困ったことはほとんどありません。学校や保育園の行事にも参加していますし、保護者面談にも出席しています。通院にも連れて行きますし、自治体の子育て支援も受けられています。子どもとの関係性も、ほかの家族と変わるところはありません。

結局のところ、親同士が協力して子育てをする限りにおいては、行政も民間もあえて親権の有無を確認して「あなたは親権者ではないので」などと言ってはきません。

そんななかで、面倒だなと感じたことは、子どものパスポートや戸籍の取得ができないという行政手続きの場面と、子ども名義の銀行口座の開設ができないという財産管理の場面です。

公的機関や金融機関などが共同親権にどのように対応するかは、それぞれの組織の判断になるので一概にはいえませんが、共同親権になることで、どちらの親でもパスポートの作成手続きや口座開設ができるようになるのであれば、便利だなと思います。

ただ、少なくともパスポートについては「連れ去り」の危険性が指摘されていることを考えると、共同親権になった場合でも「他方親権者の同意を取ってください」となる可能性が高く、完全に独断でおこなうことは難しいだろうなと予想します。

もし同意が取れず、共同親権者の間で意見が対立した場合には、新しくできた「親権行使者の指定(改正民法824条の2第3項)」により、裁判所がどちらかを決定権者と指定することになるのでしょう。

4.共同親権によって期待されるメリット

共同親権によって期待されるメリットは、離婚後も親としての責任が明確になり、人々の意識が変わっていくことです。

単独親権のもとでも、離婚後の親は当然に子どもに対する責任を負っていました。しかし、日本では単独親権制度が「離婚すると親としての責任もなくなる」という誤った社会認識を助長していた面があるように思われます。

確かに、大きな手術や転校を伴う遠方への引っ越しなど、子どもの人生を大きく左右する決断には関われないにもかかわらず、養育費だけは支払わなければならないとなると、「親の責任とは何か?」という疑問が生じる気持ちも理解できます。

「共同親権」のもとでは、離婚後も子どもの人生の重要な場面において、双方の親が平等な立場で意見をする権利と責任があることが明確になりました。

この認識が広がることで、離婚にかかわらず子どもに対して責任を持つことが当たり前になることが期待されます。

また、「共同親権」ができ、離婚時の争いの要因が減ることで、結婚・離婚という夫婦同士の問題と、親と子どもの問題を分けて考えることが期待されます。

これまでは、単独親権しか選択肢がなかったために、「離婚」について双方が同意していても、親権を譲れないことで夫婦間で争わざるを得ないことがありました。多くの場合、子どもは「親が仲良く一緒にいてほしい」と思っているのに「あなたが決めていいのよ」と無理な選択を強いることすらありました。

「共同親権」が選択できることで、双方が離婚に同意する場合、子どもの親権を共同で持ちつつ離婚を進め、後から親権について考えるという方法が可能になります。

5.共同親権によって想定されるデメリット・懸念点

共同親権には、いくつか懸念されている点もあります。ここでは、共同親権を選ぶにあたって知っておきたい二つの観点を紹介します。

単独親権にしたい親(多くは自らが親権者になりたい)と、それに反対する親の争いにおいて、これまでは制度上、単独親権しかありえないことを前提に離婚の協議がされてきました。

「どうせ裁判で争っても、母親に親権がいくのだろうから、あきらめて早く離婚してしまおう」と判断して、裁判で争うことなく決着離婚が成立したケースは相当数あると考えられます。

しかし、今後は「どちらが親権を持つか」の争いに加えて、「共同親権とするか単独親権とするか」も新たな争点となります。

そのため「どうせ単独親権になるから」とあきらめることなく、共同親権を求めて裁判に臨むケースが増え、紛争の増加が懸念されます。

もっとも、逆の見方をすれば、これまで単独親権しかなかったために争うしかなかったケースでも、共同親権ができたことで、争わずに離婚できるケースも出てくると考えられます。

共同親権ができたことで、争いが減るのか、増えるのか、一概にはいえません。

共同親権が導入され、面会交流が積極的に進められるようになると、DV(ドメスティック・バイオレンス)の被害者が助けを得にくくなるのではないか、という懸念があります。DVは、客観的に立証することが困難です。家庭内での暴力行為をおこなう人が、社会的には「よき人」「社交的な人」と認識されているケースは多々あります。

だからこそ、被害者は助けを外に求めることができず、また、そうした社会的地位が高い人が「自分がいないと君は生きていけない」「手を上げられるのは君が悪いからだ」といった精神的な圧力をかけることで、被害者はますます声を上げにくくなります。

例えば、たたかれたり蹴られたりしても「階段で転んだ」と言って受診してしまったり、自分が悪いのだと思い込み、証拠を残すことや周囲に相談することをあきらめてしまったりすることが起こるのです。

そういった場合でも、本人がSOSを出してくれれば、シェルターの職員や親族が「しっかり別れて再スタートしよう」と支援していきます。しかしその際に「DVや虐待の事実を立証すること」や「それをしなければと子どもの親権は共同親権となること」といったハードルが課されると、被害者にとっては「結局、相手からは逃れられない」と言われているのと同じに感じられてしまいます。

6.SDGsの視点で見る共同親権の意義

SDGs(持続可能な開発目標)の視点は、多くの人が、自分本位な価値観を改めて、社会そのものを大切にして次世代へ世界をつなげていこうという目標にもとづいています。

この視点は、親の離婚という大人の事情に左右されず、子どもを大切にしていこうとする共同親権の理念と多くの点で重なります。

共同親権が導入された背景には、親の離婚後も、子どもが親との関係性を維持できるようにしていこうという国際的な潮流がありました。これは、SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」、目標16「平和と公正をすべての人に」につながります。

