チームみらい 公約発表会見(書き起こし)
本記事は、6月30日に行った、新党「チームみらい」の公約発表会見でお話したことの書き起こしとなります。
皆さま、本日はお忙しいところ、「チームみらい」の記者会見にお集まりいただきまして、心より感謝申し上げます。
本日、新党「チームみらい」は、来たる7月の参議院選挙におけるマニフェストを発表いたします。
「チームみらい」は、全てを党が決めた後にマニフェストを発表するのではなく、よりオープンに有権者の皆さんと政策を育てていきたいと考えています。そのため、まず我々が考える政策案を公開した上で、AI熟議システムの『いどばた』や全国での街頭演説・交流会で有権者の皆さまからのご意見をいただくことで、日々政策のアップデートを行っております。これは、政策に最も国民の関心が集まる選挙期間も続ける予定で、我々は有権者の声を聞いて政策を磨き込むことで、よりよい政策を作ってまいります。
なお、有権者の意見を聞きながら政策をアップデートする、と申し上げると、結局多数決なのかというお声も頂戴しますが、必ずしも多数決でマニフェストを決めるわけではありません。「チームみらい」は、皆さまの意見を聞き、プロセスの透明化を行いますが、あくまで意思決定は既存政党と同様、チームみらいの『人』が行います。これは、責任を取れる『人』が主体となって判断をすることが重要であるという価値観に基づくものです。
「チームみらい」は、公約としてお約束したビジョンや政策の実現のために政治活動を行い、国民の皆さまからのご期待に責任を持って応えます。それでは、具体的な政策のご説明に移らせていただければと存じます。
参院選におけるチームみらいのマニフェスト
チームみらいの政策は、日本全体の成長を目指す政策です。再分配の話は勿論重要で、チームみらいは「テクノロジーで、誰も取り残さない日本をつくる」ことを目指しています。しかし同時に、これを実現するためには、日本全体がより豊かになるための具体的な戦略と打ち手が不可欠です。
チームみらいのマニフェストでは、3つのステップで成長を目指す政策を掲げています。
1つ目のステップは、【デジタル時代の当たり前をやり切る】で、デジタル時代における「当たり前」を実行するだけで成果が出る「のびしろ」を発見し、すばやく実行することを掲げています。この部分について、「デジタル時代の当たり前」として、各種ツールの開発なども行います。すでに、政治資金の見える化のツールなど一部ツールを開発済みですが、今後開発するツールも含めてすべて、他の既存政党・政治家の方や行政の方が使えるものになっており、チームみらいはユーティリティ政党として、政治や行政自体のアップデートを目指しています。
2つ目のステップは、【変化に対応できる、しなやかな仕組みづくり】で、硬直的な現在の税制、教育、医療制度を、変化に迅速に対応できる、しなやかな制度に再構築します。
3つ目のステップは、【長期の成長に、大胆に投資する】で、子育てや教育、科学技術や新産業創出、文化振興などに大胆かつ持続的な投資を実行します。
本日はこの3つのステップについて、ポイントを絞ってご説明できればと思います。
ステップ1:デジタル時代の当たり前をやり切る
1つ目のステップ、【デジタル時代の当たり前をやり切る】でまず大事なことは、足下の物価高に対して、全ての人が安心して暮らせる生活基盤を守るための打ち手を、『テクノロジーですぐに届ける』ことです。
例えば、支援が必要な方に給付を行おうとしても、今の仕組みでは全国の自治体に莫大な事務負担がかかり、給付にかかる時間やコストが非常に勿体ない状況です。我々は、データとテクノロジーを駆使して、必要なときに、必要な方に、自分で申請しなくても支援が明日届くような仕組みをつくります。
また、コメの価格高騰に対しては、食料安全保障の観点で、サプライチェーンの混乱を未然に防ぐ仕組みが必要です。コメについては、生産から消費までのトレーサビリティを一歩先に進め、デジタル管理・リアルタイム公開する制度をつくることで、不測の事態や急激な価格高騰に対応できる体制を整えます。
