クルド人からも悲痛な叫び JICA(国際協力機構)が国内4市をアフリカ諸国の「ホームタウン」認定で大炎上
■在日クルド人の子どもへの誹謗中傷 確かに、交通事故を起こすなど問題のあるクルド人もいて申し訳ない気持ちになるが、ほとんどのクルド人は真面目に暮らしている。それなのに、クルド人が経営する店への嫌がらせの電話や、解体工事現場で働くクルド人が盗撮される事例が相次いでいる。とりわけ深刻なのが、約500人いる在日クルド人の子どもへの誹謗中傷だ。外で遊ぶ子どもを隠し撮りしてネット上にさらしたり、「トルコに帰れ」といった言葉の暴力も起きたりしている。クルド人の小学生が、日本人男性から暴行されたとみられる事案も発生したという。 「クルド人は悪いというイメージをつくり出そうとしている一部メディアや、『問題を起こしているのはクルド人ばかり』と根拠なく発言する政治家もいます。一部のインフルエンサーなどが、ネットのアクセスやインプレッションを稼ぐために、『蕨や川口は危険』などとヘイト投稿をしているケースもあります。クルド人には国がなく、大使館など守ってくれるバックがないので、ターゲットにされやすい面があります」(ワッカスさん) ■外国人への過剰な不安や敵意 こうした排他的な空気は、埼玉にとどまらない。クルド人への偏見は、日本社会全体の外国人に対する意識の変化を映し出している。 JICAが8月下旬、千葉県木更津市など国内4市をアフリカ諸国の「ホームタウン」に認定したことをめぐり、「移民が増える」「治安が悪化する」との臆測がSNS上で一気に拡散。「炎上」の末、約1カ月後に撤回された。 なぜ、外国人への過剰な不安や敵意が広がるのか。 社会学者で、東京大学教授の永吉希久子さん(社会意識論・移民研究など)は、「外国人を犯罪や治安悪化の原因、福祉負担の要因と考えるのは、日本に限らず、多くの国々で共通して見られる」と指摘する。 永吉さんも参加した研究グループが17年に実施した社会意識調査で、「日本に住む外国人が増えるとどのような影響があると思いますか」の問いに対し、「犯罪発生率が高くなる」の設問に「そう思う」「ややそう思う」と同意を示した人が最も多く70%。次いで「治安・秩序が乱れる」が63%、「社会保障費用が増える」が47%と続いた。 ■日本人と外国人の区分けが強固 「特に日本の場合、『日本人』と『外国人』との区分けがかなり強固で、多くの人の意識の中に根付いています」(永守さん) 21年に永吉さんたちが実施した意識調査では、ある人を日本人とみなす基準を聞く質問の中で、「日本的な道徳観を有している」に8割近くの人が同意した。裏を返せば、「外国人はそういうものを共有していない人」とみなしているともいえる、という。 「このような道徳を国民のみ共有できるという認識が、現在の外国人に対する不安の根底にあります」(同) しかしながら、外国人が犯罪率を高め、治安を悪化させるなどと考えるのは、物事を見誤ると永吉さんは警鐘を鳴らす。