「死んだンゴ」 息子の投稿、思わぬ反響「こんなことがあるなんて」
「グエー死んだンゴ」。そんな予約投稿をX上に残し、今月12日に希少がんで亡くなったアカウント名「なかやま」こと、大学生の中山奏琉(かなる)さん(22)。闘病の合間に病状や時々の心境を投稿してきたメッセージに対し、がん研究基金への寄付や献血を表明する動きが広がっている。闘病を見守ってきた父親の和彦さん(48)=北海道津別町=は22日、朝日新聞の取材に応じ、「多くの方々が寄付してくれていることは、素直にうれしいです」と語った。 【生前の写真】病床で自撮りをした中山奏琉さん。父親は、記者の取材にその様子を語った 「グエー死んだンゴ」とは2010年代、「2ちゃんねる(現5ちゃんねる)」で生まれたネットスラング。ショックを受けて死んだふりをする時などに使われてきた。 奏琉さんが予約したその一文が投稿されたのは、14日午後8時。すでに13日に「友人」が代理で訃報(ふほう)を投稿していたため、死後の予約投稿に大きな注目が集まった。その後、奏琉さんの死を悼むネットユーザーたちが、「香典」代わりとして、国立がん研究センター基金などに寄付する動きが広がっていった。 《予約投稿設定して、生き延びてまた予約投稿してってやってた間どんな気持ちだったのかと考えてると涙止まらなくなるわ。改めて、成仏してクレメンス…》 《心ばかりで申し訳ないけど、生まれて初めての寄付です。どうか役立ててください》 《私もお香典として、これから生きたい人たちの力になれたらと思いました》 予約投稿が出た14日以降、国立がん研究センター(東京)への寄付だけで2万件ほど(1件あたり1千円~10万円ほど)にのぼっている。朝日新聞の取材に応じた父親の和彦さんは、思わぬ反響について「こんなことがあるなんて驚いた。多くの方々が希少がんに関心を寄せ、寄付してくれていると聞き、素直にうれしいです」と話した。「息子の場合、治療の手立てが一切なかった。希少がんも含めて治療が難しい病気の研究が進めば」と願っているという。(山下知子、小川尭洋)
朝日新聞社