国民の暮らしを守るには、政治が「デジタル時代の当たり前」をやりきることが必要不可欠です。そこで、チームみらいは、参院選後、チームみらいが国政政党となった暁には、チームみらいへの政党交付金を選挙のための費用とするのではなく、国民の暮らしを守るための費用、永田町にエンジニアチームをつくるための費用として使うことをお約束します。
チームみらいが率先して、国や全国の自治体が自由に使えるデジタルツールをつくる。オープンソースの仕組みで各自治体が少ない費用で利用できるようにする。そうすることで行政サービスは国民にとってもっと使いやすくなり、AIやITを活用した公務員の働き方改革も進めることができます。
チームみらいは、有権者の声が届かない政治、政治とカネの問題、どちらも終わらせたいと考えています。既にブロードリスニングや政治資金の公開を自ら実践してきた実績と、それを既存の政党や政治家に広めてきた実績があります。ツールはすでに開発しており、今後開発するツールも含めて、他の政党や政治家の方が使えるように、オープンソース化していきます。今後チームみらいが国政政党となることで、ユーティリティ政党として政治自体のアップデートができる、変革のスピードを上げられると確信しています。
また、「デジタル時代の当たり前」は、強い経済をつくる産業政策でも重要なキーワードです。日本経済が低迷を続けるのか、再び成長させられるのかは、AIを使いこなせるかにかかっています。大企業は勿論、中小企業を含む全ての産業でAIシフトを支援し、IT業界以外でもAIを活用できる国にしていくことで、日本経済全体のパイを大きくしていきます。
そして、子育て・教育・医療など、国民の暮らしに直結する領域でも、例えば子育てを切れ目なくサポートするデジタル母子パスポート、教育領域へのAIアシスタントの導入、オンライン診療の充実や診察受付のスマート化によって待ち時間をなくして患者さんの利便性を高める取組など、デジタル技術を活用することで、日本をより暮らしやすい国にしていきます。
ステップ2:変化に対応できる、しなやかな仕組みづくり
2つ目のステップ、【変化に対応できる、しなやかな仕組みづくり】がなぜ重要かというと、私たちは国際情勢の流動化やテクノロジーの飛躍的進化といった、かつてない規模と速度で変化する世界に直面しているからです。このような環境下でも、「テクノロジーで誰も取り残さない日本」を実現するには、大きな変化に対して素早く対応し、しなやかに立ち直れる仕組みがなくてはなりません。
日本の法律や制度は、時代の変化や社会課題への対応に応じて数多くの改正が重ねられてきましたが、多くの改正が都度の対応として実施されてきたために複雑化し、多くの人にとって理解が難しいものになっています。このように過度に複雑化した仕組みでは、国民の理解を得ることも難しく、制度変更の議論が政局の駆け引きに使われるばかりで、政治や制度への不信感の払拭もままなりません。チームみらいは、その場しのぎの政治を終わらせて、国民のために中長期視点で制度をシンプルな仕組みへと改正していきます。
チームみらいは、物価や賃金の動向に応じて、税と社会保障を自動で見直す仕組みとして、「なめらかな税制・社会保障制度」をつくり、控除額や制度適用の崖や壁をなくします。ガソリン税の暫定税率のように、常態化した特例措置は原則廃止し、恒久化すべきものがあれば特例措置の本則化を進めます。また、社会保険は制度内で収入と支出を完結できる形を目指し、制度間の財政転用もなるべく行わないようにしていきます。
このように、法律や制度、そして行政システムをアップデートしていくためにも、国や自治体のIT活用は不可欠です。その際、特定のベンダーへのロックインを防ぐため、オープンな公共調達を行い、政策もシステムも、技術進化のスピードに合わせてアジャイルに導入と検証が進むようにしていきます。
