「あからさまな公明切り」自民内からも不安 ブレーキ失った高市政権
自民党と協力関係にあった公明党は「大衆福祉」「平和」「中道」を掲げ、時に「政権のブレーキ役」を自任してきた。大企業、業界団体、保守層を代弁する自民と組むことで、幅広い世論の受け皿となってきたのが自公連立政権だった。一方、高市早苗首相が新たな連立パートナーとして選んだ日本維新の会は「保守・改革政党」として自民以上にアクセルを踏み込む。ブレーキ役が不在の新政権はどこへ向かうのか。
「維新の同志の皆様」と呼んだ高市氏
首相は21日夜の就任記者会見の冒頭で「厳しい野党時代も含め、26年間の長きにわたる公明党の皆様のご協力に改めて深く感謝を申し上げます」と神妙に語った。その上で、新たな連立合意に至った維新に謝意を述べたが、こちらは「維新の同志の皆様」と呼んだ。「同志」と付け加えたところに、公明と維新に対する思いの違いがにじむ。
高市氏は連立政権合意に署名した20日、維新について「国家観をともにする政党」と表現し、親和性の高さを強調した。
合意文書には、維新がこれまで訴えていた急進的な改革メニューが盛り込まれた。社会保障改革では、医療費の窓口負担について「年齢によらない真に公平な応能負担の実現」と記された。現行の後期高齢者医療制度では高齢者の負担は原則1割だが、負担引き上げを含む見直しに言及した。高齢者に手厚いと指摘される社会保障制度にメスを入れ、現役世代に配分するのが維新の基本的な考え方だ。
安全保障分野で盛り込んだ「次世代の動力を活用した潜水艦」保有の政策推進は、将来的な原子力潜水艦保有を念頭に置いていると読める。原潜は日本近海にとどまらず広範囲での活動が可能で、憲法に基づく平和主義や専守防衛との整合性が問われる。
トップダウンによる政策合意について高市氏の周辺は「あの局面では首相指名をまず乗り切ることだった」と振り返る。だが、政策を保守・改革の方向へと急転換することになり、自民ベテランは「改革競争になれば事故が起きる」と懸念する。
定数削減で状況一変
連立を解消した公明は当初、今後の法案対応について、与党時代に経済財政運営の指針「骨太の方針」策定に関わったとして「責任は共有する」(斉藤鉄夫代表)としていた。国政選挙でも党同士の推薦は行わないものの、地域で積み上げてきた協力関係は「人物本位」で重視する姿勢を見せ、自民への一定の配慮をうかがわせていた。
だが、自民、維新の連立協議で吉村洋文維新代表が「改革のセンターピン」として国会議員定数の削減を持ち出すと、状況は一変した。連立離脱を機に、衆院小選挙区への擁立を絞り比例代表に注力する方針に転じた…
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