応仁の乱勃発の地で40年ぶり井戸水湧く 京都・上御霊神社
応仁の乱勃発の地で知られる上御霊神社(京都市上京区)の井戸水が約40年ぶりに湧いた。かつての井戸水は京都市営地下鉄烏丸線の地下鉄工事の影響で昭和50年代に枯れたが、採掘工事によって「ご神水」が復活した。 【写真まとめ】「猫神社」の壁に打ち付けられた猫絵馬 同神社は794年の平安京遷都にあたり桓武天皇の勅願で、非業の死を遂げた桓武天皇の弟、崇道天皇(早良親王)をまつったのが始まりとされる。1467年には畠山政長がこの付近に陣を構え、畠山義就と対立し、応仁の乱が始まった。神社には「応仁の乱 勃発の地」の立て札がある。 神社によると、境内にはかつて深さ6メートルほどの浅井戸があり、清掃などに使われていた。小栗栖元徳宮司(81)は「お祭りのあとに井戸水をくんでいると、金魚が出てくることもあった」と振り返る。だが、地下鉄工事によって水は枯れ、以降は参拝前に手を清める手水舎(てみずや)の水も水道水を使っていた。 境内の修復工事の寄付を募る奉賛会員制度を2023年に始め、その資金を今回の採掘工事に充てた。深さ44メートルほど掘ったところで、水が湧き出た。水道管で手水舎までつなぎ、その付近に新たに蛇口を設けて参拝者が自由に水を利用できるようにした。 18日には完成を祝う神事があり、人間国宝の金剛永謹(ひさのり)さんが水にまつわる能を奉納した。禰宜(ねぎ)の小栗栖憲英さん(48)は「あるべき姿に戻ったという安心感がある」とほっとしていた。【大東祐紀】