また、チームみらいは誰もが教育や医療にアクセスできる社会を守ります。そして、一人ひとりの状況にあった教育・医療を行える仕組みをつくります。例えば、教育では一人ひとりの個性に合わせたオーダーメイドカリキュラムを届けます。年齢だけではなく、学習の進度や興味関心など、一人ひとりの個性に合わせて、AIでオーダーメイドカリキュラムをつくり、柔軟に学んでいけるよう、標準授業時数の設定を大綱化することを目指します。同時に、義務教育としての教育の質の担保や、多様な学びの選択肢の一つとして、在宅学習の環境整備も推進することで、全ての子どもたちに、より自分に合った教育を受けられる環境をつくっていきます。
ステップ3:長期の成長に、大胆に投資する
3つ目のステップは、【長期の成長に、大胆に投資する】です。国民一人ひとりが安心して豊かな生活を送るためには、国家全体の経済的な富を大きくする、つまり「パイを大きくする」議論が欠かせません。少子高齢化の進展やグローバルな競争環境の激化といった構造的な課題を乗り越え、社会全体の活力を維持・向上させていくためには、持続的な経済成長の実現が不可欠です。この成長こそが、豊かな国民生活と安定した社会保障制度を支えるための基盤となるのだと、チームみらいは考えています。
チームみらいは、科学技術と新たな産業の育成に投資します。自動運転をはじめとする最先端テクノロジーの社会実装により便利で豊かな生活を実現するとともに、科学技術を軸とした雇用創出、所得向上、税収増加の好循環を実現します。日本は材料、ロボティクス、精密加工、再生医療、宇宙技術など、様々な分野で世界的に高い技術力を保持しています。次世代の国際競争力を左右する技術に対して、戦略的に公的な支援を行っていくことで、日本の強みを活かしながら、世界市場を牽引できる企業を増やしていきます。
また、チームみらいは子育てと教育にも大胆に投資します。少子化対策としては、結婚の障壁を取り除き、子どもを望む全ての人へのサポートとして、不妊治療や妊娠出産の負担軽減を徹底します。そしてさらに踏み込んだ施策として、抜本的な経済支援として、児童手当は「貧困対策・次代を担う子どもの健やかな成長」のための制度として明確化して少子化対策とは分けて考えた上で、「子育て減税」による子育て世帯の所得税の引き下げを行います。具体的には、子どもの数に応じて、親の所得税の税率を定率で下げていくという仕組みで、子ども1人で所得税率がマイナス5ポイント、2人になるとマイナス10ポイント、3人になるとマイナス20ポイントというように、段階的に減らします。このように、より幅広い世帯に対して踏み込んだ経済的支援策を行うことで、未来に大胆に投資していきます。
教育においても、国家が投入する教育費が対GDP比で諸外国よりも低いことに対して、教育への予算は優先的に確保し、国債発行によって予算を確保することも視野に入れます。そして、その予算を子どもたちの好奇心と「はじめる力」を育むための教育に投資し、小学生向けの新世代児童館や中高生の部活で、STEAM活動(Science、Technology、Engineering、Art、Mathematics)に触れられる仕組みをつくり、子どもたちの認知特性・興味に基づいた体験ができるようにしていきます。
まとめ
以上、「チームみらい」のマニフェストの概要を発表させていただきました。この場ではお話ししきれなかった詳細な政策案もございますので、ぜひ「チームみらい」の公式サイトから、マニフェストをご覧いただけますと幸いです。
先ほど述べました通り、チームみらいは自分たちならではの政策を掲げつつも、政治全体で取り込むべきものについては、積極的にツール開発・オープンソース化を行い、他の政党・政治家のみなさまにも使っていただけるようにします。これは、少数政党でもできることであり、チームみらいが国政政党化することで、政治のシステム自体のアップデートが加速すると信じています。
また今後、昨年の都知事選でも活躍した「AIあんの」をよりアップデートして運用開始することも予定しております。「チームみらい」は、今後も政策のアップデートを続け、テクノロジーで誰も取り残さない日本、未来は明るいと信じられる国をつくるべく活動してまいります。
このように、チームみらいが政策本位の活動を続けていくには、ボランティアで参加してくださっている多くのサポーターさんのご協力と、個人からお寄せいただいている寄付が欠かせません。