SDGs目標10、16のアイコン

また、親が離婚した後も子どもに対して責任を負っていくという共同親権の根幹的な方針は、子どもの貧困をなくすこと(目標1「貧困をなくそう」)、子どもの健康・成長(目標3「すべての人に健康と福祉を」)、十分な教育の享受(目標4「質の高い教育をみんなに」)につながります。

SDGs目標1、3、4アイコン

離婚後も親として平等な権利を有するという意味においては、ジェンダー平等に資するものといえます(目標5「ジェンダー平等を実現しよう」)。

SDGs目標5アイコン

7.共同親権にするべきか? 取得の方法と判断のポイント

実際に離婚を検討している人にとって、自分たちは共同親権を選ぶべきかどうか迷う人も多いでしょう。ここでは、共同親権を選ぶ際はどのようにして決まるのか、どのような基準を持って選べばいいのかを解説します。

共同親権に関する手続きについてはまだ議論の途中であり正式なことはわかりませんが、おそらく、離婚届の親権欄に「共同親権」という選択肢が加わり、離婚の際はそこにチェックを入れれば、共同親権となるのかと思います。

ほかにも、単独にチェックを入れなければ共同親権になる、という制度設計も可能ですし、母・父のチェック欄があり、離婚後に親権を持つこととなる双方または片方にチェックを入れるということもあり得ます。

他方で、単独親権か共同親権かが決まらなければ、これまでの実務と同様、親権について合意ができないとして、裁判所の指定を受けることとなります。親権について決定しないまま離婚だけ先行させることはできません。

法務省が公表した方針によれば、次の2点が明らかになっています。

● 協議がまとまらない場合、裁判所は、子どもの利益の観点から、父母のどちらか一方、あるいは両方を親権者に指定する
● 父母の両方を親権者とすることで、かえって子どもの利益を害する場合には単独親権にしなければならない。

しかしここで二つの疑問が生じます。

1. 「父母の両方を親権者とすることで子どもの利益を害する」可能性はないけれど、両親が共同親権に否定的で、自らが単独親権になることを望む場合はどうなるのか
2. 「父母の両方を親権者とすることで子どもの利益を害する」かどうか、双方の意見が食い違い、判断がつかない場合はどうなるのか

筆者としては、子どもの手続き代理人などを利用して、子どもがどう感じているのかを最大限尊重したうえで、決定するようになっていることを期待します。現状では、子どもの意向調査、聞き取りがおこなわれない事案も多いですが、子どもが自分の意見を言っていいのだと思える環境を社会で作っていくことが大切です。

離婚後の親権をどうするかは、親だけでなく子どもの将来を左右する重大な決定です。

離婚後も子どもに関する重要な事項(進学・医療・財産管理など)について、お互い冷静に話し合える関係を維持できるときには、共同親権が適切でしょう。夫婦関係は解消しても、親としての役割を相手に認め、協力できる姿勢が求められます。

他方で、暴力や深刻な対立により意思疎通が困難なケース、または双方が一方の親に任せることに納得しているケースでは、単独親権が選択されるでしょう。

共同親権か単独親権かでお互いの意見が一致しない場合や、単独親権がいいと意見が一致していても、どちらが親権者となるかについて意見が一致しない場合は、「子どもの成長にとってどのように親がかかわるのが望ましいのか」「子どもが安心できる環境はどのようなものか」を基準に考えるべきです。親の希望ではなく、あくまで子どもの利益が中心です。

離婚時に子どもが小さい場合には、子どもが思春期を迎えた際や、進路や就職で困難に直面した際など、大人のサポートが必要な場面が離婚後に多くあります。離婚時に親権をめぐって争うことで、子どもとその親である相手との関係性をも断絶することになってしまわないかを、冷静に考える必要があります。

それでもお互いの意見が一致しない場合は、最終的に裁判所が判断します。

たとえ親権を失ったとしても、「親」であることに変わりはありません。親は子どもに対する扶養義務があり、子どもには相続権もあります。

共同親権にするか、単独親権にするか、単独親権にするとしてどちらが親権を持つか、子どもの5年後・10年後を見据えながら、子どもの利益を中心に、家族にとって適切な距離感を考えてください。

8.子どもは親の附属物ではない~子どもを大切にする社会へ~

共同親権は、親の離婚で悩み、悲しむ子どもたちの負担を少しでも軽くしていこうという、社会的な総意を形にするための制度改正の一部です。

離婚によって子どもと別居することになる人は、「共同親権になったから、別居親にも権利が認められる!」という受け止め方ではなく、「たとえ離婚したとしても、親として子どもに責任を持ち続けなければならない」という意識で臨んでください。

子どもに「会いたくない」と言われても、「同居親に子どもが洗脳された」と相手を責めず、「わかった」「それでも会いたいと思うから、気持ちが変わったら教えて」と伝え、一度距離を置くことも必要ではないでしょうか。

離婚によって子どもを引き受ける人は、子どもの意向を尊重し、「あなたは悪くない」「あなたはどちらの親も好きでいていいんだよ」と伝えていくことが大切です。

たとえ相手に対して嫌な感情があったとしても、子どもにとっては、その相手も共に生活してきた親であり、子ども自身の一部です。

親がもう一方の親を責めたり否定したりすることは、子ども自身を否定することになります。 

子どもが、相手方の親に「会いたい」と素直に言えるように、子どもには別居親への悪い感情を伝えないようにしてください。

筆者は、5〜6歳のころに両親が離婚し、母に引き取られましたが、母が父を「すてきな人だった」と言って育ててくれたこと、父を好きなまま成長できたことに、心から感謝しています。

離婚を経験する子どもの負担が減り、”別れても親”ということが当然の社会となることを、筆者は願っています。

(編集協力 スタジオユリグラフ・高橋純)

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