国分太一

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「ハラスメント行為」が原因で、表舞台から姿を消したタレントの国分太一(51)。行為の詳細は明かされなかったものの、日本テレビの社長が会見を開いたことで「何かは分からないけれども、何かあったに違いない」と多くの人が感じたに違いない。

 驚いたことに、当の国分自身が誰に対するどの行為をクロと認定されたかを把握できていないという。にわかには信じがたい話だが、彼の代理人弁護士の話から浮かび上がってきたのは、日テレのずさんな対応である。中居正広氏の騒動でフジテレビが集中砲火を浴びたことも影響して”拙速”な対応となったのか――。「人権無視」とも言えるプロセスとは。
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「何があったのか分からない」

 
 今年6月、国分は活動休止を発表。それに伴い、所属していたTOKIOも6月25日に解散を発表した。残されたメンバー、城島茂と松岡昌宏は精力的に活動を続けている一方、2021年にグループを脱退した長瀬智也はバンド活動やバイクレースに注力。充実した日々を送る模様をSNSで発信している。

国分太一

 あの騒動が起こる前は、テレビとラジオで6本のレギュラー番組を持っていた売れっ子のそれが、ついにゼロとなった。

 10月2日、テレビ東京の吉次弘志社長が定例会見で、国分が出演していたバラエティー番組「男子ごはん」の終了を発表したのである。

 その理由を、吉次社長はこう述べた。

「何があったのかわれわれは分からないが、国分さんが無期限の活動休止に入ってしまい、番組に出ていただくことができなくなった。放送休止でしのいでいたが、7月クールをもって番組を打ち切り、新番組に移行することに決めました」

 国分が出演していた番組を抱える在京キー局のトップでさえ、把握していないと語る“国分騒動”の仔細。いまだ本人の口からきちんとした説明がないことで、さまざまな臆測が飛び交っている。

「きちんと謝りたい」

 それでもかたくなに沈黙を守ってきた国分だったが、活動休止から4カ月がたった今、騒動は誰もが思いもよらない方向へ動く。

 国分は一連の騒動における対応で、日本テレビからプライバシー権の侵害などを受けたとして、「人権救済申立書」を日本弁護士連合会(日弁連)に提出するというのだ。

 本件では“加害者”とされるはずの国分が、なぜ日弁連に申し立てをするのか。

「まず国分さんは、本事案に絡んでいる関係者、日テレ、スポンサーなど迷惑をかけた皆さんにきちんと謝りたい。その思いを強く持ち続けてきました。世間にも改めておわびをして、対外的に説明したいと考えているのです」

 そう明かすのは、国分の代理人で、昨年3月まで日弁連副会長を務めていた菰田(こもだ)優弁護士。

「もちろん国分さんは、コンプライアンス違反と指摘されたことについては、今でも深く反省して、本当に申し訳ないと口にしています。だからこそ、騒動直後から説明をしたいと切望しているのに、残念ながらその気持ちが踏みにじられてきた。法律家の目から見ても、日テレの社長会見に至る経緯や手続き、その後の対応があまりにひどかった。それで国分さんと話し合った末、日弁連に申し立てることにしたのです」

突然始まった事情聴取

 では実際、国分は日テレの対応について、何が問題だと訴えているのだろう。

 再び菰田弁護士に話を聞くと、

「日テレが『ザ!鉄腕!DASH!!』降板を発表する2日前、6月18日に国分さんは日テレに呼び出されています。突然“コンプライアンス違反について事情を聴きたい”と言われ、日テレのコンプライアンス局の担当者と男女2人の弁護士を紹介された。そこからすぐに事情聴取が始まったのです」

 具体的な聴取の内容はどのようなものだったのか。

「日テレが連れてきた弁護士からは、ハラスメント行為について誘導的に聴かれた。国分さんは、ある関係者に対する事実として身に覚えがあると話した。その関係者に対しては、もう一つハラスメントに該当し得る事実まで国分さんは説明しています。また別の関係者に対するハラスメントについても尋ねられたので、これも国分さんは肯定しました。心の準備もないまま、思い当たるところを素直に述べたのです」(同)

 さらに、その弁護士は国分に対し、TOKIOのメンバー、家族および彼の弁護士以外には、この件を口外しないようにとくぎを刺したのだ。

ハラスメントであって犯罪行為ではない

 法律の世界から見て、日テレは正当な手続きを踏んでいないとして、菰田弁護士はこう続ける。

「国分さんは事情聴取で一定の事実を認めましたが、日テレからは、具体的にどの事実をもってコンプライアンス違反かの説明もなかった。私が代理人の立場から言えることは、国分さんが行ったのはハラスメントであっても、犯罪行為ではないということですが、自身が行ったどの行為が問題にされたのか。この点が分からずじまいでした」

 こうした日テレの対応ゆえ、国分は事後対応に苦慮してしまったと訴えている。

「何がコンプライアンス違反だったのかの説明もなく、関係者の特定につながるような言動をするなと言われている以上、国分さんは不用意に発言できず、対外的に説明するすべを失ってしまいました。国分さんとしては、契約していた複数のスポンサー企業や他局の番組関係者への説明も十分ではなかった。同様にTOKIOの他メンバーたちも、ファンやマスコミなどに対する説明に窮してしまったのです」(同)

日テレは“非協力的”

 じくじたる気持ちでいた国分が考えたのは、ハラスメント問題に詳しい専門家に相談すること。独力で代理人弁護士を探した。

 菰田弁護士が言う。

「国分さんのお話を最初に聞いた時、ハラスメントについては相当反省していました。ただ、そのことと日テレの手続きが正当なものだったかは別問題なので、私は法律家としてしっかりただす必要があると感じました。そこで8月1日、日テレ側に書面を郵送した。関係する人々に謝罪をした上で、具体的な協議ができる方とお話をしたいという趣旨でした」

 ところが、日テレ側からは、予想外の回答が寄せられたというのである。

「先方からは、代理人の弁護士名で“降板通知をさせていただいてから、2カ月も経過しない時期にご連絡を頂戴したことに、驚きを禁じ得ない”という回答で、福田社長の会見同様、“プライバシー保護のために何も答えない”と。それでは国分さんも前に進めません。これはあんまりだと思いましたので、再度9月1日に質問事項を書面にまとめ送りました」(同)

 日テレは今回の一件に関して、ガバナンス評価委員会を設置し、7月25日付で中間とりまとめ、9月17日付で最終の「意見書」を公表している。その間、国分側への聞き取りはなかった。

「国分さんがきちんと謝罪し説明したいと言っているのに、日テレ側は全く非協力的でした。こちらも手続きを一から検証すべきだと考えて、人権救済の申し立てをすることにしたのです」(同)

 日テレはなぜ疑義を呈されるような対応を繰り返したのか。日本テレビに一連の対応についてただすと、

「コンプライアンス違反の内容、降板にかかる経緯は6月20日の社長会見で申し上げた通りです。調査の手続きや説明責任、報道機関としての在り方等につきましては、7月4日に日本テレビガバナンス評価委員会を設置して外部の複数の専門家に検証していただき評価していただきました。一方で『これらの対応は、あくまでも本事案の特殊性・特異性に鑑みて了とされるものであって、これがスタンダードではない』等のご指摘についても重く受け止めており、引き続き適切な調査や情報開示を心がけてまいります」

 日テレの対応の全容と、国分本人の思いについては、10月23日発売の「週刊新潮」で詳報する。

「週刊新潮」2025年10月30日号 掲載