チームみらいでは、ボランティアでポスティングやご友人・ご家族のご紹介、またSNSでのチームみらいの情報発信をサポートしてくださっている方を「サポーター」と呼んでおり、本日、6/30までに全国で4,300人以上のサポーター登録をいただいております。チームみらいでは、参院選に向けて「サポーター登録1万名」を目標にしておりますが、サポーター登録は日本国籍で18歳以上の方であればどなたでも可能で、登録費や年会費など一切かからない仕組みになっておりますので、ぜひ多くの方にご登録いただきたいと考えております。
また、チームみらいには政党交付金や企業献金、パーティー券収入など、他の国政政党であれば選挙費用として使えるお金がありません。個人の方からの寄付だけが頼りになっており、本日、6/30時点でチームみらいの各候補者合計で7,000万円を超える金額をご寄付いただいております。寄付という意味でも、大きな方からご期待を寄せていただいていることを強く実感しますが、他の政党や政治家の一般的な選挙費用を踏まえると、15人の候補者を擁立する場合、合計3億円ほどの費用がかかることも考えられ、まだまだ十分ではありません。引き続き、チームみらいを応援いただける個人の方からのご寄付を募集しております。
チームみらいの活動は、有権者の皆さんの声と応援で成り立っています。今後ともどうぞご支援のほど、よろしくお願いいたします。
参加者プロフィール
【党首】安野 たかひろ プロフィール
1990年生まれ。エンジニア。東京大学 松尾研究室出身。外資系コンサルティング会社のボストン・コンサルティング・グループを経てAIスタートアップ企業を二社創業。デジタルを通じた社会システム変革に携わる。日本SF作家クラブ会員。内閣官房デジタル行財政改革戦略チーム構成員。新党「チームみらい」党首。
【幹事長】高山 さとし プロフィール
1986年生まれ、京都府京都市出身。コンサルタント。灘中学・高校を卒業後、慶應義塾大学経済学部、大学院経済学研究科を修了。外資系コンサルティング会社のボストン・コンサルティング・グループを経て、複数のAIスタートアップ企業で事業開発に従事。現在はAI領域の技術アドバイザーとして複数のプロジェクトに携わる。新党「チームみらい」幹事長。



コメント
2デジタル民主主義の3番目のマニュフェストとして「コンビニでの期日前投票」を追加させていただきました。
最初「コンビニで期日前投票ができたらいいなぁ」ぐらいに思っていたのですがAIの力を借りて「コンビニではマイナンバーカードがあれば本籍地のある文書がとれたり、納税額の通知もとれる」ということと「投票券を確実に使えば本人確認と選挙の必要な一意性の保証ができる」という話にまとめられました。AIはやはりすごいです(^_^;)
なお、この話ですが「技術×」の話で特に現状投票率の低い若者に訴えるはなしで「チームみらい」のマニュフェストとして妥当性の高いアイディアだと思っています。投票日の前には更新があると思っていますが「デジタル民主主義」の3番目のマニュフェストに自分の考えを入れさせてもらったことも含めてチームみらいと安野さんを応援させていただきます!!
デジタル技術、特に政治や法律、もしかしたら行政にたっても本当の意味で使いこなしているとは到底思えないですね。むやみに巨大なシステムを大手のソフトウェアメーカに大枚をつぎ込んで発注する、まるで高速道路や新幹線でもつくるような予算と、出来上がると変更のしようがないシステムが、古くなっても、いつまでも使われつづけられ、いつの間にか時代遅れになっていとう状態が日本なのではないでしょうか。
また、無理やりデジタル化したために、ややこしくなってしまったシステムもたくさんありますね。デジタル化を推進することが目的ではなく、生活が豊かになるためにデジタル技術がはるはずです。なにしろ、国のやるデジタル化はどうもずれている気がしてなりません。それを早く修正しないと、ますます、世界から取り残されていくでしょうね。そんな日本が心配です。