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生きたまま焼き殺された兵士

本郷勝夫さん

宮城県

89歳

2013年3月19日 紙面掲載

2019年7月27日 配信

戦争では、作戦を行うため仲間の兵士を殺すこともある。

1944(昭和19)年、私は中国であった湘桂作戦で陸軍第13師団の野戦病院に配属された。傷病兵を世話する衛生兵だった。行軍中であり、地元民の大きな民家を野戦病院にした。そこへ、コレラ患者の兵士約150人が、運び込まれてきた。しかし、敵機の襲撃は激しく、物資補給は途絶え、薬も食糧も飲料水も不足していた。

コレラにかかった患者は「水をくれ」と衛生兵に飯盒(はんごう)を差し出す。だが、上官からは「患者への接触は厳禁」との命令が出ていて、近づけない。我々が感染すると部隊全滅の恐れがあるからだという。患者はしだいに顔面にしわがより、コレラ患者特有の表情になってゆく。「衛生兵や軍医の本分は何なのか」と自問した。

その後、さらに残酷なことに、夜間、部隊に前進命令が出た。患者を搬送する部隊と連絡がつかず、部隊長はコレラ患者の収容家屋に火を放つよう命じた。放火する兵が何人か選ばれた。行軍しながら後ろを振り返ると、家屋のあたりが明るくなっていた。生きたままの火葬である。そうした理由は、後続の部隊にコレラを感染させないため、とのことであった。遺族の方々には申し訳なかったと心が痛む。戦争は人の命を軽んじる。今はただ、合掌あるのみだ。